ジョー・ヘンリー、感動的な至福のパフォーマンス

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ジョー・ヘンリーの初来日、初公演が3月30日に京都のライブハウス磔磔にて行なわれ、満員の熱気のなか最高のショーが繰り広げられた。

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非常に力強く同時に繊細な演奏とともに、翳りのあるしわがれた声はときに荒々しく歌いあげ、シンプルで美しい演奏のなかでいっそう存在感を際立たせたジョー・ヘンリー。ドラムレスの編成にもかかわらず、パーカッシブなベースと様々なアレンジでバリエーション豊かな音を奏でるキーボードにサポートされ、まったく飽きのこないたっぷり90分至福の濃密なジョー・ヘンリー・ワールドが繰り広げられた。

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ブルースやジャズからカントリー、フォークなどに至る米国ルーツ・ミュージックの華やかでザッツ・エンタテイメントな部分よりも、ややスモーキーで翳りのある部分。その豊かな米国音楽の遺産を21世紀に継承するジョー・ヘンリーの初来日公演は、古き良き音楽への偏愛に満ちていながらも懐古趣味ではなく、逆にライブとなると妙にクリアになり過ぎるでもない。

曲調に合わせてギブソンの1932年製と35年製(!)という超ヴィンテージな2本のアコースティック・ギターとピアノを伴奏楽器として使い分けながら、ゆったりと1曲1曲をストーリー性豊かに歌い込みつつ進行していったライブは、シンプルなバッキングを得て改めて歌い手/ソングライターとしての非凡さを浮き立たせるとともに、彼が多様な米国ルーツ・ミュージックの長い歴史の延長線上に位置する才人であることを確信させる一夜となった。

CDでは綿密に作り込まれたサウンドの重厚さに耳を奪われがちになるが、トリオ編成の今回はよりシンプルな印象。曲によってツィンバロムやペダル・スティールのような音色も繰り出すパトリック・ウォレン(key)と、弓弾きからウッド・ベースのボディを叩いて打楽器的な役割もこなすデヴィッド・ピルチ(B)による変幻自在の巧みなサポートも大きな聞きどころだろう。

また、楽曲面では2009年にリリースされた最新作『ブラッド・フロム・スターズ』の収録曲を中心としつつ、マドンナが2000年にヒットさせた「ドント・テル・ミー」の原曲として知られる「STOP」(2001年作『SCAR』収録)も。詳しくは実際に観てのお楽しみだが、それ以前に発表されたアルバム収録の代表曲も幅広く取り上げられた。

ライブ後に連想したのは、よく近似性を指摘されるトム・ウェイツやオルタナ・カントリー勢などよりも、意外にもむしろルー・リードやボブ・ディラン、あるいはブルース・スプリングスティーンといった米国音楽界の大物たち。音の細部にまで凝りに凝ってハードボイルドな世界を構築したCD作品も素晴らしいが、ライブではジョー・ヘンリーの音楽が内包している普遍的な魅力がよりダイレクトに伝わってくると思う。お見逃しなく!

吉本秀純

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ジョー・ヘンリー公演は、既に横浜会場はSOLD OUT、残すは4月4日(日)東京の日比谷公園大音楽堂で行なわれる、歌と花見の野外音楽フェスティバル<ウォッチング・ザ・スカイ '10>のみとなる。歴史に残るであろうこのイベント、見逃がすわけにはいかないだろう。

<ウォッチング・ザ・スカイ '10>
2010年4月4日(日)
@日比谷公園野外大音楽堂
13:00開場/13:30開演(終演19:30予定)
出演:ジョー・ヘンリー/ジェシー・ハリス/おおはた雄一/アン・サリー/エミ・マイヤー/ハンバートハンバート
前売6,000円・当日6,800円(指定席・税込)
※雨天決行
※再入場可
[問]プランクトン 03-3498-2881
◆<ウォッチング・ザ・スカイ>オフィシャルサイト
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