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Thin Lizzyは、ロック界でももっともユニークなシンガー/ソングライター/ベーシスト、Phil Lynottのバンドだ。ブラジル系黒人の血をひくアイルランド人だった彼は、独自の視点からものを見るところがあった。その見方は、Thin Lzzyの曲の歌詞の中に明確に現れている。ストリートレベルのケルト的ロマンチシズムの込められた彼の世界、主役は労働者階級の人間が多かったが、時にはケルトの伝説を題材にすることもあった。

Thin LizzyはPhil LynottとドラマーのBrian Downeyを中心に、''70年、アイルランドのダブリンで結成された。''73年にはアイルランドのトラッドをカヴァーしたシングル“Whiskey In The Jar”が、地元アイルランドのみならず、イギリスでもヒットし、Thin Lizzyという名前は一躍知れ渡るようになる。

しかし、彼らが大きな成功を掴んだのは''76年。8作目のアルバム『Jailbreak』からシングルカットされた“The Boys Are Back In Town”が、世界的なヒットとなってからだった。当時、バンドはアイルランド人のBrian Robertsonとアメリカ人のScott Gorhamの2人のギタリストによるツインリードと、Philのハードロックにしてはムーディなヴォーカルスタイルを特徴としていた(Scott Gorhamは結局、5人もギターパートナーが変わる中、最後までThin Lizzyのメンバーとしてスポットライトを浴び続けることになる)。“The Boys Are Back In Town”はロックの愛唱歌として歴史に残る曲となったが、アメリカではこれ以降大きなヒットは出なかった。

彼らは常にツアーを続けることにより、確固たるファン層を築いていた。''75年からバンドが解散した''83年までの8年間に、12枚以上のアルバムをリリースしたことも、彼らにはプラスとなった。ヨーロッパでは高い人気を維持し続けており、地元アイルランドでは国民的英雄だった。しかし、アメリカの評論家達は彼らのことをただの一発屋と決めつけ、あっという間に消え去るに違いないと、けなし続けた。

''70年代の末期にパンクが登場すると、Thin Lizzyの音は時代遅れのように言われもしたが、彼らの人気に大きなかげりがさすことはなかった。彼らは、“Killer On The Loose”(''80年発表の『Chinatown』アルバム収録)や、“Renegade”(''82年発表の『Renegade』アルバム収録)といった意欲的な曲をリリースし続け、''83年に解散するまで栄光を追い続けた。

しかし、長年、ドラッグと手の切れない生活を送っていたPhil Lynottは、麻薬からくる腎臓疾患のため、''86年1月4日、ロンドンでその生涯を閉じた。35歳だった。