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全米のティーンのハートをわしづかみ中の、新世代スーパーアイドル、ジョナス・ブラザーズ。彼らの成功は、ジョナス家三男・ニックの夢への挑戦から始まったといっても過言ではない。カタコトの言葉を話すころにはすでに歌っていたというニックは、地元の理髪店で歌っているところを発掘されて6歳でタレントエージェントと契約。CMやいくつかのレコーディングセッションにバックアップ・ボーカルで参加するなどしてキャリアをスタートさせた。

ニックに大きなチャンスが到来したのは、1999年のクリスマス・シーズン。当時マディソン・スクウェア・ガーデンで上演されていたミュージカル『クリスマス・キャロル』にTiny Tim役で抜擢されたのを機に、2001年『アニーよ銃をとれ』で念願のブロードウェーデビュー。翌02年には『美女と野獣』に出演し、03年には『レ・ミゼラブル』、『サウンド・オブ・ミュージック』と、立て続けに大作の舞台に立ったほか、ブロードウェーの人気アーティストが名を連ねるクリスマス・コンピレーション・アルバムで、「Joy to the World (A Christmas Prayer)」を発表。同曲は父ポールと書き上げたオリジナルで、コーラスには『美女と野獣』のキャストが参加。クリスチャン・ラジオでもオンエアチャートをにぎわせた。

翌04年、ニックは本格的に音楽活動を開始。この作業には父のポールはもちろん、兄ケヴィンとジョーも参加して弟をサポート。そして同年秋、ニックはコロンビアレコードからシングル2タイトルをリリース。年末にはアルバムの発売も予定されていたが、延期ののち枚数限定でリリースされている。

05年、コロンビアレコードの社長は、兄弟が書き上げた楽曲に着目し、3人グループでのアーティスト契約を打診した。サウンドの方向性についても、彼らが制作した楽曲に加えてイギリスの人気グループ・BUSTEDの「YEAR3000」と「WHAT I GO TO SCHOOL FOR」カヴァーを指示。ポップ・パンクの要素を盛り込むことでより広い層へのアピールアピールを狙った。しかし、デビュー時期の見極めに関しては慎重で、アルバム発売日は未定のままで、3人は長いツアー生活をスタート。BACKSTREET BOYSやTHE CLICK FIVE、Jesse McCartneyらメジャーアーティストのツアーに加わり、オープニングアクトをつとめた。ニックとジョーが精力的にステージを動きまわるアグレッシヴなパフォーマンスは評判を呼び、日ごとにファンベースを拡大。また、myspaceなどのSSNを介してファンとも交流を深めていった。

06年8月8日、ついにデビューアルバム『It’s About Time』がリリース。しかし5万枚限定という条件つきにして広告・マーケティング活動などのサポートはなし。加えて「次回作ではBlink182のようなMimicを」というレーベルの提案に埋めようのない溝を感じてしまったのか、両者の間で新たな契約が結ばれることはなかった。

07年、Hollywood Recordsからのラブコールを受け、ジョナス・ブラザーズはHollywoodに移籍。かねてから3人の音楽性と影響力に注目していたHollywoodは、新作のプロダクションにおいても全面バックアップを約束。プロデューサーに前作で彼らの曲を手がけたJohn Fields(Switchfoot、Rooney等)を迎えてのレコーディングは、なんとたった21日で終了。互いに意見をぶつけ合うプロセスは次々にアイデアを生み、前作では叶わなかった楽器の演奏も実現。すべてが自分たちの書き下ろしで、手作りかつパーソナルな作品であるという思いから、3人はアルバムに自分たちの名前を冠した。ちなみにadditional trackに「YEAR3000」が収録されているのは、限定販売だった前作『It’s About Time』を入手できなかったファンへのプレゼント的なメッセージも込められているという。

レコーディングを終えた3人は、新作のプレビューを兼ねたツアーをキックオフ。通称“プロム・ツアー”では、生まれて初めてのプロムも体験して大興奮! 人生最良の時をかみしめながら、アルバムの発売日を迎えた。

07年8月7日に放たれたアルバム『JONAS BROTHERS』は、発売一週間でBillboard top 200 Chartの5位にランクイン。そして、新作お披露目の場として彼らに用意されたのは、マイリー・サイラスのアリーナツアーのオープニングアクト。今をときめくトップ・アイドルの競演とあって、チケットは発売と同時にソールドアウト。転売チケットには数百ドルのプレミアがついたことでも話題を呼んだ。

ダブルプラチナムを獲得したアルバム『JONAS BROTHERS』の成功を受け、ディズニーのプロジェクトにおいても最重要アーティストとなったジョナス・ブラザーズ。08年には、そのハイライトともいえる映画『Camp Rock』に主演し、高視聴率をマーク。もともと、ジョーとニックはブロードウェー経験者。音楽活動にたしかな手応えを得てさらなる表現の場を追求していた彼らにとって、演技の世界へと立ち返るのは自然な流れであり、その制作過程も含めて作品を楽しんだ。

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