Janne Da Arc、2004 tour ARCADIA 最終日武道館ライヴレポート

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9月10日の神戸を皮切りにスタートした『Janne Da Arc tour 2004 ARCADIA』は、7月にリリースされたアルバム『ARCADIA』を引っさげて、全国9ヶ所9公演というスケジュールで行なわれた。

アルバム『ARCADIA』は、セルフ・プロデュース・アルバムでもあったこともあり、従来の音源に増して、激しく、重く、そしてどこまでもメロディアスな、紛れもないJanne Da Arcが提示された1枚だった。細かい話になるのだが、彼等はインディーズの2枚目のミニ・アルバム『Resist』から、誰かしらプロデューサーなる立場の人が立ち合うという環境の中での制作だったらしく、正確に言うのであれば、本当にセルフ・プロデュースで音を作ったというのは、最初のアルバム『Dearly』(インディーズ時代のモノ)だけらしい。

そんなこともあり、今回のアルバムのインタヴューの時には、メンバーの誰しもが“楽しかった”と声を弾ませていたほどに、まさにJanne Da Arcの本質そのものが形になった1枚でもあったのだ。そんなセルフ・プロデュースによるアルバムを引っさげてのツアーということで、言うまでもなく、いつも以上に力が入っていたと思われる今回のツアーは、その期待どおり、いや、期待以上に勢いと熱気を肌で感じさせてくれたライヴを届けてくれた。

取材に入ったのはツアー最終日でもあった日本武道館。ステージ後方にもしっかりと客席が存在し、その動員力をまじまじと見せつけた。定刻の18時半を10分程過ぎると一気に客電が落とされ、重々しいSEが会場を包んだ。shuji、kiyo、you、ka-yu、yasuの順にステージに現れると、客席からはとてつもない歓声が四方から沸き上がった。「ACID BREATH」「Heavy Damage」といった激しい楽曲達を、間髪入れずにノッケから畳み掛ける。アルバムでも1曲目を飾っている「ACID BREATH」は、現在のJanne Da Arcの真髄をきわめるモノであるのだろうと、そのとき悟った気がした。

「いくぞー、武道館っ!」
yasuが大声で叫ぶと、曲は、癖のあるギターのリフとエロティックなメロが絡み合う「ROMANC∃」ヘと流れていった。

「みなさん、元気ですか? お待たせ。Janne Da Arc参上!」
おきまりのyasuの挨拶にオーディエンスは歓迎の声を上げる。
「今ライヴ始まる5分前くらいに、全部準備を整えてからトイレに行ったんですけど、出てきて楽屋に戻ろうとしたら、いきなり廊下で眼鏡かけて背広着たお兄さんに“貴方、パス持ってますか?”って言われて止められたんですよ! “いや、僕、パス持ってないんですけど”ってなやり取りしてたら、イベンターの人がブワァ~ッって走ってきて、“どうぞ、通って下さい!”ってめっちゃ焦って通してくれたんですけど、僕ね、この恰好(黒のステージ衣装)だったんっすよ! これ、ほんまの話やから」

yasuの話しっぷりから、その光景が想像がつくだけに会場からは笑いが起る。激しい楽曲を立続けに届けた直後に、ここまで素のトークが出来てしまうのもJanne Da Arcのカッコ良さの一つだろうし、ライヴの後半で届けられたメンバー全員によるMCからも伝わる彼等の人間性こそ、Janne Da Arcの欠かせない魅力なのだろう。しかし、そんなMCで流れが中断されることなどなく、続いて届けられた「BLACK JACK」ではシャッフルのノリが、一瞬にして会場をダンス・フロアに染め上げてしまうのだから、まったくもって素晴らしい。これも、バンドとしての実力があるからのことだろう。


中盤はMCを挟み、母親への感謝を歌にした「カーネーション」が、youのアコギ、yasuのヴォーカルというスタイルで届けられた。納得のいかなかった出だしに音を止めるというアクシデントがあったりもしたが、持ち前のキャラクターで難無くカヴァーし、素晴らしく透き通った声と柔らかいギターで歌を届けた。曲は、インディーズ時代のバラード「Legend of~」、何度もリフレインされるサビが心に染み渡る「DOLLS」へと流れ、会場を魅了したかと思えば、演奏力のスキルを見せつけてくるかのようなインスト曲の「ATHENS」や、会場中の拳と歌声が一丸となって熱い空気を作り上げていた「explpsion」が、燃え上がる炎の演出の中激しくぶつけられた。

この日のステージは花道がドラム後ろまで一周しているという構成だったのだが、yasuは、そのステージ構成をフルに活かし、驚く程にアグレッシヴなステージングを見せてくれた。しかし、歌いながらあそこまで走りまくって、声がまったく乱れないという事実にも終始驚嘆させられた。 本編ラストは「Kiss Me」。どこまでもキャッチーなこの曲は、激しさやダークさだけが彼等なのではないことを、大衆性に富んだ曲達も彼等の魅力であることを、Janne Da Arcとしての振り幅の広さを、証明しているかのように感じ取れた。

アンコールはシングル曲を中心に全部で5曲届けられたのだが、1回目は11月にリリースされる新曲「Love is Here」に始まり、2回目のアンコールではkiyoをヴォーカルに、yasuがギター、youがベース、ka-yuがキーボード、shujiがドラムというスタイルでセッションが届けられ、ラストを「シルビア」で締めくくった。

今年は、デビュー5周年というアニバーサリー・イヤーでもあったわけだが、5周年目にしての風格と、いつまでも変わらないバンドを始めたときの衝動のような気迫が共存した、彼等らしいライヴを届けてくれたことに、改めてJanne Da Arcの素晴らしさを心した夜だった。

取材・文●武市尚子

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