ハウスシーンを築き上げた世界最高峰のスーパーDJに直撃!

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20年以上もの間ハウス・シーンのトップとして君臨し、マイケル・ジャクソン、
マライア・キャリー、BSB、マドンナ、U2、ビョーク…と数多くのアーティスト達の
プロデュース/リミックスを手掛けてきたデイヴィッド・モラレス
世界中を忙しく飛び廻る中、11年ぶりに新作『2ワールズ・コライド
(=2つの世界の衝突)をリリース。
自身のこと世の中のこと…あらゆることに目を向けながら制作した
全ハウスミュージック・ファンに捧げる究極の一枚。来日したデイヴィッドを直撃した。

 
――新作『2ワールズ・コライド』は、前作『ザ・プログラム』から10年のスパンがあいてますが、それはなぜですか?
DAVID: ここ10年に関して言えば、延々とDJツアーの毎日だったからね。それが一番の理由かな。仕事におけるプライオリティとしては、“一にDJ”、“二に制作”だと思っている。だから、制作の時間は後回しにせざるを得なかったんだ。この10年はあっという間だった。いろんな国に行ったし、多額のギャラも得た。ただ、失ったものもある。その一つが、音楽制作から離れすぎたっていうことだね。

――アルバムのコンセプトは?
DAVID: タイトルの『2ワールズ・コライド』は、文字通り“矛盾”とか“衝突”を表わしている。愛と憎しみ、平和と戦争、善と悪といった具合にね。現代的なメタファーも含まれているし、個人的な体験談から派生した物語もあるよ。解釈は聴く人に任せたいけどね。

――このコンセプトは、何がきっかけで芽生えたのでしょうか?
DAVID: 実は、作り始めた時に明確なコンセプトはなかった。それが出来あがってきたのは、作品が完成した後だ。聴いているうちに、自分の実体験が見えてきたような気がしてね。楽しいパーティを過ごしているかと思えば、そうでない瞬間もある。自分は誰かを愛したいと思っていても、その相手は自分を愛してないこともある。あるいは、僕のようなジェット・セッター(飛行機で飛び回っているタイプの人間)と普通に9時~5時で働いている人々との対比――といったように、相反する事や感情が衝突した時のイメージを投影しているのさ。

――あなたのポジションであれば、もっと名のあるヴォーカリストを起用できたはずですが、あえて若くて無名なアーティストを起用したのは?

DAVID: もちろん、有名なシンガーを起用するのは可能だったさ。ただその一方で、これだけ前途有望なシンガーがいながらにして、彼女たちを使わないのはどうなんだろうかとも考えたんだ。タマラ・アキーナを除いて、他の3人には当初歌ってもらうはずじゃなかった。彼女たちはソングライターとして参加するはずだった。ただ、歌詞を書いてもらった時点で、デモを軽く歌ってもらったらそれが良くてね。その後、彼女たちとのセッションが始まった。白無垢のキャンバスに新しい絵を描きこんでいくような感覚。それは、名うてのシンガーたちとの作業では得られない新鮮さだったよ。

――どんなアウトプットが混じって、自らの音楽が形成されていると思いますか?
DAVID: 僕が今まで聴いてきた音楽の全てであり、仕事をしてきたアーティスト全てとの関わりから生まれてきたものだろう。つまるところ、4歳から40歳までの音楽体験の総和だろうね。僕の音楽的信条としては・・・かけるべきところには予算をかける作りっていうか、プロフェッショナルな仕事を心掛けることさ。今時のダンス系プロデューサーっていうのは、結構自分でエンジニアをやってしまうし、なにかとケチる面は多いけど、それは間違っていると言いたい。エンジニアには、エンジニアにしかできない仕事があるはずだ。だから僕は、自分の手に負えない部分に関しては一流のプロを使うのさ。それこそが、僕の仕事を輝かせる近道だとも思っているしね。
『2 WORLDS COLLIDE』
Victor Entertainment
VICP-62880 \ 2,520(tax in)
2枚組み

DISC 1

1 HERE I AM with TAMRA KEENAN
2 FEELS GOOD with ANGELA HUNTE
3 HOLDIN' ON with LEA-LORIEN
4 CAN'T FORGET U with LEA-LORIEN
5 U CAME with TAMRA KEENAN
6 BETTER THAT U LEAVE with LEA-LORIEN
7 HOW WOULD U FEEL with LEA-LORIEN
8 2 WORLDS COLLIDE with TAMRA KEENAN
9 LIFTED with LEA-LORIEN
10 TAKE MY LUV with VIVIAN SESSO
11 GLORIA'S GROOVE

DISC 2
12 HOW WOULD U FEEL with LEA-LORIEN
13 HOW WOULD U FEEL with LEA-LORIEN〔STEREO ANTHEM DUB〕
14 HOW WOULD U FEEL with LEA-LORIEN〔EXTENDED MIX〕

オフィシャル・サイト

http://www.jvcmusic.co.jp

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コメント映像

――影響を受けたアーティストがいれば、その具体名を出して教えてください。
DAVID: フランソワ・ケヴォーキアン。彼は間違いなく天才だろう。あとは、今回の作品でもキーボードを叩いてくれたエリック・カッパー。さらにピーター・シュワルツ。彼はミュージシャンでもあるんだけれども、ペット・ショップ・ボーイズのプロデューサーとしても有名な人だ。

――最後に、ジェット・セッターとしてここまで多忙な生活を送り続けてきたあなたは、こういう生活をいつまで続けようと思っていますか?

DAVID: この稼業を始めてもう29年になるな。ジェット・コースターみたいな毎日でタフだけど、僕自身は自分の才能を皆と分かち合えるのを幸せに思っている。今のところは辞めようなんて考えていないよ。それにこの稼業はアスリート達とは違って、年を重ねれば重ねた分だけ深みも出るしさ。まだまだこれからなのさ。少なくとも耳が聴こえて、五体満足なら続けていくつもりだ。

取材・文●岡本 俊浩

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