――2ndアルバムの構想を練り出したのはいつ頃ですか?
カニエ・ウェスト(以下、カニエ):コモンのアルバムを作ってる時、みんなで(自分の作った)トラックを回して聴いてて、それらのトラックの上で、オレならこうやってやるぜとか言いながらラップしてたんだ。そうやってドープな曲が完成していった。
――アルバムを作り始めた時にコンセプトは頭の中にありましたか?
カニエ:『レイト・レジストレーション』っていうタイトルはすでにあったよ。次のアルバムは『Graduation』、『A
Good Ass Job』だし。
――では、今作のインスピレーションとなったものは?
カニエ:『ザ・カレッジ・ドロップアウト』では、今までの人生経験の中からインスピレーションとなるものがたくさんあった。でも、『レイト・レジストレーション』も、別に生きるのをやめた訳ではないから、今でも浮き沈みがあるし、苦労もしてる。そういった経験からインスピレーションを得てる。カニエ・ウェストとして活動を始める以前に経験したこともあるし。ファンはそれに共感すると思う。
――プロデューサーのジョン・ブライオンがプロダクションに大きく貢献したとのことですが、彼について教えてください。
カニエ:彼は映画の音楽を作ってるんだ。オレはずっとシネマティックなサウンドの上でラップしたかった。だから、その分野で一流の人と一緒にやりたかったんだよ。
――彼の名前はどんな作品を通して知ったのですか?
カニエ:フィオナ・アップルのアルバム。フィオナのアルバムが好きだったから、彼のことを探し出した。
――20ピースのオーケストラを起用したりと、今回はいろんなチャレンジがあったそうですが、彼と仕事をしてみてどうでしたか? いろいろと学びましたか?
カニエ:すごくいい経験になったよ。彼と一緒に仕事ができるなんて、なにものにも代えがたかったね。彼のおかげで、いつもベストをつくさなきゃいけなかったしね(笑)。
――1stシングルの「Diamonds(邦題:ダイヤモンドは永遠に)」について教えてください。
カニエ:あのサンプル(映画『007』のテーマソング)がすごく好きなんだよね。ロカフェッラのアーティストが、今まで誰もあの曲をサンプルしてないなんて信じられないよって感じだった。最初の出来上がったビートを聴いた時はもちろん、ロッカフェラの盛衰、終焉、再生をラップしたかった。でも、この曲をいろんな人に聴かせると、「ダイヤモンド」という言葉から連想するものはそれぞれ違って、コンフリクト・ダイヤモンド(「紛争地」ダイヤ。内戦が続くアフリカのシエラレオネやアンゴラなどの国々の反政府軍が、不正にダイヤモンドの取り引きをして戦争の資金にしている。この内戦によって、何万人もの人々が犠牲になっている)とかブラッド・ダイヤモンド(コンフリクト・ダイヤと同じもの)を連想する人もいた。オレの友人でもあるQティップが、アフリカで起きてる様々なことを教えてくれたんだ。それは、アフリカではつい5年前に終わった戦争があって、その戦争はダイヤモンドをめぐって行われたもので、10年間続いたってことだった。アメリカ国内と同じように、(その戦争では)黒人同士が殺し合ったんだ。それをみんなに知って欲しかった。曲自体もビデオもダイヤモンド業界をターゲットにしたものじゃない。ダイヤモンドをめぐった紛争について知って欲しいんだ。
――PVのコンセプトはあなたが考えたのですか?
カニエ:そうだよ。Qティップからブラッド・ダイヤモンドの話を聞いて、何週間もそのことについて考えた。それでこのコンセプトを思い付いた。
――ビデオはプラハで撮影したそうですね?
カニエ:ずっとプラハでビデオを撮りたいって思ってたんだ。それにトラックのサウンドにも合ってると思ったんだ。