『人形劇ギルド』DVDリリース・インタビュー

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――撮影現場には行きましたか?

藤原:頻繁に見に行って撮影の邪魔をしたくなかったので、1度だけ見に行きました。あとは、届けられた映像を見て、リクエストを出させてもらっていました。僕たちは、自分たちのやるべきことをやろうと思って、作業をしていましたね。

直井:マンナズがツルハシを持って下ろすまでのシーンを撮るのに、1日かかるんですよ。当然、知識のない俺らが言えることなんて何もないし、入り込める状況ではなかったですね。専門の方にすべて任せました。

――オープニングの街の全体像は、セットですか?

藤原:あれはCGです。最初は全部を人形やセットでやりたいというのがこちらの意見だったんですけど、そこにこだわっていると、再現が難しくなるかもしれないということで、CGも入れることにしました。

――家の明かりが灯っている街並みとかも?

升:マンナズとベルカナの家はセットですけど、ほかの全体的なところは、CGとセットのミックスだと思います。

増川:人形自体はセットですけど、動く速度を変えたりするのは、コンピューターでやっていますね。

藤原: CGがOKになってからのほうが、ネタが出しやすくなっておもしろかったです。たとえば、空が回転するシーンは、CGならではのものなので。あと、漁港に船がくるシーンとかを入れるのもいいなと思ったんですけど、思いついたのがだいぶあとだったので諦めました。貿易している感じが出ればいいなと思ったんですけどね。

――そういう商業都市のイメージがあったんですね。

藤原:はい。決して孤立した島ではなく、交易もちゃんとあって、大陸ともつながっているということがわかればいいなと思って。だから、交通手段として飛行船を出しました。飛行船の形も色々あったんですけど、現代的な飛行船にするのがおもしろいんじゃないかと思って、あの形にしました。

――飛行船が出てくると、自動的に時代が特定されますよね。

藤原:僕的には、あの形の飛行船が出てくるのは、劇中の彼らのような生活感を感じる時代よりも、もうちょっと後なんじゃないかなというイメージなんです。でも、時代設定がブレる感じが好きなので、これでいいかなと。

――続編は考えていますか?

藤原:人形劇を作ることになったのは、「ギルド」のPVを作ろうとしたときに出たアイデアが発端なんです。なので、きっかけがあれば続編を作るかもしれないですけど、自分から能動的には働きかけないと思いますね。僕らはBUMP OF CHICKENとして音楽活動をやっていると、今回の作品も含めて胸を張って言えますが、客観的に見ると、多岐に渡って色んなことに手を伸ばし始めた、ちょっと邪念の出たアーティストという風にとられるかもしれないですしね。それを考えると、リスクのほうが大きいと思いますし。

――でも『SONG FOR TALES OF THE ABYSS』も『人形劇ギルド』も、元ネタとなっている曲がよくわかる発展形の作品ですよね。

藤原:僕もそう思います。作品を見た人もわかってくれると思うんですけど、情報だけが伝わると、どうしても“ええ? 次は人形劇? 何やってんの?”みたいな感じに取られるんじゃないかなと。そういうことには手を出さないのがバンドとして賢いやり方なんでしょうけど……でも、やりたくなっちゃったら、やるしかないですよね。

――必然性があって、アイデアが膨らんでいけば続編もあるかもしれないと。でも、今回の後日談、あるいは今回の外伝みたいなものって単純に興味がありますよね。

藤原:そういう声がファンから高まってきたとしたら、考えなきゃいけないかも知れないですね。投げっぱなしも無責任かなと思うし。お客さんのそういう気持ちはうれしいですからね。そのときの僕ら4人の気持ちが、みんなと同じ方向にいけたら、続編もありえる話ですよね。

――ファン側の気運が高まるということも、きっかけの1つとしてあるんですね。

藤原:胸を動かされる要素ではありますね。意見をいただくのは、とてもうれしいことですから。

直井:でもバンドは、ファンの要望を100%汲み取って動いていけるわけではないから、必ずしも続編が実現されるとは限らないじゃないですか。僕たちは、自分たちのやりたいことをしっかり考えて動いているので。でもそこで安心して欲しいのは、ファンの意見を無視しているわけではないということ。そういう1人1人の声は、自分たちも聞ける範囲でちゃんと考えて動いているので。

――ここのところ、音楽以外の表現領域での活動が顕著な印象がありましたよね。

藤原:たまたま、重なっただけですね。『TALES OF THE ABYSS』のサントラは、僕らを見守ってきてくれた人たちからみたら、今までの作品と比べて異質なものに感じられたかもしれないですけど。僕のソロ名義ですし。でもあれは、最初にBUMP OF CHICKEN として関わったことから始まったことですから。突然他の方向に、欲が伸びたというわけではないです。

――まったく自分たちの内側にないものをやっているわけではないと。

直井:ええ。やっぱりこういう作品を出すと、不安に思う人が増えると思うんですが、別に何も変わってないんですよ。昔から好きだった音楽、人形劇、ゲームを元に作品を作っているだけで、自分たちの生活の一部がポロッと落ちる感じですね。それがこの作品を通じて伝わればいいなと思います。

Interviewed by AKIRA SAEKI


  
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