サカナクション、デビューアルバム『GO TO THE FUTURE』インタヴュー

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サカナクション
デビューアルバム『GO TO THE FUTURE』を5/9リリース

■インタヴュー前半

――まず「サカナクション」というバンド名はどても個性的だね。名前の由来を教えて。

山口一郎(以下山口):ひねくれたことをやりたいなと思ってたんです。僕の考えの基本は、メロディと言葉をどう伝えていくかを最重要として、その手段としてアレンジを使い、それをバンドでやるということなんです。それには遊び心が必要で、いい意味でふざけたことをやりたかったので、バンド名にはあまり使われない響きの“サカナ”っていう言葉を使った。魚って止まっているところから急に動き出したりするでしょ。だから変化を恐れずやっていこうという意味を込めて、サカナのアクションでサカナクション。

――ギターの岩寺さんと2人で始めたときからこういう方向性だった?

山口:そうです。そもそもこういう方向でやるために結成したんで。その前はバンドでUKロックやってたんですけど、UKロックに限界を感じていて。そのバンドでできなかったことをどうできるか、歌メロをどういう形で出していったらいいかを考えたら、その方法論として出てきたのがこの方向なんです。基本となる歌や言葉に、たとえばテクノとかハウスみたいなロックとかけ離れたエッセンスを入れることで、より多くの人の耳に届くんじゃないかと思ったんです。

――UKロックに限界を感じたとはどういうこと?

山口:その頃は地元の北海道でもUKロックをやってるバンドは多かったし、そのままやっててもどうにもならないような気がして。それと、すごくいい歌を書いたとしても、それが広まるかどうかは状況にもよるんですよ。プロモーションだったり住んでるところだったり。いい曲を書くのは前提としても、それを広めるには発信する状況を作らなきゃいけない。そのために、アレンジという武器を使って面白いことをやり、メロディに触れてもらえるようにしなきゃいけないと思いましたね。

――そのとき思いついた面白いことって?

山口:そのバンドの後は、しばらく1人で活動してた時期があったんです。打ち込みでテクノとかクラブとか、アンダーグラウンドシーンですね。そのとき、これって日本のフォーキーなメロディに乗るんじゃないか、これでなにか違うことができるんじゃないかと思って、前のバンドにいたギターの岩寺を誘ってサカナクションを結成したんです。

――テクノっぽいサウンドはそこが原点?

山口:そうですね。そのころ着目したのは、ハウスとテクノの違いでした。リズムや構成とかの要素もあるけど、一発でハウスとテクノの違いを瞬間的に感じさせるのは音色なんだなと。だからそういう音色を論理的に混ぜていくと、歌モノだけどテクノだと感じるものになる。そこに需要があるはずだと思いました。

――活動開始から1年で大きなフェスに出たり、地元チャートにもランクイン。すごいスピード出世だけど、どんな活動をしていたの?

山口:主に地元(札幌)のライヴハウスでやってたんですけど、とにかく他の人と違うことをしようと思ってました。それでライヴにVJを入れて映像を写しながらやったんです。音さえ聴いてもらえれば理解してもらう自信はあったので、とにかくなんか面白いヤツがいるぞと思ってもらえばと。照明ってライヴの見え方には大事なことだけど、札幌のライヴハウスで照明をうまく使うのは難しかった。だったら全部消してもらって映像を使おうと。顔が見えないとか言われたけど、普通に演奏するよりインパクトがあるから。

――じゃあ曲を作るときにも映像がシンクロしてる?

山口:もちろんしてます。曲を書いてるときにはすでにプロモーションビデオのようなイメージができてるし。バンドでも、たとえばこの曲は仮タイトルが「京都めぐり」だから、祇園で演奏してるイメージでやって、なんてメンバーに指示したりしますよ。みんなが同じ映像をイメージして演奏できてたら同じ気持ちでできるでしょう。

――ほかのメンバーはどうやって集まったの?

山口:ドラマーの江島は知人に紹介されたんです。鍵盤の岡崎は仕事の同僚。ベースの草刈は、前のバンドのときによくライヴの対バンになっていて、優れたベーシストだなあと思っていたんだけど、そっちのバンドが活動休止になったのを機に誘ったんです。クラブ感っていうのはベースが重要で、いかに4小節でノリノリで面白いラインを作れるかっていうのが大事なんだけど、草刈はそのほかにフュージョンとかエレクトロニカの要素も持ち込んできた。実際やってみるとそのほうが歌が映えるんですね。J-ポップなメロディをテクノに乗せるのは難しいんだけど、それをうまく融合させてくれるんです。

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