筋肉少女帯、デビュー20周年記念作品 第二弾「ツアーファイナル」リリース特集

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筋肉少女帯

デビュー20周年記念作品 第二弾「ツアーファイナル」リリース特集 INTERVIEW


 

――一昨年の12月に復活して2年近く。アルバムとシングルも1枚ずつ出しましたが、活動を続けてこられての感触はいかがですか?

大槻ケンヂ(以下、大槻):はい、皆さんホントに良くしてくださって。正直、再結成というものがどういう効果をもたらすのかわからなかったので、とりあえず中野サンプラザでライヴをやってみてから、その後のことは順繰りに決めていこうと思ってたんですよ。メンバーとも8年会っていなかったので、ちょっと手の内を探り合ってる感もあったのが、だんだんと打ち解けつつ。バンドに関しては良い波に乗っているのがわかってきたので、ならばご期待に沿うように頑張ろうじゃないか、っていう感じですよね。

――そして今回、デビュー20周年記念シングルとして「ツアーファイナル」がリリースされる運びになったと。ハードロックのダイナミズムを備えつつ、サビは感動的とさえ言える盛り上がりのある楽曲ですね。

大槻:ライヴのラスト、さらに言えばツアーの最後でやったりすると盛り上がる曲なんじゃないか、という印象が最初にあったんですよ。20周年の記念シングルということもあって、こういう賑々しい曲のほうがシングル向きなんじゃないかと。

――ライヴがイメージできる曲ということで、「ツアーファイナル」というタイトルは納得ですけれど、やはりバンドの実体を鋭く切なく抉った詞は大槻さん節ですよね。

大槻:僕が筋肉少女帯と別にやっている 特撮 っていうバンドに「世界中のロックバンドが今夜も」っていう曲があって、これがバンド・ライフの楽しさと、ちょっと生々しい部分をアイロニカルに切り取った楽曲なんですよ。で、この「ツアーファイナル」は「世界中のロックバンドが今夜も」と、少し歌詞的には被ってるんですよね。だから僕の中での位置づけとしては、筋少版の「世界中のロックバンドが今夜も」という感じです。

 

――そこで描かれていることを、もう少し具体的に教えてもらえますか?

大槻:結局、人気商売の良いところと悪いところってトコかなぁ。ツアーだのライヴだのやってると、その場では物凄い盛り上がりと共有感、一体感があって。でも、結局そういうものは一夜限り……一夜どころか2時間ちょっとくらいのもんなんですよ。で、その瞬間は“一生ついてこい!”“一生ついていくわ!”なんてやり取りをしていても、次のツアーだと同じ会場がガラガラだったり。20年もやってると、そんなこといくらでも経験してるわけです。そういうことに対して“なんだよ、いいよ”という想いもあるけれども、やっぱりお客様とバンドマンの間には、どうしても越えられない大きな壁があるんですよ。お客さんにとっては、ライヴや音楽は人生の一部分にしか過ぎなくても、ミュージシャンにとっては人生の全て。どっちが良い悪いじゃなく、そういう壁が現実としてあるんですよね。

――すごくよくわかります。

大槻:でも、壁あって、だからこそ、出会った瞬間は一体感、共有感というものが生まれるんですよ。お互いに人生を共有してるような状況だったら、爆発するような連帯感なんて逆に生まれないですよ。ぶっちゃけ、ロックと言っても仕事であり、ライヴと言っても娯楽でしかない。そういう現実を抱えつつも、今ここで一体になるんだっていう熱い想いが、ロックのライヴにはあるんですよね。逆に、その面白さを歌詞にしてみたかったんです。

 
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