まきちゃんぐ、邪念なき無垢な心のすべてを比類なき歌唱力で歌い紡ぐ1stアルバム『知と性、毛布とセックス』リリース大特集

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まきちゃんぐ 1stアルバム『知と性、毛布とセックス』リリース大特集

マジで、こんな個性と声の素晴らしい歌手は他にいません! 圧倒的な個性 感傷的な切ないメロ 独創的な心の叫び 魅惑的な声

─―自分のこと話すのって、得意ですか?

まきちゃんぐ:う~ん……どうだろう。ちょっとだけ、苦手?

─―(笑)。名前の由来からお聞きしたいのですが、なぜ“まきちゃんぐ”なんですか?

まきちゃんぐ:高校の時からずっとお世話になっているライブハウスがあって、そこの店長さんが付けてくれたんですよ。その人が、ブッキングノートにサラサラっと「makichang」って書いて、それからずっとまきちゃんぐです。この前会ったときに、「これって、Hong Kong(香港)みたいな意味?」って聞いたら、「たぶん、そう」って言っていたから、どうやらそういうことみたいです(笑)自分の中では、けっこう葛藤はあったんですけどね。この名前で大丈夫なんだろうか? とか。実はいまだに、疑問に思っています。うふふふふ(笑)。

─―(笑)。岡山県の出身ですね。音楽がある環境で育ったんですか?

まきちゃんぐ:普通の家でしたよ、ちょっと貧乏なくらいで(笑)。家族の中には音楽をやっている人もいなかったですし。だから、なんで私がこうやって人前で歌を歌うようになったのか、自分でも不思議で。

─―音楽でやっていこうと決めたのは?

まきちゃんぐ:なんでしょうね……。「美味しいもの食べさせてあげるから、こっちにおいで」と言われたので付いていったら、いまここにいるという感じで(笑)。実は、特別シンガーになろうと思ったことは一度もなかったんですよ。

─―高校時代のバンド活動がキッカケになってるとか。

まきちゃんぐ:それもたまたま、友達に誘われたからですね。本当に普通のギャルバンドでしたけど、メッチャクチャ下手クソだったんですよ。あのままだったら、今ここにいないでしょうね(笑)。ぶっちゃけ、私ここにいるのは95%運だけだと思ってます。卒業を機にバンドは解散したんですけど、歌は好きだったので、続けてみようと思ったんですね。ただ、バンドの時はギター/ボーカルだったのですが、私はギターが下手だったんです。だから、今度はピアノがいいかなぁ? と思って。いまでもピアノは、そんなに上手だとは思っていないんですけどね。

─―デビューのきっかけは、<ヤマハ・ティーンズ・ミュージック・フェスティバル>への参加だったんですね。

まきちゃんぐ:はい。岡山のバンドって、みんな仲が良いんですよ。私が出ていたライブハウスにも<ヤマハ~>のチラシが来ていて、後輩のバンドが「出るんですよー」って言っていたから、「じゃあ私も出よーっと」って。「どっちが上か勝負しようよ!」みたいなノリだったんですよね、最初は。

─―その時から、すでに今のようなスタイルで?

まきちゃんぐ:そうですね。その時から今まで、何も変わらずここまでやって参りまして。

─―なるほど。1stアルバム『知と性、毛布とセックス』というアルバムが完成しましたが、ここで歌われていることは、まきちゃんぐ個人のことですか? それとも、客観的な出来事?

まきちゃんぐ:ベースになっているのは、自分のことですね。そこにいろいろな要素をくっつけていって、曲が生まれていく感じです。私の場合、歌詞が先に出来るんですね。普段生活している中で耳に飛び込んできて気になったフレーズとか、ふと思いついたことを書きためておいて、ピアノでメロディを付けていく、という感じ。

─―では、まず歌いたいことが先にあって、曲ができていくという感じなんですね?

まきちゃんぐ:そういうことになるかもしれないですね。

─―「ハニー」も、やっぱり実体験なんですよね?

まきちゃんぐ:そうです。でも、今思うとなんでこんな歌詞書いたんだろう?って感じで。

─―なんでだと思います?

まきちゃんぐ:17歳の時に書いた曲なんですよ。だから、17歳だったからとしか言いようがないかもしれない。若かったんですよ。ああ、恥ずかしい!

─―(笑)。どの曲も、ものすごく強烈な歌詞だと思うんですよ。このアルバムを聴いていると、泣いている女性がパッと浮かんできます。特に恋愛の歌が多いと思うのですが、これまでに恋愛はたくさんしてきましたか?

まきちゃんぐ:人並みだと思います。私、同性の友達があまりいないんですよ。逆に、女の子同士でご飯とかに行って、みんな何話してるんだろうとか、考えちゃうくらいで。お互い気まずくなるのが好きじゃないんですよね。たとえば、会話が途切れちゃったらどうしようとか(笑)。学校では、意外と上手く立ち回っていたんですけどね。家に帰ってくると、ずっと一人だったり。会話がなくても成立する、親友と呼べるような存在になればいいんですけどね。だから私って、思ったこととか感じたこととか、そういったことは全部好きな人に向けちゃうんです。

─―恋の歌が多くなってしまう理由は、何故だと思いますか?

まきちゃんぐ:う~ん……。たぶん、書きやすいからだと思うんですよ。言い換えると、曲を書こうと思う沸点を超えるものが、恋愛なんだろうなって。

─―すごく切実なメッセージが、独白のように綴られていますね。

まきちゃんぐ:上手く言えないんですけど、私は頭で考えて、曲を作ったことがないんです。たぶん、見え方だと思うんですよ。私にとって曲作りは、あるものの形を丸くする作業だとすると、その形について考える時って、その丸ができてからなんですよね。それが卵に見えるか、ゴルフボールに見えるかは、本当に人それぞれで。人それぞれ、感じるままに聴いてもらうのが、一番だと思いますね。

─―なるほど。このアルバムタイトルも、なかなかセンセーショナルですよね。

まきちゃんぐ:けしからんタイトルですよねぇ(笑)。私ひとりで決めたタイトルではなくて、私が信頼しているスタッフのみんなと一緒に考えて、残ったのがこのタイトルだったんです。はじめは、『知と性』か『毛布とセックス』の、どっちかにしようと思っていたんですよ。でも、どっちにも決められなかったんですね。なので「、」で結んでしまおうと。この二つの「~と~」が、関連しているようにも見えるし、そうじゃないようにも見えて。合っているようで、正反対みたいな。その、「なんとなくいいよね」っていう感じが良かったんですよね。断言してしまうようなものより、広がりのあるものの方が好きですし。後付けなんですけど、「愛とリアル」のような対比にも見えますよね。なので、私はそういう風に解釈しています。そういえば、なんで毛布って変な花柄とかなんでしょうね(笑)?

─―確かに、毛布って意味不明な柄のものが多いですね(笑)。

まきちゃんぐ:ねー(笑)。なんか「毛布」って、リアルじゃないですか。「毛布」っていうと、各々の頭の中に毛布が出てきちゃって。そこが好きですね。

─―アルバム制作は、楽しかったですか?

まきちゃんぐ:楽しかったです!ササッと済んでしまったのが、本当にもったいないくらいで。いろいろな人とお仕事させていただいて、想像していた形よりも良くなったり、思いもよらない曲になったり、そういうのが本当に楽しかった。同じアルバムの中の曲なのに、関わってくれる人によって曲の個性が全然違うんですよね。どの曲も、非常にクオリティの高いものになったなぁって、実感しています。……キャー!こんなカッコイイこと、インタビューで言ったことないわ!

─―(笑)。でも、自分の曲がアレンジによって生まれ変わるというのは、なかなかスリリングな作業ですよね。

まきちゃんぐ:「ハニー」とか「煙」とか、シングルの曲は特に昔から歌っている曲ですからね。最初は少し抵抗があったんですけど、アルバムオリジナル曲とかは、自分の中で先入観が生まれる前にアレンジしてもらったので、素直にすごく良い曲だなぁと思えて。

─―確かに、デビュー・アルバムという妙な気負いはないですよね。

まきちゃんぐ:全然ないですね。超自由でした。むしろ、スタジオのプレイヤーさんたちの方がピリピリしていたくらいですから(笑)。

─―1曲目「9cmのプライド」の9cmって、何の距離なんですか?

まきちゃんぐ:これはですね、ヒールの高さなんですよ。私、高いヒールが好きで、だいたい9cmくらいのヒールの靴をいつも履いているんです。足が痛くてもヒールを履くのって、女っぽいプライドなのかなって。どんなに痛くても、ヒールは履いていたいんですよ。やっぱりカッコイイですからね、女のヒールは。この曲は、「正しさと正義を持って」のくだりから生まれたんですよ。これが私の世界だ、という部分が出ているのかもしれません。

─―なるほどなぁ。これは絶対に、男からは生まれない歌詞ですよ。

まきちゃんぐ:そうですかぁ。やっぱり、1曲目はガツン! といきたいじゃないですか。お店の試聴機で聴く時ってこの曲から始まるわけだし、最初から“ピアノの弾き語り”というイメージが付きすぎてしまうのも、違うと思ったんですよね。

─―「鋼の心」が、映画『青い鳥』の主題歌になりましたけど、どんな気持ち?

まきちゃんぐ:なんだか、不思議な感じですよ。この曲も、やっぱり昔から歌っている曲なんです。映画のテーマが、なかなか重いお話ですからね。この曲が上手くマッチングして、作品のお邪魔にならなければいいなぁと思っていますけどね。

─―自分の曲との距離感についてですが、自分の曲に込める思いについては、どのように考えていますか?

まきちゃんぐ:すごく真剣には歌っていますけど、特に強い思いを込めようとか、そういうつもりはほとんどないんですよ。なんというか……独りよがりに見えるような歌い方って、見ていてもこっちが恥ずかしくなっちゃうんですよね(笑)。カッコイイのが恥ずかしいんですよねぇ。カッコつけている、自分が恥ずかしくて。うふふふふふ(笑)。

─―(笑)。最後に、これからこのアルバムを聴く人に、どのようなメッセージを送りますか?

まきちゃんぐ:「あらぁ、まきちゃんぐを手に取っちゃったのね?」で、いかがですか(笑)。それか「聴かなくてもいいので、買ってください!」で、お願いします(笑)!

取材・文●冨田明宏

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