シド、1年7ヶ月ぶりのアルバム『dead stock』完成。「時間が経っても色褪せない音楽になってほしい」

ポスト

シド

1年7ヶ月ぶりのオリジナル・アルバム『dead stock』2011.02.23 on sale

INTERVIEW

「“普段だったら使いたくない”って言葉をあえてハメてみたり。そういうことをやっていかないとダメだと思うんですよ」マオ

――明希さんが作曲した「いいひと」にも驚かされました。おしゃれなポップスっていう雰囲気ですよね。

明希:さっき言ってたミーティングのときに、フレンチポップの要素が感じられる曲がほしい、っていう話が出てきて。それを自分なりに解釈しながら書いたのがこの曲ですね。

――ふだん、フレンチポップを聴くことって…。

明希:好んで聴くことはないです。でも、やりたくないことをやってるわけじゃなくて、いままでやったことのないジャンルをやってみるのは意味があることだと思っていて。わりと自然な感じですよね、そこは。あと、「いいひと」に関しては女性ヴォーカルの雰囲気を意識してたんですよ。

マオ:俺はもともと若干のハスキーヴォイスなんだけど、この曲に関しては女性っぽい、透明感のあるヴォーカルをイメージしてて。難しかったですけどね、ちょっと。

――それも新しいキャラですよね。Shinjiさんの作曲による「dog run」は'60年代のモータウン・サウンドのイメージだな、と。

Shinji:あ、そうらしいですね。

――意識してなかった?

Shinji:はい。よく言われるんですけど、モータウンってほとんど聴いたことないんですよ。この曲を作ったときは、昔っぽい感じをイメージしてたんですよね。昭和の明るい時代の雰囲気というか、カラーテレビの前でみんながワイワイしてたころのような…。

マオ:曲調はぜんぜん日本じゃないけどね(笑)。

Shinji:だから、テレビから聞えてくる感じなんですよ、きっと。“よくわかんないけど、外国(の音楽)はすげえ!”っていう(笑)。

ゆうや:何が新しくて何が古いのか、最近わかんないですからね。よくテレビの音楽番組で、“2003年のランキング”みたいなのをやってるじゃないですか。ああいうのを見てても、“新しいな”って思うこともあるし。

――なるほど。「ワイフ」(作曲/明希)にもちょっと懐かしい感じがありますね。

明希:これはテーマも何もなく、自分が勝手に作った曲なんです。ルンバみたいな雰囲気もありつつ、シドっぽい匂いもするっていう。それだけを意識してたわけじゃないんですけど、メロディは歌謡曲チックですよね。こういうジャンルはもともと好きだし。

――女言葉の歌詞も、メロディによく似合っていて。

マオ:最初にこの曲を聴いたときの印象が“情熱・おしゃれ”みたいな感じだったから、そこから広げていきました。あとね、いままでに書いたことのないような歌詞にしたかったんですよ。“普段だったら使いたくない”って言葉をあえてハメてみたり。そういうおもしろさを追求してみたくて。

――興味深い試みだと思います。当然、作風も広がるだろうし。

マオ:結局、そういうことをやっていかないとダメだと思うんですよ。さっき言ってたヴォーカルのキャラと同じで、歌詞に関しても“ホントにマオがひとりで書いてるの?”っていう感じにしたくて。歌詞はぜんぶ自分で書いてるから“これとこれって似てるよね”ってことになったら、それは俺の責任ですからね。

――バンドの基本的な姿勢として、“同じようなこと、似たようなことはやりたくない”っていう思いがあるのかも。

ゆうや:それはありますね。違う雰囲気の曲が増えていけば、ライヴの幅もどんどん広がっていくだろうし。3人が曲を作るからこそ、こうやっていろんな曲が生まれてくるんだと思いますね。それは常々、感じてます。

――そうですね、まさに。アルバムの最後を飾る「Sympathy」からは、まさにシドのライヴの光景が伝わってきました。

マオ:うん、そうですね。お客さんといっしょになって、“さあ、次に行こうか”っていう感じというか。メロディもすごく好きだったし、あまりヒネらないで、ストレートな歌にしたいなって。

――3月からスタートする<dead stock TOUR 2011>にも繋がってますよね。アルバム『dead stock』を中心としたツアーだと思うんですが、みなさんの意気込みとしてはどんな感じですか?

ゆうや:アルバム・ツアー自体も久しぶりだし、ホールやアリーナ・クラスの会場で地方を回れるのもすごく楽しみですね。

マオ:それぞれの地元の人たちとの再会だったり、“はじめまして”だったり。またいろんな出会いができると思います。

明希:大きい会場ならではの見せ方や演出もありますからね。新しいこともやっていきたいし。

Shinji:どんどん変わっていきたいですね。きっと、いろいろ出てくると思うんですよ。“こういうギターソロのほうがカッコいいな”とか“こっちのバッキングのほうがいい”とか。

――ライヴを通して曲が変化していく、と。

Shinji:それがなければ、ただ無難に終わるだけですから。間違ってもいいから、冒険したいですね。

この記事をポスト

この記事の関連情報