MOTIFサウンドも収録、12GBのサンプルライブラリー搭載のマルチティンバー・ソフトシンセ「HALion Sonic」

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ヤマハは、ドイツSteinberg Media Technologies GmbH(以下スタインバーグ社)との共同開発によるスタインバーグブランドのVSTワークステーションソフトウェア「HALion Sonic」(ハリオン・ソニック)を9月15日より発売する。

「HALion Sonic」は、高い評価を得ている「Hypersonic2」を受け継ぎながら、高次元の性能、充実したコンテンツと共に生まれ変わったオールラウンドワークステーション。VST対応、マルチティンバーのソフトウェアシンセサイザーとなっており、ヤマハの「MOTIF」ゆずりのサウンドを含む膨大なプリセットをすばやく呼び出せるのが特徴となっている。もちろん、そのサウンドも魅力的。スタインバーグとヤマハのサウンドエキスパートによる12GBのサンプルライブラリーとシンセエンジンが生み出すアコースティック、シンセサイザー、そしてハイブリッドサウンドは、作曲家やプロデューサー、ミュージシャン、サウンドデザイナーのあらゆる期待に応える内容となっている。

最大の魅力は、スタインバーグとヤマハのサウンドエキスパートによる12GBもの多彩なサンプルライブラリーと最新のオーディオ/シンセエンジンの搭載。16種類の音色(プログラム)を同時に使用することができるマルチティンバーのオーディオ/シンセエンジンには、サンプルプレイバックモード、スライスループモード、ドラムモード、シンセモードの4つのモードを備えており、これらを自由に選んで組み合わせて使うことが可能だ。

サンプルライブラリーは、ヤマハシンセサイザー「MOTIF」シリーズのサウンドデザインチームが手がけた12GB、1,200音色以上の楽器音で構成。これらのライブラリーは、楽器ごとに最大18種類のアーティキュレーションを備え、アコースティック楽器からシンセサイザーの名機、クラブサウンド、環境音、そしてアコースティックドラムや最新のヒップホップループまで網羅。また、「Cubase 5」で定評のメディアベイ機能を搭載しており、豊富なライブラリからスピーディーに音色検索が行える。さらに「Cubase 5」のメディアベイにも完全対応しており、「HALion Sonic」を起動せずに音色の試聴を行うことも可能だ。


サウンドエディット機能の充実も注目だ。1つの音色は最大4レイヤーで構成、レイヤーごとに多彩なエディットが可能だ。ポリ数、ピッチ、チューニング、フィルター、アンプ、エンベロープなどレイヤーごとに用意されており、フィルターは24種類から最大4つを選んでブレンドできるモーフィングフィルターを搭載。さらにシンセモードでは、強力なマルチステージエンベロープ、LFO、ステップモジュレーター、モジュレーションマトリクスなどのコンポーネントを備えた、本格的なシンセサイザーエディターが利用可能となっている。エフェクトは、AUXやマスターだけでなく、各レイヤーにも4スロット用意、「Cubase 5」で好評のREVerenceをはじめとする高品位なエフェクトを自由に利用できるのも大きなメリット。これらのエフェクトは「Cubase 5」とまったく同じ品質だというから恐れ入る。

鍵盤による演奏が得意でないという人も注目なのが、アーティキュレーション機能。「HALion Sonic」は、ヤマハシンセサイザー「MOTIF」シリーズで好評のアルペジオなどのアーティキュレーション機能を「Flex Phrase」として搭載しているのだ。ビート、アルペジオや複雑なフレーズ、アーティキュレーションを動的に操ることができる約1,500種類もの「Flex Phrase」対応パターンを搭載しており、入力や演奏がむずかしいギターのチョーキングやスライドなどもリアルに再現できるようになっている。さらに、「Cubase 5」「Cubase Studio 5」で「HALion Sonic」を使用すれば、スコアやキーエディター画面上に装飾記号を置くだけでアーティキュレーションを再現する「VST Expression」機能にも対応する。ほとんどの機能はVST対応の各種DAWで使用可能だが、この「VST Expresssion」だけはCubaseユーザーのみの特権というわけだ。

制作時だけでなく、ライブパフォーマンス時の利用も考えられているのも大きな特徴だろう。プログラム/レイヤーごとに8つのコントローラーを自由にアサイン可能な8つのノブ「クイックコントロール」を搭載。さらに8つの「トリガーパッド」も搭載し、コードを含むMIDIノートやコントローラーをアサイン可能だ。MIDIキーボードへのアサイン、スプリットも容易で、次の曲に備えてマルチセットアップを鍵盤/ボタンひとつで切り替えることもできるようになっている。また、2種類のクイックコントロールとして動作する2次元コントローラー「スフィア」も搭載。モーフィングフィルターなどのコントロールに威力を発揮する。

OSはWindows&Macに対応。Windows環境ではVST3/VST2.4に、Mac環境ではVST3/VST2.4に加え、AUといった多彩なプラグインフォーマットに対応。スタンドアローンとしても使用可能なのはライブでの使用にうれしいところだろう。

9月2日に行われた発表会では、サウンドのグレードの高さや表現力の豊かさ、エディットの充実ぶりに加え、プリセットのロードの早さにも驚かされた。楽器名やスタイル、キャラクターでサウンドを検索し音色を選べば、容量の大きそうなプリセットであってもほぼ一瞬で選択したサウンドがスタンバイ、演奏可能となるのだ。また、音色切り替え時に音切れがないのも魅力。切り替え直前に打鍵した音のリリース音が最後まで発音されるのだ。ライブで使える楽器としてのこだわりが感じられるソフトウェアという印象だ。

充実したサウンドとアーティキュレーションで「MOTIF」シリーズに魅力を感じていたものの価格面で手が出なかった、という人ならまっ先にチェックしたいソフトウェアだ。気になる実勢価格は通常版が29,800円前後、アカデミック版が19,800円前後。また、「Hypersonic」、「Hypersonic 2」、「HALion Player」の登録ユーザーにはバージョンアップ版(18,300円)が用意される(HALion Player OEM、HALion ONEは対象外)。バージョンアップ版ははスタインバーグバージョンアップセンターのみでの販売となる。

◆HALion Sonic
価格:オープン
発売日:2010年9月15日

◆HALion Sonic 製品詳細ページ
◆プレスリリース
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
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