音楽の楽しさがストレートに伝わるモニターサウンド、SHURE「SE215」

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SE215は、幅広いラインアップを有するシュアの中でも、エントリーに位置する製品。型番的は「SE210」の後継に見えるが、ドライバーがバランスド・アーマチュアではなくダイナミック型を採用している点や、1万円前後の実売価格を考えると、事実上は「SE115」のビッグアップデートともいえる意欲作だ。


▲「SE215」のトランスルーセントブラック
とはいえ、デザインにおいても機能面においても、SE210やSE115とは一線を画す内容となっている。まず本体は、「SE535」や「SE315」などにも採用されている新世代SHURE共通のシェルデザインを採用。シリーズとして統一感のあるアイデンティティーが与えられた。また機能面でも上位モデルのクオリティーが継承され、ケブラー素材による高耐久性を実現したケーブルは、本体との接続部にスナップ・ロック式の金メッキMMCXコネクターを採用。着脱可能なことに加え、360度回転することにより、装着時の快適性も考慮されている。

シェルボディのカラーは、クリアーとトランスルーセントブラック(濃いグレー)の2バリエーションがラインアップされている。

■ユーザビリティー
モニターイヤフォンなどに良くある「耳掛けタイプ」と呼ばれる装着方式は、遮音性やタッチノイズの低減にはかなりの威力を発揮するが、装着時の煩わしさが気になるのも事実。しかしSE215は、MMCXコネクター採用によって劇的といってもいいほど装着性が向上している。さすがに一般的なタイプと同様とはいわないが、ケーブルが自由に回転させられるため、手慣れてしまえばかなり素早く装着することが可能だ。

またSE535に対してはもちろん、SE315と比べても本体サイズがスマートにできているためか、装着時のフィット感はかなり高い。このサイズであれば、耳の小さめな女性であっても違和感なく使えそうだ。


▲ケーブルが着脱可能で360度回転する(左)。付属品は、キャリングケース、ソフト・フォーム・イヤパッド(S/M/L)、ソフト・フレックス・イヤパッド(S/M/L)など(右)

それにもまして、ケーブルが着脱可能な点はありがたいかぎり。筆者のようにケーブルを断線した経験のある人間にとって「いざとなれば交換できる」ことは安心感に繋がるし、別売されているコントローラー付ケーブルに交換すれば「iPhone」などでの活用時も便利だ。また上位モデルと共通の仕様となっていることから、将来的には高級ケーブルへのカスタマイズも期待できるだろう。

なお、イヤーチップはSHUREの代名詞ともいえる低反発発泡タイプとソフトシリコンがそれぞれ3サイズずつ同梱(どうこん)されている。SSなどの極端なサイズはないが、ほとんどの人は標準添付されているものでこと足りるはずだ。

■サウンドの特長
勢いのある元気なサウンドから一変、SE215はクリアかつダイレクトな印象に生まれ変わった。ひとことで言えば、素直でストレートなサウンド。中域から高域にかけては見通しが良く音数も多く、演奏の細やかな部分がよく見える。いっぽうの低域は、モニター系としてはボリューム感が大きめに設定されているものの、中域のリアルさをスポイルしてしまうこともない。絶妙なバランス感覚といえるだろう。まるで上質なモニター系ヘッドフォンを聴いているかのように、演奏のひとつひとつをありのままの姿で素直に伝えてくれる。こと帯域バランスに関しては、見事といっていいだろう。

▲クリアーもラインアップ(左)。ダイナミック型マイクロドライバーをシングル搭載

試聴プレーヤーを「iPod nano」から「ウォークマンAシリーズ」に変えてさらに驚いた。音は一段とダイレクトになり、演奏者の様子が見えるかのように、描写が丁寧になる。また高域への伸びがとても素直で、ピアノの演奏がとても開放的になった。これはいい。

調子に乗ってさらにヘッドフォンアンプを繋ぐと、今度はひずみ感が低減されつつ、底力のあるサウンドへ変化した。女性ヴォーカルは声の伸びやかさが良くなり存在感も増したため、より歌の世界へ没入できるようになる。

このようにSE215は、プレーヤーの違いやヘッドフォンアンプの有無を如実に感じさせる、高い実力の持ち主だ。1万円前後の価格帯でこのクオリティーは望外といえる。またケーブルの交換ができるなど、ユーザビリティーとしてもかなりの魅力を持ち合わせている点もうれしい。SHUREの製品開発者は常に「ユーザーの期待を上まわる製品を作り上げることを心がけている」と言っていたが、SE215はまさにその典型、良い意味で期待を裏切ってくれた。愛用モデルとして気軽に屋外へと持ち出したい、なかなかの製品だ。

解像度感(粗い--○--きめ細かい)
空間表現(ナロー-○---ワイド)
帯域バランス(低域強調-○---フラット)
音色傾向(迫力重視--○--質感重視)

製品名:SE215
型番:SE215-K-J(トランスルーセントブラック)、SE215-CL-J(クリアー)
ユニット:シングルダイナミック型MicroDriver
音圧感度:107dB
インピーダンス:20オーム
ノイズ減衰量:37dB(最大)
再生周波数帯域:22~1万7500Hz
入力コネクター:金メッキ3.5ミリ(ステレオミニプラグ)
ケーブル:1.6メートル着脱式、ワイヤーフォームフィット機能付き
価格:オープンプライス(実売予想価格:9500円前後)
発売日:販売中

(ニュース提供:+D LifeStyle)

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