ローランド/ボス、2011年秋の新製品からRC-300とR-26を詳解

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ローランド/ボスから2011年秋の新製品が大量投入された。今回はその中から、楽器プレーヤー&音楽好き注目の2製品、ループ・ステーション「RC-300」とポータブル・レコーダー「R-26」を紹介しよう。

■ギター、ボーカル、なんでもOK
■ループ・パフォーマンスのためのRC-300

BOSSブランドから登場したRC-300は「フレーズ・ルーパー」と呼ばれる製品。ギターなどの演奏をリアルタイムに録音・再生、音を重ねていくループ・パフォーマンスがカンタンにできる「Loop Stationシリーズ」の最新フラッグシップ・モデルだ。


たとえば、ギターでパワーコードのバッキングを数小節弾けば、すぐにそれがループ(繰り返し)再生される。それに合わせてリフを弾けば、そのフレーズもすぐさまループ、そしてソロを重ねる。マイクを使えばボーカルを入れることもできるし、ボイスパーカッションによるリズムループも乗せられる。そんなパフォーマンスがたった1人でできるのが、Loop Stationシリーズ。ギタリストだけでなく、ボーカリスト、アコースティック楽器プレーヤーも注目のパフォーマンス向けギアなのだ。

最新モデルのRC-300は、ステレオで最大3時間の録音が可能。トラックは3つ、いずれもステレオで用意されており、これらを組み合わせたフレーズ・メモリーは最大99まで保存可能だ。さらに多彩なリズム・パターンも搭載。さまざまなジャンルに対応できるのはもちろん、正確なテンポでの録音もバッチリだ。

■3トラックに独立したフット・スイッチ装備でミスはゼロ!

スイッチやペダルがずらりと並ぶペダル・タイプのボディは、一見ギター用マルチエフェクターのようなスタイル。3つのステレオ・トラックには、それぞれ独立した録音/再生/オーバー・ダビングの操作ができるフット・スイッチが装備されている。手前にある6つのフット・スイッチがそれ。足元で直感的に操作でき、ミスも防げるといううれしい仕様。従来モデルでは、録音するトラックを選択してから、録音・再生するという操作が必要だったことを考えればその優位性がわかるはず。そして、ループ再生しないワンショット、ストップ・モード、パン、そしてリバース(逆再生!)といった指定もできるので、1回の録音でもバリエーション豊かな再生が可能になる。


さらに各トラックのレベル調整には3つの独立したボリューム・フェーダーも備えられている。まさに見たままの操作ができるので、メカに弱い人もうれしい限りだ。

操作性をさらに向上させるための拡張性にも注目。エクスプレッションペダルを最大2台、またはフット・スイッチを最大4台まで接続できるのだ。フレーズ・メモリーのアップ/ダウンや、録音/再生、エフェクトコントロールなどさまざまな用途に利用可能。自分好みのセッティングができるというわけだ。

■ペダルでコントロールできる16種のエフェクト

プレーヤーの演奏を彩り、ループにさらに多くのバリエーションを生み出してくれるのが16種類のエフェクト「LOOP FX」。入力音や各トラックの再生音にエフェクトをかけることができる。エフェクトは再生するトラックのテンポに同期して設定されるというカンタン仕様がうれしい。

フランジャーやフェイザー、フィルターやディレイといったギター向けエフェクトに加え、ボーカルをロボット風や女性風に加工する、ギターをベースサウンドに変換する、音程を変える(転調)といったエフェクトが用意される。ギター用とされるエフェクトをボーカルに使う、あるいはその逆といった具合に、アイディア次第で、無限のバリエーションが得られるはず。これらは本体右の大きなエクスプレッションペダルを使ってリアルタイムにコントロールすることが可能だ。

■どんなソースもOK! 豊富な入出力端子

RC-300はギター、ベースだけでなくさまざまな楽器、オーディオ機器、マイクが接続可能だ。キーボードならステレオ入力対応のINST端子、マイクならXLR端子はファンタム電源対応なので高品位なコンデンサーマイクもOK。バイオリンなどのアコースティック楽器だってもちろん使える。iPodなどの音楽プレーヤーの接続に便利なステレオ・ミニジャックまで用意。録音済みのバックトラック(iPodなどで再生)+ギター&ボーカルといったセッションなら別途ミキサーも不要なのもポイントだ。


ライブにうれしいのがSUB OUTPUTの存在。メインの出力以外に、特定のトラック信号を別系統で出力できるのだ。同期のためのクリック用に使うとか、バッキングパートとのバランス調整はライブハウスのPAにおまかせ、といった使い方もできる。

■パソコンとの連携も強力、バックアップからPCレコーディングまで

USBを介したパソコンとの接続が可能なのも大きな魅力だ。まず、RC-300のトラックはWAVファイルとしてバックアップが可能、さらにパソコンからRC-300に書きこむことも可能。USBマス・ストレージ対応なので、エクスプローラーやファインダーから通常のドライブのように扱える。パソコンの音楽制作ソフトで作ったファイルをRC-300で再生といったこともカンタンに行えるというわけだ。

さらに、USBオーディオ機能の搭載もライバル機にはないアドバンテージだろう。RC-300でアイディアを練って曲づくりした後で、別途オーディオインターフェイスをつなぎ直してレコーディングする、なんて手間は不要。そのままRC-300にギター、マイクをつないだままPCレコーディングに移れる。なんて便利!

ライブ・パフォーマンスはもちろん、曲づくりからトラック制作まで、さまざまなシーンで活躍してくれること間違いなしだ。

◆RC-300
価格:オープン
発売日:2011年11月下旬発売予定

■ポータブル・レコーダーなのに6チャンネル同時録音?
■2種類のステレオマイク+外部マイクであらゆる用途に対応する「R-26」

ローランドのポータブル・レコーダー、Rシリーズの最新モデルは従来モデルとはまったく違った要素を取り入れた。それが、異なる指向性を持った2種類の独立マイクの搭載と、6チャンネル同時録音への対応だ。その場にしかない音を「最高の音質で残す!」「 録り逃しをなくす!」という意気込みが伝わってくるまさにプロ仕様の製品となっている。

最初に基本仕様だが、最大24ビット/96kHzのリニアPCM録音に加え、長時間録音にうれしいMP3での録音も可能。ファイルフォーマットはタイムコード記録も可能なBWFにも対応する。WAV/BWFとMP3ファイルの同時録音が可能というのも気が利いている。そして、それ以上に注目したいのが、24ビット/96kHz対応での録音の品質を支える2種類のマイクだ。

■指向性・無指向性の2種類のマイクを内蔵

R-26には、2種類のステレオ・マイクで構成された「DUAL STEREO MIC」を搭載する。タイプの異なるXY(指向性)とOMNI(無指向性)を用意し、それぞれのバランスをミックスすることもできるし、別々に収録することも可能。シチュエーションに応じて最適なサウンドが録音できるのだ。2種類のマイクは収音特性を最大限に生かすよう、形状や搭載位置、角度に徹底的にこだわったという。さらに周囲はすべてメッシュで覆われ、超低音域までありのままのサウンドが収音できるよう最適化。XY(指向性)マイクは90度の角度で配置、面倒なセッティングなしで狙いどおりのサウンドが得られる。

ここで気になるのは、この2種類のマイクによるサウンドの違いだろう。観客の歓声やラッパ、太鼓やカネなどの鳴りモノを叩く音など、野球場でフィールドレコーディングされた音を聞いてみると、XY(指向性)マイクは太鼓や歓声がはっきりと分離したくっきりとした音。一方のOMNI(無指向性)マイクは、分離感こそ劣るがレンジが広く低音もよく出ている。改めて聴くと、XY(指向性)のほうが低音がもの足りなくも感じる。このキャラクターの異なる2種類の音をうまくミックスして、求めるサウンドが得られる、というのがR-26最大のポイントになりそうだ。

■外部マイク接続で6チャンネル録音も可能

内蔵マイクに加え、48Vファンタム電源対応の外部アナログ入力(XLR/TRS)やプラグイン・パワー対応のマイク入力(ステレオ・ミニ)の装備もR-26の大きな特徴だ。2種類のマイクとの併用で最大6チャンネル(3ステレオ)の同時録音が可能になる。そのサウンドは、定評のある業務用レコーダー・ローランド「R-44」直系のマイク・プリアンプの搭載で最高水準のクオリティが実現している。

さて、この6チャンネル=3ステレオ分の入力は、別ファイルで保存することができる。これがもたらす恩恵は計り知れない。たとえば、楽器演奏の収録なら、内蔵マイクを楽器に向け、外部マイクは離れたところから会場の残響や観客がたてる音といった環境音(アンビエンス)を収録。それをパソコンに取り込んで、ミックスすれば臨場感たっぷりのトラックが出来上がるというわけだ。外での録音はいろいろと気を使うことが多く、いい音で録ろうするためにはセッティングも大変になる。しかし、後でミックスや編集でカバーできるとなれば、気も楽になり、録音時のミスやストレスも大きく軽減できるはず。

なお、これら3系統の入力には、独自開発のアナログ回路「IARC(Isolated Adaptive Recording Circuit)」が、それぞれ搭載される。これはデジタル回路や電源部と完全に分離することでデジタルノイズや干渉を最小限に抑えた透明感のあるサウンドを実現するものだ。

■録音ミスとはもうオサラバ! オプションも用意

録音ミスはどんな時でも避けたいもの。R-26ならそんな心配は最小限で済ませられる。まずは、プリ・レコーディング。これは、録音ボタンを押したタイミングから2秒間さかのぼって記録ができるという機能。録音ボタンを押すのがちょっと遅れた場合でも、音の鳴り始めを逃すことはないというわけだ。

録音レベルの調整は初心者ならずとも気をつかうところ。しかし、R-26ならAUTO-SENS機能がそれを大幅にシンプルにしてくれる。録音の準備時に録音対象となる音を鳴らしてもらい、それをもとに最大音量を検出するのがこの機能のキモ。この数秒の作業だけで、それぞれのソースに最適なマイク感度の設定、入力レベルの解析/表示を自動で行ってくれるのだ。歪んだり、音が小さすぎたりといった失敗はR-26では起こらない。

屋外での録音では、風の音が入ってしまうという失敗も起きがちだ。そんな場合はオプションのR-26専用カバーとウィンド・スクリーンのオプションセット「OP-R26CW」が強い味方となる。カバーはR-26を収録したままで操作が行える専用設計。汚れや傷、衝撃からも守ってくれるほか、収録時にはハンドリング・ノイズ、接地面からの振動ノイズの軽減にも一役買ってくれる。そして、ウィンド・スクリーンは、音声を通し、風の入り込みを防いでくれる。R-26と同時購入したい必須アイテムだ。

■大型タッチ・パネル・ディスプレイで直感的に操作可能

R-26には、直感的な操作が可能な大型のタッチ・パネル・ディスプレイが採用されている。照度の高いバック・ライトを装備した高精細液晶は画面のメリハリが効いて実に見やすく、様々な操作、入力レベルの確認などの視認性もバツグン。サウンドを編集するときには、波形がグラフィック表示されるので、指先でのオペレーションで直感的な操作ができる。

■パソコンのオーディオインターフェースとしても機能

「BR-800」や「BR-80」といった最近のボスのデジタルレコーダーは単独でのレコーディングはもちろん、パソコンのオーディオインターフェイスとしても利用可能となっている。そして、ポータブル・レコーダーのR-26にも同様の機能が搭載されることとなった。R-26の高性能のマイクを使ってPCでレコーディング、収録終了後すぐに編集が始められるのは大きなメリットだ。さらに、ライブ動画の配信にも活用できるなど応用範囲は広い。

そして、うれしいことにWindows用の音楽制作ソフト「Cakewalk SONAR X1 LE」も付属する。R-26で収録した音をミックス・編集できるほか、楽器やボーカルのレコーディング、音楽制作に活用できる。ある意味、オールインワンパッケージとしての魅力も備えているというわけだ。


◆R-26
価格:オープン
発売日:発売中

◆RC-300 製品詳細ページ
◆R-26 製品詳細ページ
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◆ボス
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◆ローランド チャンネル
◆BARKS 楽器チャンネル
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