ラジカセの魅力を詰め込んだ、ラジカセビジュアルDVDが熱い

ツイート
今やアニソンからV系、ボカロ、アイドルまで、日本の音楽は世界中で大きな注目を集め絶大なる支持を集めているが、1960年代後期から1980年代にかけて音楽発展の高度成長期に音楽再生機器として世界を席巻していたのも、メイド・イン・ジャパンの素晴らしいアイテムだった。ラジカセである。

◆ラジカセのデザイン - ナレーション(古谷徹)

ラジカセの誕生は1968年。日本が最も得意とする合体家電の象徴ともいえるラジカセの第一号機は、AIWAのTPR-101というモデルだ。いわゆるラジオとカセットレコーダーを合体させたものだが、ラジカセ・コレクター第一人者の松崎順一氏によると、ラジカセの定義とは、「取っ手が付いていること」「ラジオとカセットの合体であること」「乾電池で駆動すること」だという。

「使い勝手のよさ」と「自由なデザイン」により、ラジカセはラジオとカセットというシンプルな構造だけに、自由な発想と遊びのコンセプトをふんだんにとりいれ、あらゆる方向へ進化、発展を繰り返した歴史を持っている。往年のスタンダードから、え?っと驚く異端児まで、ラジカセの軌跡には、驚きと感銘に満ち溢れた様々なストーリーがある。

そんなラジカセの世界を伝えるラジカセビジュアルDVDというべきラジカセ百科事典『ラジカセのデザイン!JAPANESE OLD BOOMBOX DESIGN CATALOG』が6月27日に発売となった。

そんなラジカセにも黄金期があり、1975年から1985年の10年間は高度成長期からバブル時代まで、それぞれの時代に合わせた数多のラジカセが登場し、人々の生活の中に溶け込んでいったという。このDVDでは厳選した主要30機種が「スタンダード」「多機能」「チープ&キュート」「コンパクト&カジュアル」「ビッグスケール」の5つのカテゴリーで紹介、ラジカセの顔であるフロント部分は勿論、リア、サイド、アップといった様々な角度から舐めまわすかのように映し、機種によってはその特徴を余すところなく紹介している。コントロールつまみにギミックがある場合は、実際に動かしその音を再現。シリーズが続く機種については、チューニングスケールや製品番号表記等を比較するために過去機種ラインナップもあわせて紹介されている。

欧米やアジア各国に輸出されて大人気となった機種や、残念ながらCD時代の到来により最高度のスペックを持ちながら生産台数が少なく未だにマニアの間では希少として取引されている機種、あまりの人気で当時プラモデルまで発売された機種など、登場モデルのキャラは非常に濃い。日本の精鋭技術者たちが自由な発想と威信をもって盛り込んだ素晴らしいテクノロジーについても紹介されている。

ドルビー以外の国産ノイズリダクションシステムや、疑似的に4chのように音に立体感をもたせるシステム、大型パッシヴ・ラジエーターなど、1970年代後半から80年代初頭に日本で開発されていた技術の紹介も興味深いが、存在自体が謎で意味のないギミックが搭載されているような脱力モデルも、愛すべきラジカセの一端を彩るモデルとして、愛情持って紹介されている。

「カセットテープ」の紹介も含め、主要30機種から漏れた日本を代表する79機種については特典画像集として収録されており、様々な角度の写真とともに製造年、サイズ、特徴が紹介されている。英語字幕も対応しており、英語圏のマニアにもやさしい作りだ。

ラジカセで音楽を楽しんできた世代の皆様、是非一度チェックを。うおー、これ持ってたー!と甘酸っぱいものが呼び起されるぞ。次はその後の時代を席巻したドデカホーンを核としたVol.2も発売してほしいなぁ。


『ラジカセのデザイン!JAPANESE OLD BOOMBOX DESIGN CATALOG』
2012年6月27日発売
UIBZ-5067 6980円
監修・解説:松崎 順一(デザインアンダーグラウンド)
ナレーター:古谷 徹
・5カテゴリ別 主要30機種の紹介
・松崎工場長のラジカセコラム
・主要5機種の生音聴き比べ

◆『ラジカセのデザイン!JAPANESE OLD BOOMBOX DESIGN CATALOG』オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス