ローランド2012年秋の新製品、フラッグシップ音源モジュールやボーカル向け練習ツールなど大量投入

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ローランドは、都内の同社オフィスにて新製品内覧会を開催し、ボーカル向け製品、シンセサイザー、キーボード、アンプ、音楽制作周辺機器、iPadアプリなど数多くの新製品を披露した。

毎回多彩なジャンルの製品をリリースするローランドだが、今回は音源モジュールやPC用の鍵盤、オーディオインターフェースなど、パソコンを使った音楽制作環境向けの製品が目立つラインナップ。逆にギター関連製品は少なく、モバイルタイプのアンプがあるのみ。また、まったく新しいジャンルの製品としてボーカリスト向けの練習ツールが登場したほか、ローランドピアノ・デジタル「デジスコア・シリーズ」の機能をiPadアプリで実現した「ピアノ・パートナー」をはじめ、iPadを活用した製品が多いのも印象に残った。それではさっそく各製品の概要をレポートしていこう。なお、製品価格は一部を除いていずれもオープンプライスとなっている。

■フラッグシップ音源モジュール「INTEGRA-7」

今回の新製品の中でトップバッターとして紹介されたのが「INTEGRA-7」(9月22日発売)。ローランド音源技術の集大成とも言えるサウンド・モジュールだ。JUPITERシリーズでプロから高い評価を得ているSuperNATURALサウンドをさらに強化して搭載。さらに、XV-5080に加えSRXシリーズ12タイトルすべてを搭載、GM2音源も搭載する。その内蔵音色数はなんと6,000以上。エフェクトは、16パートすべてにMFXの使用が可能で、単音使用時とマルチ使用時で音が変わらないという利点も。音色などのエディットにはiPadアプリを用意。大画面で効率よい環境が得られるほか、ローランド・ワイヤレス・コネクト(WNA-1100RL)使用で無線接続にも対応する。PCとの接続では、USBでMIDIとオーディオの入出力が可能となっている。

音源モジュールの機能として目新しいのが、音場空間コントロール技術のMotional Surround機能。内部16パート+外部入力1パートの合計17パートをサラウンド定位させることができる。2ch出力でも奥行きや左右の広がりを実現でき、スピーカー出力/ヘッドホン出力、それぞれの出力モードを用意。もちろん、パラ・アウトからの5.1ch出力にも対応する。SONARで利用できるプラグインによるサラウンド定位の記録・再生も可能だ。


▲前後左右好きな位置に音像を移動させられるMotional Surround機能。DAWでVSTプラグイン(写真左)のほか、iPad(写真中)でもコントロール可能。iPadではその他音色のエディットなども可能。

■RD-700NX/RD-300NXにiPadエディターが登場、JUPITER-80/50もワイヤレス対応

ステージピアノの「RD-700NX」「RD-300NX」は、新機能が追加された。まず、RD専用のiPadエディター(App Storeより無償ダウンロード)により、快適なエディット&コントロールが可能となった。ローランド・ワイヤレス・コネクトによる無線接続にも対応する。また、ステージでの使用頻度が高いシンセ・サウンドをフィーチャーしたライブ・セットが50個追加。さらにユーザー・ライブ・セットも倍増。アップデータはローランドWebサイトでダウンロード可能となっている。

また、「JUPITER-80」「JUPITER-50」向けのiPad用エディターアプリ「JP Synth Editor」もローランド・ワイヤレス・コネクトによる無線接続に対応した。本体のアップデータはローランドのサイトからダウンロード可能となっている。


▲RD-700NX、RD-300NXは新機能追加でiPad用エディター(写真右)に対応。即戦力のシンセ・サウンドを含むライブ・セットも追加(写真中)。JUPITER-80、JUPITER-50のiPad用エディターアプリはENA1100-RLでの無線接続対応。

■iPadにも対応したMIDIキーボード・コントローラー A-88&A-49


▲88鍵ハンマー・アクション鍵盤採用のA-88。本体色はブラック。
PC関連製品としては、まず2種のMIDIキーボード・コントローラーが登場。88鍵の「A-88」(12月発売)はアイボリー・フィールG鍵盤搭載のピアノ・タッチで、49鍵の「A-49」(9月22日発売)は本格シンセサイザー鍵盤を採用。「A-49」はホワイトとブラックの2色をラインナップする。

両機種とも、SuperNATURAL音源のコントロールに最適なパラーメターに瞬時にアクセスできるモードを装備。2つのノブ、ペダルを使い、INTEGRA-7やJUPITER-80/50の持つ表現力を活かした演奏を実現。また、センサーに手をかざすことで、ピッチやボリュームなど好きなパラメーターを変化させられるD-BEAMの搭載も見どころ。ライブ・パフォーマンスで威力を発揮すること間違いなしだ。

このほか、Windows/Mac/iPadの3つのプラットフォームに対応、DAWソフトウェア「SONAR X1 LE」が同梱される。


▲A-88、A-49ともにiPadとの接続には別途Apple Camera Connection Kitが必要。A-49は弾き心地を徹底追求した本格シンセ鍵盤採用で、ホワイトとブラックの2カラーを用意。

■VS PREAMP搭載の「DUO-CAPTURE EX」、USB MIDI「UM-ONE mk2」もiPad対応

USB接続オーディオ・インターフェース「DUO-CAPTURE EX」は、OCTA-CAPTUREなどで好評の高音質マイク・プリアンプVS PREAMPを2系統搭載しての登場。堅牢なアルミ・ボディ採用、USBバスパワーに加えて単三乾電池とACアダプター(別売り)の3電源方式採用で、ファンタム電源対応の単体プリアンプとしても利用できるなど大きく進化。また、Apple Camera Connection Kit使用で、iPad用の高品質なオーディオ/MIDIインターフェースとして利用可能となる。こちらも「SONAR X1 LE」同梱で、発売は12月上旬を予定。

1IN/1OUTのシンプルなケーブル一体型USB MIDIインターフェースの「UM-ONE」は、Windows、Macに加え新たにiPadに対応、「UM-ONE mk2」として登場する。Apple Camera Connection Kit経由でのiPad接続に対応。そのほかの機能は変わらず。発売は11下旬。


▲DUO-CAPTURE(写真左)の入力は、コンデンサー・マイクも使用可能なXLR端子とシンセなどの接続に最適なTRSタイプの標準フォーンタイプを兼ね備えたXLRコンボ・ジャック。UM-ONE mk2(写真右)はケーブル一体型で、一方がUSBで他方がMIDI入出力。写真ではiPadとCamera Connection Kitで接続、MIDI端子は手前のシンセに接続されている。


▲CD-2i/CD-2eなどのレコーダー機器に最適なスレテオ・コンデンサー・マイクロホンCS-15RS。ステレオ・ミニプラグを標準プラグに変換する延長ケーブルも付属。
アクセサリ関連では、ステレオ・コンデンサー・マイクロホン「CS-15RS」が登場。アコースティック楽器からバンド演奏まで高音質での録音が可能。

単一指向性マイクならではのピンポイント録音が可能、プラグいパワー方式のほか電池駆動にも対応する。

ウィンドスクリーンやマイク・スタンド・グリップ、変換ケーブルなどの付属品の充実も魅力。価格は13,650円で、発売は10月下旬予定。

■「SONAR X2」の最上位グレードにはR-MIXプラグインを搭載

DAWソフトウェア「SONAR」は「SONAR X2」へ、今年もメジャーバージョンアップ。現在、ローカライズが進められており、発売は11下旬を予定している。パッケージは、今回もPRODUCER、STUDIO、ESSENTIALの3グレードを用意。「X1の革新的なユーザーインターフェースの改良をはじめ、100を超える機能強化によって、操作性と安定性がさらに向上。想像力をさまたげないシームレスなワークフローを実現」と紹介された。搭載されるプラグインでは、PRODUCERにローランド「R-MIX」をプラグイン化して搭載するという大きなトピックが。また、OVERLOUD社のアンプ・シミュレーター「TH2」(PRODUCERは「TH2 PRODUCER」、STUDIO/ESSENTIALには「TH2 SONAR」)、スタジオ・リバーブ「BREVERB SONAR」(PRODUCERのみ)が収録されるのも注目だ。


▲クリップビューの一新、オートメーション・レーン新搭載などトラックやクリップ管理にメスが入れられた。PRODUCERでは、R-MIXのほか、往年の名器3タイプのアナログ・ミキシング・コンソールをエミュレートした「Console Emulator」、FX ChainsをProChannnelモジュールとして活用する機能も。

このほか、オーディオ・インターフェース「QUAD-CAPTURE」と「SONAR X2 STUDIO」のバンドル「SONAR X2 POWER STUDIO QUAD」(11月下旬発売)も同時発売予定。アップグレードキャンペーンや、毎年恒例のユーザーイベント<SONAR PREMIUM DAY>の開催も予告された。

■コンパクトなモバイルアンプ「MOBILE-BA」&アコースティックギター用アンプ「MOBILE-AC」

屋外でも利用可能な製品を多数リリースしているローランドならではのラインナップがこちら。ハイパワー&電池駆動、ミキサー&スピーカー内蔵で場所を選ばず使用できるポータブル・アンプBAシリーズに、さらにコンパクトなステレオ・モバイル・アンプ「MOBILE-BA」が仲間入り。2.5W+2.5W出力、単三アルカリ乾電池×6本で最大15時間の連続使用が可能。約A4サイズのボディに多彩な入力に対応できる3ch仕様、ハウリングの発生を自動検知して防ぐアンチフィードバック機能、ボーカルレッスンに便利なセンター・キャンセル機能、マイク・エコー機能なども備える。キャリングに便利な専用ストラップも付属。発売は10月予定。

「MOBILE-BA」と同サイズ、黒いボディで登場するのは、アコースティック・ギター用アンプACシリーズのモバイル・タイプ「MOBILE-AC」だ。単三アルカリ乾電池×6本で最大15時間の連続使用が可能で、出力は2.5W+2.5Wと基本スペックも同じ。ギター入力に加え、マイク&オーディオ入力の3ch仕様。充実のエフェクトもウリで、ワイド(3chすべてに使用可能)、リバーブ(マイク/ギター)、コーラス(ギターのみ)の3種類を備える。こちらは12月発売予定。


▲同サイズ、同形状のMOBILE-BAとMOBILE-AC。スタンドやACアダプター、キャリングケースといったオプションも用意。

■ピアノの演奏やレッスンをサポートするiPadアプリ「ピアノ・パートナー」

iPad専用アプリ「ピアノ・パートナー」は、App Storeで無償配布が開始されたピアノ・レッスン用アプリ。譜面立てに液晶画面を搭載したローランド・ピアノ・デジタル「デジスコア・シリーズ」で好評な機能の一部をiPadアプリで実現。ゲーム感覚で楽しみながら譜面読みや聴音の練習ができる「フラッシュ・カード」、ピアノ本体の音色や内蔵曲を一覧で表示、iPadで選択を可能にする「コンテンツ・ナビ」、ピアノ本体の内蔵曲の楽譜をiPadに表示する「デジスコア・ライト」といった機能を備える。ピアノとの接続はApple Camera Connection Kit経由のほか、ローランド・ワイヤレス・コネクトにも対応する。


▲譜面立てに「ピアノ・パートナー」をインストールしたiPadを置いてを利用すれば、液晶搭載モデルのような外観に。対象機種は、LX-15/HP507/HP505/HP503/DP90S/DP90(デジスコア・ライトはLX-15、HP507のみ対応)。

同じく既存モデルに機能を追加するものとしては、ローランド・オルガン ミュージック・アトリエに新たな音色と機能を追加する「AT-900/AT-900C・AT-800用アップグレード・パッケージ」(49,875円)を用意。楽器特有の繊細なアーティキュレーションまで再現するスーパーナチュラルボイス36音色の追加、「パイプオルガン」ボイスの追加、Dビームへの機能追加、オーディオ録音・再生機能追加などがなされる。発売は10月下旬予定。

■歌いながら音程確認、練習コンテンツ内蔵のボーカリストのための練習ツールVT-12

「VT-12」は「ボーカル・トレーナー」と名付けられた手のひらサイズの製品。ローランドが新たに提案するボーカル練習ツールだ。

ボーカルトレーニングに必要な機材、すなわち、ボーカル専用のチューナー、録音再生用のマイクとスピーカー、基準音/メトロノーム、レコーダー機能を装備。チューナーはボーカルに最適な精度でピッチを検出、2声同時検出にも対応でき、ハーモニーの確認も可能。バークリー音楽大学の出版部門が制作した教則本を練習ガイド・ブックとして付属。その内容に沿った練習曲26曲を本体に内蔵する。

また、クラシック志向のボーカリストのために、ボーカル・レッスンのワールド・スタンダード「コンコーネ50番中声用」を50曲すべて収録する。本体は非常にコンパクト、ストラップの取り付けも可能なので、携帯にも便利。

カラーはブラック(9月14日発売)、アクア・ブルー、メタリック・オレンジ(以上2つは11月発売)の3種類がラインナップされる。


▲デモでは内蔵曲に合わせてレッスンを実演。チューナーは反応が早く、歌いながらリアルタイムにピッチが確認できる。録音した音をチューナーで確認することも可能。

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