ローランドが春の新製品を発表、ギター用マルチ、ギター・プロセッサー、ボーカル・エフェクトなど超強力なイクイップメントをお披露目

ツイート

ローランドは新製品内覧会を開催、フランクフルトミュージックメッセ2014で発表したギター、ボーカル関連新製品を国内で披露した。

◆ローランド新製品~拡大画像~

ギター用マルチ・エフェクターのフラッグシップモデル「GT-100」のサウンドを詰め込んだデスクトップ・タイプ・モデル「GT-001」、GKピックアップ搭載ギター用のギター・プロセッサー「GP-10」といったギター関連製品に加え、弾き語り向けのボーカル・エフェクト「VE-2」、ストリート向けパフォーマンス・アンプ「CUBE Street EX」といった新製品が登場。既発売の「GT-100」のアップデートもアナウンスされた。いずれもバンドマン、プレイヤー要注目の製品だが、ボーカル・エフェクトの「VE-2」は、動画配信をやりたい人もチェックしたいモデルとなっている。

■デスクトップタイプの「GT-001」登場、「GT-100」はVersion2.0へ進化


最初に登場したのはギター・エフェクト・プロセッサー「GT-001」(ジー・ティー・ダブル・オー・ワンと発音された)。デスクトップタイプのエフェクターだ。

GTシリーズは、BOSSのマルチ・エフェクターのフラッグシップモデル。圧倒的な性能を誇るカスタムDSPとCOSM技術の進化によってビンテージから、オリジナルアンプを作り出せるADVANCED AMPまで幅広いエフェクトとアンプを用意。エフェクトは2系統を同時使用が可能だ。今回の「GT-001」の登場で、GTシリーズは2種類をラインナップすることになり、用途によって選べるようになっている。


▲2モデルのラインナップでステージにはGT-100、制作にはGT-001と、2つの異なるシチュエーションに対応(写真左)。GT-100 Ver2.0では多くの機能が追加(写真右)。


▲GT-100はVersion2.0に進化。新規出荷分にはVer.2のステッカーが貼られる。
「GT-100」(2012年3月発売)は、2つの大型液晶パネルと9つのペダルを装備、高い視認性とダイレクトな操作感でライブパフォーマンスに向くモデル。「GT-001」の発売に合わせ、Version2.0に進化(アップデータは4月17日より無償公開)、以下の新機能が追加される。そして、これらの機能は「GT-001」にも搭載されている。

・モデリングアンプの追加
・新規エフェクツの追加
・BOSS TONE CENTRALに対応
・USB機能強化
・ポリ・チューン機能搭載

追加されるモデリングアンプは、「ME-80」に搭載され好評を得ているBognerのUberschall、OrangeのRockerverbの2種類。エフェクツではOVERTONE、TERA ECHO、A-DISTが追加。さらにロータリーのモデリングRotary2が追加されたほか、アコースティック・ギター・シミュレーターは、より箱鳴り感が生々しく再現されクオリティが向上している。

USB機能も強化。まず、「ME-80」で好評の「TONE CENTRAL」に対応。「TONE CENTRAL」は、プロ・ミュージシャンが作成した即戦力パッチが試聴&入手できるWebコンテンツ。「BOSS TONE STUDIO」というエディター/ライブラリアンソフトをダウンロードすることで、「TONE CENTRAL」にダイレクト・アクセス可能。PC上で視覚的にわかりやすいエディットが可能になるほか、ライブごとにパッチを入れ替える作業も簡単に行える。


▲TONE CENTRALでプロの作ったパッチをダウンロード(写真左)。TONE STUDIOでは視覚的にサウンドをエディット可能(写真右)。

さらに、USB機能強化では2系統のUSBオーディオ入出力が可能に。これによって、ギターの録音時にウェットとドライの両方を同時録音可能となり、「リアンプ」がスムーズにできるようになる。バッキングトラックを再生しながら同時にリアンプができるので、音作りがしやすいのもポイントだ。これはGTシリーズのみのアドバンテージだ。また、単音のギター演奏をMIDI情報に変換する「Guitar to MIDI」機能も追加。ローランドのギター用フリーソフト「Guitar Friend Jam」も楽しめるようになった。


▲GT-100 Ver2とGT-001ではエフェクトあり・なしの両方を同時録音可能(写真左)。USBオーディオの2ポート化で、カンタンにリアンプ可能、より柔軟な制作環境が得られる(写真右)。

「GT-001」は、これら「GT-100 Version2.0」の機能をコンパクトなボディに詰め込んでいる。サイズは、「GT-100」のわずか5分の1、超スリムでスタイリッシュな外観が特徴。テーブル上で場所をとらず、プロクオリティのサウンドで練習から音楽制作まで幅広く楽しむことができる。

「GT-001」のみの機能として、XLR端子の装備がある。これにより、アコースティック・ギターや、ボーカルに対するエフェクト処理が可能。アコギやボーカルに最適化したパッチも用意するので、DAWと組み合わせての音楽制作がよりしやすいモデルに仕上がっている。

「GT-001」は4月25日発売。価格はオープンプライスで想定売価は30,000円(税別)。


▲GT-001は、ノートパソコンとともにデスクトップに置くのにぴったりなコンパクトなボディ(写真左)。左側面にはライン出力とヘッドフォン端子、右側面にはAUX入力、ギター入力、CTRL/EXP端子、そしてファンタム電源供給可能なマイク入力を装備(写真右)。USB端子は背面に。


■GKピックアップ搭載ギターと組み合わせるギター・プロセッサー「GP-10」、BOSSブランドからデビュー

非常にコンパクトなイエロー・ボディが印象的な「GP-10」は、ギター・モデリング、シンセ・モデリング、オルタネイト・チューニング機能、マルチ・エフェクターが融合したコンパクトなギター・プロセッサーだ。

従来ギター・シンセサイザー関連製品はRolandブランドでリリースされてきたが、「GP-10」はBOSSブランドからのリリースとなる。BOSSブランドからということで「よりギタリストに近い存在の製品としてデビュー」。従来のギター・シンセサイザーよりも購入しやすい価格での登場だ。

GKピックアップ搭載ギターとの組み合わせでは、ギター・モデリング、ギター・シンセの名機Roland GR-300や2オシレーターによる分厚いサウンドが得られるアナログ・モデリング・シンセ、各弦に独立したエフェクトをかけることができるPOLY FXが使用可能。また、モデリング・ギターに対して、ノーマルなチューニングのギターをさまざまなチューニングに瞬時に切り替えられるオルタネイト・チューニングも利用できる。


▲GKインプットではギター・モデリング、シンセ、POLY FXが利用可能。ギター・モデリングはシングル・コイル、ハムバッカー、アコースティック・ギター、シタール、バンジョー、フレットレス・ギター/ベースなどに対応。通常のギターでもCOSMモデリングが利用できる(写真左)。背面端子の一番左がGKインプット、その隣が通常のギター用入力(写真右)。その他ギター出力、メイン出力、ヘッドフォン出力、AUX入力、EXP 2/CTL 3,4端子、USB端子などを備える。

また、GKピックアップを搭載していないギターでもエフェクトの使用は可能。ノーマル・ギター・インプットを使って、アンプ・モデリングとマルチ・エフェクトが使用できる。より幅広く使えるギター・プロセッサーというわけだ。

本体サイズは251×207×71mmとコンパクトながら5つのペダルを装備、さまざまなエフェクトボードに載せることができる。ここでは2つの使用例が挙げられた。まず、GK INへの接続で「GP-10」をダウン・チューニング専用機として使い、その後ろに通常使っているエフェクトを接続する。もう1つは、ノーマル・ギター・インプットを使用した場合で、「GP-10」を空間系エフェクトとして使うという例だ。


▲左がGK IN、右がノーマル・ギター・インプットの使用例。信号の流れは左から右。

「GP-10」でもUSB機能の強化がポイントとなっている。USBオーディオは2系統の入出力が可能で、リアンプに対応するのは「GT-001」と同様。「GP-10」ではさらにGKピックアップ使用時に1度レコーディングしたギターの機種を変更する「Re-Guitar(リギター)」も利用可能となっている。これは、GKピックアップ&「GP-10」ならではの機能だ。もちろん「TONE CENTRAL」にも対応、「BOSS TONE STUDIO」のエディター/ライブラリアンも使用可能なので、よりスムーズにエディット、パッチ管理が行える。

発売は6月末。「GP-10」単体(「GP-10S」)が40,000円(税別)、GKピックアップをセットにした「GP-10GK」が50,000円(税別)となっている(いずれも想定売価)。


▲GT-001、GP-10のデモ演奏は関秀樹。ペダル操作でさまざまなサウンドを次々を聴かせる。


■弾き語り系ボーカリスト向けのボーカル・エフェクト、Vocal Harmonist 「VE-2」

続いての登場はボーカル用のエフェクター、Vocal Harmonist 「VE-2」。商品説明の前に、ボーカル向けエフェクトの市場について語られた。

ローランドは、ボーカル向けエフェクトとして2009年にBOSSから「VE-20」をリリースし大ヒットを記録。「ボーカルマーケットはこの7年間で8倍に増加、今後も成長が期待できる」とした。「VE-20」のユーザーはギタリスト兼ボーカリスト、いわゆるバンド・ボーカリストが多数を占めており、ボーカル全体から見ると機材の扱いに慣れている人が多かった。昨今のボーカル録音では、ハーモニー機能やオートチューンなど、積極的にエフェクト処理がされたものが多く、こうしたエフェクトをカンタンに使いたいというエントリー・ユーザーも多かったという。そこで、ソロ・ボーカリストに向けた商品として「VE-5」を2012年にリリース。その展開の中で、バンド・ボーカリスト以外にもたくさんの細分化されたボーカリスト層が存在することがわかったという。そして、今回の「VE-2」の発売にあたっては、ターゲット・ユーザーをさらに明確化することをコンセプトとしている。

そんな「VE-2」のメイン・ターゲットは、「弾き語り系ボーカリスト」。手軽な価格とシンプルなユーザーインターフェイスでカンタンにボーカル・エフェクトが楽しめる「VE-2」の投入で、よりエントリー・ユーザー層にもエフェクトを使ってほしいとした。

最大の特徴は、何も考えずにギターとマイクをつないで弾き語りするだけで、美しく自然なハーモニーを生成すること。そして、これ1台を持っていくだけで、いつでもどこでも基本的なボーカル・サウンド・メイキングが完結。リバーブ、ディレイ、エンハンスのエフェクトが使用でき、しかも電池駆動もOK。さらに動画配信をしたいユーザーにうれしいUSB機能も搭載する(ループバック対応)。


▲ギターとマイクをつなげば、楽器のキーに合わせてハーモニーを生成(写真左)。OFFモードではつまみでキー指定も可能(写真右)。

ここで驚かされたのが、ハーモニーの検出だ。「VE-2」には、ボーカル入力とは別に、ギターまたは鍵盤楽器を接続する入力端子を装備。ここに楽器の演奏が入力されると曲のキーを判定する。コードを解析するのではなく、キーを解析するのだ。その判定結果がCなら、入力されたボーカルに対してCのキーのハーモニーが付加されて出力される。コードに対するハーモニーではないので、より音楽的なハーモニーが付けられるとのこと。

キーを判定する「Auto Harmony Type」には3つのタイプを用意。まずは、楽器をつなぐだけですぐに曲に合ったハーモニーが楽しめる「FULL」モード。ギターのストロークをメインにしたデモ演奏ではまったく設定なしで、ギターとマイクをつないだだけで曲に合ったハーモニーが出てきた。しかも転調にも対応している。

続いて「HYBRID」モード。アルペジオや、コード展開が早くなった場合にもより美しいハーモニーを奏でられるモードだ。こちらの場合もしっかりと判定が行われ、きれいなハーモニーを聴くことができた。

楽器を演奏しない人でも楽しめるように用意されたのが「OFF」モード。この場合は本体のKEYつまみでキーを指定する。デモでは独唱による「アメイジング・グレイス」を披露。荘厳なゴスペル調のハーモニーを聴かせた。このカンタンさと、ハーモニーの美しさはぜひ実際に味わってほしいところだ。


▲ハーモニーのタイプは12種類を用意(写真左)。アコースティック・ギターとボーカルによるパフォーマンスを披露したのはナオリュウ(写真右)。

ハーモニーのタイプは12種類、さらに音の厚みを増やしゴージャスな響きを作り出すバリエーションを含めると24種類から選択可能。デモではその中から抜粋して紹介。最初はOFFの状態から始まり、曲の途中から3度下のハーモニーを付加、その後5度下と5度上のハーモニーを付加するという一連の流れを、ギターを弾きながらの操作で実践して見せてくれた。シンプルなアコースティック・ギターの弾き語りでもここまでサウンドを展開させられるのには驚かされた。路上ミュージシャンにとっては非常に魅力的なエフェクターとなるはずだ。発売は5月予定。想定売価は20,000円(税別)。


▲非常にコンパクトなVE-2。背面のコネクタは左から上がギター入力、下がギター出力、その右がマイク入力と出力(XLR)、USB端子とACアダプタ端子、VARIATION,MEMORY端子。マイク入出力の間にはマイク感度やヘッドフォン出力(ステレオミニ)、ファンタム電源やグラウンドリフトスイッチがある。


■ストリート・ライブシーンの定番にハイ・パワーモデルが登場、「CUBE Street EX」

ラストは「Cube Street EX」。ストリート・ライブシーンでの定番となった「CUBE Street」のハイ・パワーモデルだ。4月25日発売で、想定売価は50,000円(税別)。

新設計の電池駆動技術により、単3電池8本で最大50Wのステレオ出力が実現。従来にない音量感がストリートでも楽しめるようになっている。パワーモードは3段階装備。演奏環境や演奏時間に合わせて切り替えられるのも注目だ。ECOモードなら10Wで20時間、NORMALモードなら25Wで10時間、MAXなら50Wで5時間という具合。

ボディは堅牢なABS樹脂。7.4kgと軽量で可搬性に優れるのもうれしいところ。入力は4系統(XLRコンポ・タイプ×2、LINE INステレオ、AUDIO INステレオ)、AUX入力(モノラル)を使うと最大5系統入力に対応。これら充実した入力により、キーボード+ギター+ボーカル、エレキギター+アコースティック・ギター+キーボード、MP3プレイヤーに合わせて演奏するなど、さまざまなシチュエーションに対応可能。もちろん、ステレオリンクも可能。簡易PAとして活用することもできる。


▲電池駆動可能、必要な駆動時間とパワーでモードを選択(写真左)。多彩な入力でさまざまなシチュエーションに対応(写真右)。

さらにCUBEシリーズで好評のi-CUBE LINKにも対応する。付属の4極ミニ・ケーブルでiPhoneやiPadと接続することで、iOSデバイスのオーディオインターフェイスとして機能し、演奏を録音することも可能。CUBE JAMアプリでバッキングを再生しながらの演奏が気軽に楽しめる。デモでは、CH1にボーカル、CH2にアコースティック・ギター、オーディオ・インプットにi-CUBE LINKでiPhoneをつないで、1人でも多彩なサウンドでライブができることが示された。

このほか、ギター/インストゥルメントチャンネルではCOSMアンプで、Clean/Crunch/Lead/Acoustic Simulatorと即戦力のサウンド・バリエーションが選択可能。アコースティック・ギターに最適化されたACプリアンプやチューナー機能も搭載する。エフェクターにはコーラス、ディレイ、リバーブの3種類を用意。別売りフット・スイッチにより演奏中で足元でON/OFFが可能だ。

オプションとして、専用のキャリング・ケース「CB-CS2」もラインナップ(5月発売)。これにより持ち運びも可能になる。また、同じくオプションのスピーカー・スタンド「ST-A95」により最適な高さへの設置も可能となっている。


▲専用キャリングケースもラインナップ(写真左)。写真中はケースに収めた状態。スピーカーの接地面に角度をつけることで、路上でのパフォーマンスや大きなステージでの演奏時に最適なモニタリングが可能。写真右はスタンドに取り付けた状態。



◆GT-001 製品詳細ページ
◆GP-10 製品詳細ページ
◆VE-2 製品詳細ページ
◆CUBE Street EX 製品詳細ページ
◆ローランド
◆BARKS ローランド チャンネル
◆BARKS 楽器チャンネル
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス