「ワウの音ヤセが気になるギタリストは絶対使ってみて!」、BOSSのワウ・ペダル「PW-3」をFLiPのYukoが徹底試奏

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BOSSから新たなワウ・ペダル「PW-3」が登場した。定番のワウのサウンドに加え、モード切り替えにより、従来のワウとは一味違う、図太くコシのあるワウ・エフェクトも得られるという斬新なコンセプトの製品だ。今までになかったような使い方も可能になる新世代のワウ・ペダル「PW-3」、その実際のサウンドや使い勝手はどうなのだろうか。今回もまた沖縄出身ガールズ・バンドFLiPがリハーサルを行なっているスタジオを訪ね、ギターのYukoに試奏してもらった。

■音も使い勝手も従来とは別次元。定番サウンドもバッチリの万能型ワウ


今回Yukoに試奏してもらった「PW-3」は、フル・アナログ回路を採用したワウ・ペダルだ。新たに設計されたというこの製品の最大の特徴は、なんといっても十分な低域を保ったワウ・サウンドが得られるリッチモードだ。もちろんそれがあのおなじみのサウンド・キャラクターを生み出しているのだが、元のサウンドを保ったまま、ワウのエフェクトをかけたいと思うギタリストも少なくない。そこで、従来のワウ回路で失われていた低域を維持し、ワイドレンジの迫力あるワウ・サウンドを得られるように設計したのが「PW-3」の“リッチ・モード”だ。ギターの基本的なサウンドを崩さず、存在感あるワウ・エフェクトを得ることができる。まさに革新的なワウなのだ。


▲十分な低域を保ったワウ・サウンドが得られるリッチモードと、60年代のイタリア生産時のモデルを徹底的に解析して再現したヴィンテージモードの切り替えが可能。

しかし、やはりあの定番のワウ・サウンドも捨てがたいというギタリストもいるだろう。「PW-3」はそんな要求にも応えてくれる。伝統的なワウ・サウンドを再現した“ヴィンテージ・モード”に切り替えればいいのだ。ヴィンテージ・ワウとしてとくに人気のある60年代のイタリア生産時のモデルを徹底的に解析して再現したモードだから、親しみのある定番ワウ・サウンドにもバッチリ対応する。ちなみにこの2つのモードは、スイッチで手軽に切り替えられる。曲ごとに違うワウ・サウンドを使い分けるといったことも可能だ。

「PW-3」はシンプルなワウ・ペダルだが、使い勝手にも十分配慮されている。そのひとつが、サイズがややコンパクトであること。エフェクト・ボードをコンパクトにまとめることができるし、軽いので持ち運びも楽になる。ワウのようなペダル・エフェクターは、そのサイズがゆえに、ペダルをエフェクト・ボードから外に出して使うギタリストも多いのだが、「PW-3」ならボード内に配置したまま使うこともできそうだ。


▲コンパクトサイズなので持ち運びも楽。また、オン/オフを示すLEDインジケーターがペダルの左右両サイドに配置されていて見やすいのもポイント。

また、ワウ・エフェクトのオン/オフを示すLEDインジケーターがペダルの左右両サイドに配置されているのも見逃せないポイント。ペダルを左右のどちら足で操作していてもインジケーターは見える位置にあるし、インジケーターは左右の側面から少し出っ張って配置されているので、真上からでもはっきりと状態を確認することができる。さらに、ペダルの踏み心地も調整できるようになっているので、好みの固さで使うことができるなど、サウンド、使い勝手の両面で、多くのギタリストにフィットするワウ・ペダルとなっている。

■存在感あるギターサウンドでFLiPのロック・サウンドを多彩に彩るYuko


▲写真右奥がYuko。

今回「PW-3」を試奏してくれたYukoが所属するFLiPは、2005年に沖縄で結成されたガールズバンドだ。ポップで軽快、弾けるような元気に満ち溢れたロックサウンドは当初から各所で注目を集めていて、インディーズ時代にはすでにアメリカの複数都市での公演を経験するなど、海外でも評価されている実力派バンドだ。2015年は結成10周年を迎え、それを記念するワンマン・ツアーも無事終了。そしてこの5月6日にはミニアルバム『BIRTH』をリリースするなど、エネルギッシュに活動中だ。そのFLiPで、ロックのエネルギー溢れるパワフルなギターを弾いているのがYukoだ。へヴィなグランジスタイルのバッキングからファンキーなリズムプレイ、そしてソロと、多彩なプレイでパンチあるFLiPのロック・サウンドを彩っている。

■リッチモードの音の太さに驚き、インジケーターの配置に感激のYuko


定番のワウ・ペダルをエフェクト・ボードに組み込んで使っているYuko。「PW-3」を手渡されると、“普通のワウよりちょっと小さいですね。それに軽い。ボードに入っちゃうかも”と「PW-3」のコンパクトさが気に入った様子。さっそくいつものワウ・ペダルを「PW-3」に入れ替えて試奏を開始する。

まずはいつも使っている定番ワウと同様のサウンドが得られるヴィンテージ・モードに設定し、ペダルを踏み込んでいく。そしてまず単音でリード、そしてコードストロークなど、軽く歪ませたサウンドでブルージーなフレーズを中心にプレイしていく。“もういつものワウ。ワウといえばこれっていう音です。サイズも小さいけど、踏んだ感じも違和感ないです”


そして今度はスイッチをリッチ・モードに切り替えてペダルを踏み込んだYuko、“あっ”と声を上げた。“ロー・ブーストしたみたい!音がすごく太くてカッコいいです!”と、「PW-3」のリッチ・モードの音にはかなり驚いたようだ。横で聴いていても、ヴィンテージ・モードとの違いがはっきりとわかる。本当に太くて芯のしっかりしたサウンドが聴こえてくるのだ。

“ワウをオンにしたときに、音が変わらないわけじゃないんです。変わるのはわかるけど、イヤな変わり方ではないっていう感じですね。今まではワウをオンにすると、完全にワウのキャラクターの音になっちゃいましたけど、これは元の音にそのままワウを乗せられる感じ。ワウだけどワウじゃないっていうか、今までのワウとは違う感覚です”

Yukoは愛用のワウ・ペダルにいったん取り替えて音を再確認してから、再び「PW-3」にチェンジ。今度は強めに歪ませたり、ギターのボリュームを絞ったり様々な音でプレイ。ペダルを少しずつ動かして、音の変化のしかたも確認していた。

“低域も出るし中域の抜けもなくてすごくいいです。これが今までのワウとは違うところかな。これだとクリーンで使っても面白いし、とくに単音が気持ちいい。色々な場面で使えそうです”

そして、左右の両サイドに配されたLEDインジケーターに気付いたYukoは、“これホントに便利ですね! いつでもどこからでもよくわかる。どうして今までこういうのがなかったのか不思議なくらいです!”と大感激。「PW-3」の使い勝手も大いに気に入ったようだった。

■幅広いジャンルで使えるワウ、とくにあの古臭さが理由でワウを避けていた人にオススメ!

試奏後、Yukoに改めて話を訊いてみた。

――いつもどんな狙いで音作りをしていますか?

Yuko:バンドの中にはSachikoのギターもあり、そこにリードギターという自分の音があるので、ハイ・ミドルが強く抜けのいい、芯のしっかりした音を念頭に置いています。“飛び道具”的なものも好きなので、ワーミー・ペダルとか過激な設定のディレイとかも使うし、もちろんワウも使ってます。

――ワウはよく使うエフェクターですか?

Yuko:そうですね。テンション高くガーッと行きたいときにソロパートでよく使うし、バッキングではペダルの踏み方を調整してトーンを作ったりもします。ただ、フィルターを開いたときのハイの扱いがけっこう難しいです。耳に刺さるけど痛くない音にしたいんで、ワウを開いたときにハイが行き過ぎないように、アンプのEQのハイを微妙に調整しないといけないんです。

――今回使ってもらった「PW-3」の印象はどうですか?

Yuko:ちょっとワウっぽくない見た目ですよね、コンパクトで。というか今回これを使ってみて、今までのはちょっと大きいかな、なんであの大きさなんだろうって思っちゃいました。軽いのもいいですね。女子目線からすると、このサイズ、軽さは助かります。音も気に入ったので、状況に応じてシンプルにこれとオーバードライブだけ持っていく、というのもアリかなと思いました。

――“ヴィンテージ”と“リッチ”、2つのモードがありますが、それぞれの音はどうでしたか?

Yuko:ヴィンテージ・モードは今までのワウそのままという感じですね。リッチ・モードは音の太さがすごくよかったです。音ヤセがないって聞いてましたけど、正直、そうは言ってもそんなに違わないだろうと思っていたんですが、ホントにすごく太くてビックリしました。ワウの音でヤセが気になっている人は絶対弾いてみてほしいです。今までのワウって、オンにしたとたんにそのワウのキャラクターの音になっちゃうんですけど、これは他のエフェクターやアンプで作った音を壊さないで、きちんと出してくれるんです。

――ヴィンテージ・モードは幅広い場面で使えそうですね。

Yuko:はい。音圧が出るから、ライヴで曲と曲のつなぎで一人でソロをやるときなんかにも使えそうですね。あと、このモードだと作るフレーズも変わってくるかもしれないと思いました。厚みが欲しくてパワーコードでやってたところでも、単音で行けちゃう感じなので。でもどちらのモードも使いたくなりますね。

――では、「PW-3」は様々なギタリストにオススメできるワウになりそうですね。

Yuko:ですね。ギタリストの音作りを壊さない、弾き手の意図に沿ってくれるという面で、ストレートに自分の音作りにプラスできるのがいと思います。ワウって、クラシカルな音楽に合うイメージがあるかもしれないけど、これはもっと幅広い音楽、今の音楽にも合うと思いました。ワウを使うとあの古臭い音になるからって避けてた人も多いと思いますけど、そういう人にこそこのワウを使ってもらいたいですね。この「PW-3」はワウを使うことによる制限みたいなものがないので、もっと攻めた音作りや曲作りもできるし、広いジャンルで使える。ホントに多くのギタリストにオススメできると思います。

「PW-3」主な仕様

接続端子:INPUT 端子=標準タイプ、OUTPUT 端子=標準タイプ、DC IN 端子
インジケーター:デュアル・インジケーター
コントロール:ペダル、音色スイッチ
電源:アルカリ電池(9V 形)またはマンガン電池(9V 形)、AC アダプター(PSA-100 =別売)
消費電流:25 mA
付属品:取扱説明書、アルカリ電池(9V 形、本体に接続済み)、シート(ワウ・オン/オフ加重調節用)、保証書
外形寸法 / 質量:幅 (W)80 mm奥行き (D)192 mm高さ (H)58 mm質量 800 g
外形寸法 / 質量 (ペダル傾き最大時):幅 (W)80 mm奥行き (D)192 mm高さ (H)74 mm質量 800 g


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