<FRF'04>新旧女王様対決! コートニーvs.YYY's

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薬物の不法所持、観客への暴行、元彼氏宅への侵入&その彼女への暴行……ここ最近も溢れるゴシップの泉は尽きず、お騒がせ女王の地位を確固たるものにしているコートニー・ラブ。もっとも今年2月にはファン待望の1stソロ・アルバム『アメリカズ・スウィートハート』をリリース。グランジの香りを残しつつ、ホールファンにもうれしいロック・アルバムとなっている。そんな中、前述のように多数の訴訟・事件に関係する彼女はフジロック出演はもちろん、来日すら危ぶまれていた。

そして、予想通りと言うべきか、開演時間を過ぎてもなかなか現れないコートニー。ファンがヤキモキする中、スクリーンには「NEXT COURTNEY LOVE」のメッセージが空しく何度も流される。もしやドタキャンでは? との不穏な空気がオーディエンスの間に流れ始めた開演時間30分過ぎ、グランジの女王は胸元の開いた黒いセクシーな衣装でついに登場した。


観客は大喜びで“ウォーーッツ”という大歓声! するとコートニーは不機嫌そうに「Shut Up!」(だまりなさい!)のきつ~い一言。この一言にオーディエンスはさらにドッと沸く。姉さん、自分のキャラを分かってらっしゃる。ルックス的にはちょっと太った(?)印象もあり、ロック姉ちゃんというより、むしろロック母ちゃんな雰囲気……。曲はアルバムのアレンジほどにはグランジしておらず、耳心地のいいストレートなロックという感じ。もっとも、序盤の2、3曲はとくに声が出ておらず、演奏もまとまりのない感じであったが……。しかし、小手先の技術や理屈じゃない圧倒的な存在感、みんなが彼女を見るためにここに集まってきたのだという、カリスマの放つオーラみたいなものがそこにはあった。

そして、17:20のはずだったコートニーの開演が30分以上遅れた結果、僕にはうれしくない自体が起こっていた。18:20スタートの新ロック姉ちゃん、ヤー・ヤー・ヤーズと時間がかぶってしまうのである。コートニーは最後まで見ることができず、やむを得ずグリーンステージを後にし、お隣のレッドマーキーに向かったのである。



ヤー・ヤー・ヤーズはNYで結成された紅一点のヴォーカル、カレンOを中心にした3人組。ストロークス、ストライプスらによって火がついた、ガレージ・リヴァイバルの中でも、カレンのぶっ壊れキャラ、パンクやディスコをも貪欲に取り込んだ超個性サウンドで異彩を放つ存在だ。UKでのブレイクと人気が米国に逆輸入されたのも上記2バンドに似ている。昨年10月にライアーズと共同で行なったジャパン・ツアーも大盛況で、今年はMTV Video Music Awards 2004で4部門にノミネートされるなど米国での人気も本格的なものになっている。

そんな期待大のヤー・ヤー・ヤーズは、個人的にはコートニー・ラブとの新旧ロック女王の競演であり、対決だったのだ。そして、人だかりのできているレッドマーキーに向かうとカレンちゃんはキュートな赤いミニのワンピースで激しく踊ってる。激しく踊っているせいか、スカートが短すぎるのか、ライヴ中にパンツが何度も見えてしまう……というか、あの振り付けといい、絶対わざと見せてるよ! 安っぽい赤いビニール革のようなワンピースは、狙いすましたチープさを醸し出し、ヤー・ヤー・ヤーズの音楽性にピッタリとマッチしていた。


そして、カレンOはマイクを愛撫するように撫で回したり、口で咥える真似をしたりと、仕草の一つひとつがイヤらしい。それでいて、PJハーヴェイを彷彿とさせるような、ロック姉ちゃんっぽい力強いヴォーカルを見せたりする。オーディエンスの男女比は半々に見えたが、若干男性が多いようで、その男たちがカレンOの一挙手一投足に拍手や歓声で応える様は、女王様とM男が繰り広げる儀式のようであった。女性ファンの方はというと、うっとりと憧れて見つめるタイプと、困惑して苦笑いの2タイプにハッキリ分かれているようであった。ライヴ自体は決定的なアンセムに欠けるものの、パワーで押し切る優勢勝ちという感じ。スピード感溢れる演奏、女性らしいしなやかさと躍動感のあるカレンOのヴォーカルで、大いに盛り上がっていた。

しかし、一部の熱狂的なファンを除いては、どうしてもオーディエンスがヤー・ヤー・ヤーズを見つめる視線には物珍しさや好奇の目が伴っていた。一方、人々がコートーニーを見守る眼差しは慈愛に満ちたもので、聖書における放蕩息子の帰宅のエピソードのようであった。ヴォーカル、バンドの演奏ではヤー・ヤー・ヤーズの圧勝であったが、コートニー姉さんはすでにそういう次元で勝負していないので、比較すること自体意味のない行為かもしれない。よってこの勝負引き分け!

コートニー・ラブ
7/31@GREEN STAGE
HELLO THERE
MONO
I'LL DO ANYTHING
JULIAN
ALL THE DRUGS
HOLD ON
MALIBU
REASONS
VOICES CARRY
CELEBRETY SKIN
【ENCORE】
AWFUL
HELLO THERE

ヤー・ヤー・ヤーズ
7/31@RED MARQUEE

(suepyon)
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