野狐禅、ツアー最終日はフォーク界の大先輩たちが集合。「今日は卒業式みたい」

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9月から全国16ヶ所の全国ツアー<弾き語り対決ツアー「塊オンザフォーク」>を行なってきた野狐禅。“弾き語りハード”の看板を下げる野狐禅らしく、このツアーでは各公演にフォーク界の大先輩を1人ずつ招き、共演し、全国を廻ってきた。10/30の最終日には鶯谷の東京キネマ倶楽部に、この大先輩達のうち4名が集まり、野狐禅とともにライヴを披露した。

トップバッターは、ツアー序盤の関西で野狐禅と共演、男のロマンを柔和な笑顔で歌う大塚まさじ。続いて、新潟・金沢で共演、ロックないで立ちで尖ったメッセージを突きつける神奈崎芳太郎、東北・札幌で共演、ピアノでヘヴィに人間を歌い上げる早川義夫、そして九州で共演、“演歌だろうがロックだろうがフォークだろうがギターで魂を表現するだけだっ”と叫ぶエンケンこと遠藤賢司が登場。彼らのステージを初めて観るという人も多かっただろうなか、メッセージ色の強い歌詞とエネルギーで観客を圧倒した。

そして、野狐禅がステージに。「あじさい」「東京紅葉」、そして竹原ピストル(Vo&G)が“お客さんたちを友と呼ばせてもらいます!”と「ならば友よ」を熱唱。途中MCでは「今日、あらためて先輩達のステージを観て、ジーンとしました。ツアー最終日だし、今日は卒業式みたいだなって。……あ、卒業証書くれるか分からないし、もし留年だ!って言われてツアー続けるのも、それは嬉しいかも(笑)」と語った。

そして「便器に頭をつっこんで」「自殺志願者が線路に飛び込むスピード」と披露。これら過激なタイトルではあるが、詞世界は彼らが表現する心のなかの葛藤、苛立ちはあくまでも皆が持ちえるものばかり。BUMP OF CHICKENやMr.Childrenの歌詞が頭の中やストーリー仕立てで表現する葛藤だとするなら、野狐禅のそれは身体で、行動にでるもの。それが痛々しく感じられるかもしれないが、一旦シンクロすると聴き手の心をガッチリと……それこそ握力100kg(!?)の勢いでつかんでくるのだ。

そんな今の野狐禅が先輩シンガーたちの姿を観て「自分が30歳、40歳になって何を歌ってるんだろうって自分たちも楽しみ。きっと変わっていくんだろうなって思う」(竹原)と先を見据えた発言も。このツアーで多くのことを学び、新たな道筋を感じ取ったのだろう。だけど、いつまでも自分たちや聴き手の“応援歌”を竹原ピストルが叫び歌い、その横では濱埜宏哉がピアノを叩き弾いているに違いない、そんな力強さを感じさせるこの日のライヴだった。

今後、野狐禅は11/17にはニューアルバム『東京23区推奨オモイデ収集袋』をリリース。12月から翌年1月にかけて全国ツアーもに決まっている。
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