今までよりもストレートに、いびつになった今の『わたし』そのものの――アルバム『わたし』インタヴュー

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柴田 淳が3/30にアルバム『わたし』をリリースする。
先にリリースされたシングル「ちいさなぼくへ」「白い世界」はあくまでも序章、
このアルバムは、とても大きな変化を遂げた形となって私たちの前に現われた作品だ。
やはり前アルバム『ひとり』からしばらく取っていた充電期間が作用したのか?

インタヴューには、あっけらかんとにこやかに応える“しばじゅん”だが、
アルバム制作時は多くの葛藤があったようだ。
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ニュー・アルバム


『わたし』
MUCD-1118 \3,045(tax in)
2005年3月30日発売


※マークのあるものは試聴できます

01. おかえりなさい。
02. 白い世界
03. ゲーム
04. あの夏
05. ちいさなぼくへ
06. いつか王子様も♪
~拝啓、王子様☆続篇~
07. 道端
08. また明日
09. 幻
10. 一人暮らし
11. わたしの夢




――アルバム全体の印象として、まずは"しばじゅん、変わった!"と感じました。特に音作りの面で。

柴田淳(以下、柴田):本当? でもそれはアレンジャーさんによるものが大きいと思いますね。私は何も変わってなくて。

──前アルバム『ひとり』まではセルフ・プロデューサーとして柴田淳がいて、アレンジャーはほとんど坂本昌之さんでしたよね。それをシングル「ちいさなぼくへ」をスタートとし、今回のアルバムも曲ごとにさまざまなアレンジャーを立てた理由は?

柴田:坂本さんほど私のやりたいことをよく分かってくれる人はいなかったし、それに応えて私は自分の世界を忠実に作り上げていて、すごくやりやすかったんです。だけど、私の、ミュージシャン柴田淳の世界が変わらないだけにどうしてもワンパターンになってくるんですね。それでいて坂本さんは坂本さんで他のアーティストと仕事をすることで自身の才能を開花させているのに、また私の世界をいかに忠実に再現するかって作業をしてもらうってのも……、なんかお互い縛りがでてきちゃったかなって思ったんです。それで他のアレンジャーさんで試してみるのもいいなって。坂本さんにしか出せない音もあるけれど、他の人にしか出せない音ってのもあると思うんです。やっぱり自分のアルバムと言えども人の意見と融合して作っていくと違う世界が広がるんじゃないかって。

――実際、他のいろんなアレンジャーさんと作業してみてどうでしたか?

柴田:この仕事をもって"はじめまして"の人が多かったんで、正直気をつかうところありましたね。それにアレンジャーの域を超えて、プロデューサー的なアドバイスをくれたり、取り組み方をしてくれる方もいて。それが私はこうしたいって思っても、アレンジャーさんはああしたいって意見がぶつかるところもあって。私のアルバムなんだから自分の意見を通したい反面、みなさんアレンジャーとして成功した方ばかりですから、成功したからこそ見えてくることもあるだろうから、まずは任せてみるってのも面白いのかなって。でも「じゃあ、任せます!」って言えるほど、私、大人でもないんで(笑)、悩みましたね。

──そこらへんの判断はどうしたんですか?

柴田:アレンジャーさんによっては独断で「こうするから」って方もいたんで(笑)。でもね、きっと曲も作らないでヴォーカリストとしてやるならば楽だと思うんです。羽毛田(丈史)さんも言ってましたけど、「プロデューサーの域まで淳ちゃん、ひとりでやっていたんだね」って。映画に出演する女優さんが原作書いて、脚本作って、監督して、編集までしてたって(笑)。で、「淳ちゃんの場合は女優さんだけでなく、原作・脚本も書いてるから任せっきりにできないってのが分かる。そこが難しいところなんだけど、だけど、淳ちゃん、信じてくれ」って。(笑)。

――たしかに、最後は信じるか否かですもんね。

柴田:ですよね。母親に「妥協しなきゃいけないのがつらい」って話したら「一度任せてみなさいよ! ダメだったら羽毛田さんの責任なんだから」って(笑)。


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