<FRF'05>シガー・ロス、幻想的で狂ったように美しい音楽

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19時くらいにいったん宿に戻り、2時間ほどゆっくり休んで、再び会場へ。パレス・オブ・ワンダーで博多ラーメンを食い、雨でグチャグチャになったグリーンステージで熱演を繰り広げるニュー・オーダーを横目で見て(演奏がかなりタイトになってて、驚いた)、ところ天国で焼酎のお湯割りを購入して、ホワイトステージの後方で待機。ふと上を見上げると、あちこちに星が見える。「うわー、きれいだなー」とウットリしているうちにシガー・ロスが登場、今年のフジロックを締めくくるにふさわしい、あまりにも美しいライヴを展開してくれたのだった。

ステージに設置された白い幕にメンバーのシルエットが写り、最初の音が響き渡った瞬間、ホワイトステージの空気が緊張感につつまれる。緻密に構成された、でも、きわめて自然発生的なイメージを放つ音響は“生”で体験してこそ、その凄さがわかる。光る星、暗く沈む森、少し肌寒い空気、そして、狂ったように美しい音楽。僕はそのとき「この光景、ずっと忘れないだろうな」と思った。大げさではなく。

その後もシガー・ロスはひと言も発しないまま、幻想的・交響的なバンド・サウンドを繰り広げる。十分なヘヴィネスをたたえたドラム、荘厳な響きを持つストリングス、高音を駆使したデリケートなメロディ、物語性にあふれた楽曲構成。ステージが進むにつれて、オーディエンスはグイグイと彼らの生み出す音世界にひきずりこまれていく。誰も踊っていない。リズムを取ることもしない。だけど、その音楽は確実にオーディエンス全体を揺らしていた。すごい。こんな音楽、聞いたことがない。このまま、時間が止まってくれないかな。ちょっとだけ本気で、そう思った。

終演後、白い幕に「Takk」という言葉が浮かび上がる。アイスランド語で“ありがとう”を意味する言葉だという。人が多いとかゴミが多いとかマナーが悪いとか、いろいろと問題があった今回のフジロックだけど、最後にこんなにも素晴らしいライヴを体験できて、すべてが吹き飛んだ。ありがとう。

取材・文●森 朋之
Photo/TOSHIBA EMI

Sigur Ros
2005/7/31 WHITE STAGE

Intro
Glosoli
Ny batteri
Svefn-g-englar
Saglopur
vidrar vel til loftarasa
Hafsol
Njosnavelin
Olsen Olsen
Popplagi∂

BARKS夏フェス特集2005
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FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
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