<FRF'05>マキシモ・パーク、熱い欽ちゃんダンスがバカウケ

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カイザー・チーフス、ザ・ブレイヴリー、フューチャーヘッズ……。UKを中心とした海外のインディ・ロック・シーンにおいて彼らより実績をあげているバンドは他にもたくさんあった。だが、そんなそうそうたるアクトをさしおいて、今回新人バンドで唯一グリーン・ステージに大抜擢されたのは、イギリス北部はニュー・キャッスル出身の5人組マキシモ・パークだ。

彼らの場合、日本デビュー前に輸入盤がシングルで出回っている時点から日本のCDショップのバイヤーから熱烈な支持を受けていた。だが、それにしてもその効果がこのフジロックで早くも現れるとは。実際、本国UKでさえも、ここ最近になってやっとマキシモに熱視線を送りはじめ出したばかりだというのに。

そして、この日のライヴは、そんな日本人バイヤーさんたちの先見の明を示した見事な出来映えだった。一・九分けの明治時代の商人のようなヴォーカリスト、ポール・スミスはガリガリの体をくねらせながら、まるで欽ちゃんのようなコミカルなダンスをのっけから熱く披露。この動きに聴衆はバカウケし、そこら一帯で彼の奇妙な動きを真似する人たちが続出。これが故にイロモノ視する人もいなくはなかったが、だが、シャープなギターとタイトで安定したリズム隊による演奏は昨今のUKバンドでも屈指のものがあり、楽曲の幅的にもソリッドな初期パンク風、キッチュなニュー・ウェイヴ・シンセ・ポップ風、ザ・スミス~モリッシーの影響を感じさせるメランコリックなものありと、表情は実に多彩。

斬新さこそないが、デヴィッド・ボウイ~パンク/ニュー・ウェイヴの流れを表面上だけでなく根本から吸収・咀嚼した痕跡はしっかりと伺え、同時に“アートで洒落た感覚の復建”が著しい2000年代の今の空気感にはピッタリだ。その見た目の奇抜さが故にまだ“本当に評価していいの?“と世界的にまごつかれている観があるマキシモだが、それが実力に裏打ちされた確信犯的芸当であることが一般的に明るみになる日は遠くなさそうである。

取材・文●沢田太陽
Photo/Barks

MAXIMO PARK
2005/7/30 GREEN STAGE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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