<SUMMER SONIC 2005>H.I.M.、笑顔のカリスマ、ヴィレ・ヴァロがマウンテンステージに降臨!

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H.I.M.にとっても日本のファンにとっても、この日が記念すべき東京での初めてのショウ。北欧はフィンランドに産声を上げ、ヨーロッパのメタルシーンを完全制圧しながら、これまで日本盤のリリースがなかったことから、日本ではその名前だけが一人歩きしていた感のある彼ら。この日、マウンテンステージに詰めかけた人々も、コアなファンから、好奇心でやって来た人まで幅広い。初めて訪れるアジアの地で、ヴィレ・ヴァロ率いるH.I.M.の面々がどんなステージを見せてくれたかというと…。

開演時間ほぼジャスト。SEも何もない静かなステージ上に、バンドが登場。フロントマンのヴィレは、ステージ中央へとゆっくりと歩み寄りながら、オーディエンスに向かって小さく一礼。その貴公子然としたたたずまいに、ステージ上が一気に華やぐのが感じてとれた。

この日のオープニングを飾ったのは、メランコリックなギターのリフが美しい「ライト・ヒア・イン・マイ・アームズ」。ロマンティックなサウンドと、やわらかい言葉の数々が織りなす空間は、美しく、そして切ない。ヴィレの歌唱もメンバーの演奏も、すべてがしなやかに展開し、その美的な空間にぐいぐいと引き込まれていった。どこか幻想的な雰囲気さえ感じられたオープニングから一転して、ドラムのガスのハットの合図と同時に、「ヴェリード・アライブ・バイ・ラヴ」へ。メンバーにちょっとした指示を出す姿さえも優雅に見えるヴィレだが、アグレッシヴなサウンドの幕開けと同時に、その眼差しには鋭さが宿る。そして、熱いシャウトをからめてのエモーショナルなパフォーマンスののち、「ジョイン・ミー・イン・ザ・デス」、「ヴァンパイア・ハート」と、ドラマチックな楽曲をたたみかけていった。ライヴ中盤の「ウィックト・ゲーム」では、無音の空間でひとり、情感豊かに歌い上げるヴィレに誰もがクギヅケに。

後半は、ピアノソロから美しいバンドアンサンブルへと大きな展開を見せる「ザ・サクラメント」から「ウィングス・オブ・ア・バタフライ」へと、きらめきのナンバーを立て続けに披露したのち、バンドの代表曲でもある「ザ・フューネラル・ハーツ」へ。美しいコーラスが荘厳な楽曲に彩りを与え、途中では、オーディエンスからの合唱もわき上がった。これにはヴィレを始め、メンバーも喜んだ様子で、“H.I.M.を呼んでくれてありがとう。また戻ってきます”と、この日初めてオーディエンスに向けて、歌以外の言葉が放たれた。そしてラストは「SOUL ON FIRE」で幕。

終始笑顔を絶やさず、しなやかなステージを展開したヴィレと、その彼を終始落ち着いた演奏で支えたメンバーたち。彼らのパフォーマンスに触れて感じたなんともいえないやすらぎは、H.I.M.の提唱する“LOVE METAL”の神髄に触れた証なのかもしれない。

取材・文●菊池陽子
Photo●SUMMER SONIC / YUKI KUROYANAGI

H.I.M.
2005/08/14 MOUNTAIN STAGE

01. RIGHT HERE IN MY ARMS
02. BURIED ALIVE BY LOVE
03. JOIN ME IN DEATH
04. VAMPIRE HEART
05. WICKED GAME
06. THE SACRAMENT
07. WINGS OF A BUTTERFLY
08. YOUR SWEET 666
09. THE FUNERAL OF HEARTS
10. SOUL ON FIRE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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