<SUMMER SONIC 2005>アーケイド・ファイア、大きなエネルギーを振りまく行進

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現地の音楽ファンに聞くと、“今、最も聴かれているインディー・バンド”がこのアーケイド・ファイアなのだという。正直意外だった。昨年、スーパーチャンクのメンバーが運営するレーベル“マージ”からリリースされたファースト・アルバム『フューネラル』を初めて聴いた時、個人的にはそのギミックのきいたアレンジにハマったものの、さて一般受けはするだろうか?と疑問に思ったからだ。

しかし、カナダを拠点に活動するこのアーケイド・ファイアは素晴らしいライヴ・バンドだった。素晴らしい、というよりも、面白い。ウィットとアイロニーがてんこ盛り。演奏を聴かせるというよりも、ステージ上で遊んでいる感じ。ヘルメットをかぶって柱によじのぼったり、旗を振って客を煽ったり。大所帯であることをこれほどユーモラスに利用したバンドもいないのではないかってくらい、音以上に目で楽しませる。ここまで諧謔味のあるバンドのアクトを見たのも久々のことだ。

けれど、一見、そのようにハチャメチャなのだけれど、すべての動きがまったく無駄ではない。ナンセンスではない。それは、彼らがライヴを一つのユニークな“儀式”として捉えているからではないかと思う。その証拠に彼らは遊び心満点だがどんなパフォーマンスもいたって真面目。決してふざけているわけでもないし、受けを狙っているわけでもない。むしろ、音楽に対する真摯な姿勢がその個性的な視点から伝わってくる。

もちろん、それもこれもロック・バンドとしての体力があってこそ。クスッと笑わせても決してB級っぽさはなく、演奏面でも安定したところをみせてくれた上にグルーヴ感さえある。リーダーのウィン・バトラーを中心に大きなエネルギーを振りまきながら行進していくような後半のステージングは見事の一言。「Neighborhood#3(Power Out)」から「Rebellion(Lies)」へと続くラストの盛り上がりは、まるで全盛期のPファンクのロック・バンド版といったところだった。

取材・文●岡村詩野
Photo●SUMMER SONIC / TETSURO SATO

THE ARCADE FIRE
2005/8/13 SONIC STAGE

1. WAKE UP
2. NEIGHBORHOOD #3(LaiKA)
3. NO CARS GO
4. HAiTi
5. CROWN OF LOVE
6. NEIGHBORHOOD #1(TUNNELS)
7. NEIGHBORHOOD #3(POWER OUT)
8. REBELLiON(Lies)

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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