<SUMMER SONIC 2005>ティーンエイジ・ファンクラブ、この音、この声、このメロディ!

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安心して耳と体を預けられるし、心置きなくそのハーモニーやメロディの良さに酔える。すべてのギター・ポップ・ファンにとってグラスゴーの良心=ティーンエイジ・ファンクラブとは、おそらくそんな存在になっていることと思う。実際、この日のステージにもそんな彼らを心から信じる熱心なリスナーが多く詰めかけた。お客さんの平均年齢が若いサマーソニックだが、こころなしか、ティーンエイジ・ファンクラブに集まった人たちの顔触れはちょっとだけ高め。何となく、数年に一度行なわれる同窓会のような雰囲気だ。

メンバー登場。ノーマン・ブレイク、レイモンド・マッギンレイ、そしてジェラルド・ラヴ。オリジナル・メンバーでありメイン・ソングライターの3人は、ちょっとだけ老けたかな、と思えるものの、相変わらず人懐こい笑顔で楽器を手にしてマイクの前に立つ。1曲目は「Hang On」。いきなり代表曲のスタートに会場はいっせいに沸き立った。ああ、そうそう、この音この音、この声この声、このメロディこのメロディ。誰もがそう噛みしめながら、ゆるいテンポのオープニング・チューンに心地よく揺れる。いつものあのティーンエイジ・ファンクラブだ、と。

とはいえ、“毎度お馴染み”なだけじゃないのがこのバンドが他のそこらのギター・ポップ・バンドとは違うところ。ここ数作は、やや守りに入っていたようなところがないとはいえなかったが、最新アルバム『Man-Made』は、トータスのジョン・マッケンタイアが全面的にプロデュースした1枚。音響面に力を注いで、瑞々しさを持つナンバーに現代的かつ裾野の広い処理を施していた。この日、その『Man-Made』からの曲を多くとりあげていたが、あらためてステージを通して新作のナンバーを聴くと、ただ音質面で新たな方向を打ち出しただけではなく、ここ最近にはない丁寧な曲作りがなされていることに気づく。ノーマン、フランシス、ジェラルドがそれぞれ自分が作った曲を自らのヴォーカルで聴かせる、というパターンはこれまで通りだし、それぞれ少しづつ作る曲の特徴が異なるのは言うまでもないが、『Man-Made』の曲において共通するのは、ハーモニーの美しさに頼るような曲だけではないということだ。もちろん、コーラス・ワークが何よりの魅力のバンドではあるけれど、近年の彼らはコーラスで曲そのものに深みを与えるのではなく、重層的で表情豊かな演奏でニュアンスをつけていく。その様子は初期作品以上に丹念だし奥行きもあるものだ。特に、ニュー・アルバムの1曲目でもある「It's All In My Mind」は、いかにもノーマンらしいシンプルでフレンドリーなナンバーだが、そこには人生の折り返し地点を過ぎた彼らならではの静かなる問いかけのようなものがあった。

だから、「Sparky's Dream」やラストを飾った「Everything Flows」も(大阪でのステージでは「About You」や「The Concept」なども披露したのだそうだ!)、過去見てきたどのステージよりも厚みを増していたように感じた。ただいい曲を書く、いい歌を聴かせるバンド以上の手応えが伝わってきたこの日のステージに、きっと多くの“仲間たち”が励まされたに違いない。

取材・文●岡村詩野
Photo●SUMMER SONIC / TETSURO SATO

TEENAGE FANCLUB
2005/8/14 SONIC STAGE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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