『VOCALIST』リリース記念インタビュー Part.1

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その澄んだ声と切ないメロディでファンの心をつかむ徳永英明が、
女性アーティストの名曲ばかり13曲をカヴァーしたアルバムをリリースした。
数年前にモヤモヤ病という病に倒れたがこれを克服。
シンガーソングライター人生最大の危機を乗り越えた彼が、
どんな心境のもとで作品作りを行ったのか。
また新しいステージでリスナーに聴かせてくれる作品は、
どのような魅力に溢れたものなのか。
それをこの特集で知ってもらえたらと思う。

最新アルバム


『VOCALIST』
UMCK-9126 \3,800(tax in)
2005年9月14日発売


01.時代(作詞作曲:中島みゆき)
02.ハナミズキ(作詞作曲:一青窈/マシコタツロウ)
03.駅(作詞作曲:竹内まりや)
04.異邦人(作詞作曲:久保田早紀)
05.シルエット・ロマンス(作詞作曲:来生えつこ/来生たかお)
06.LOVE LOVE LOVE(作詩作曲:吉田美和/中村正人)
07.秋桜(作詞作曲:さだまさし)
08.涙そうそう(作詞作曲:森山良子/BEGIN)
09.オリビアを聴きながら(作詞作曲:尾崎亜美/尾崎亜美)
10.ダンスはうまく踊れない(作詞作曲:井上陽水)
11.会いたい(作詞作曲:沢ちひろ/財津和夫)
12.翼をください(作詞作曲:山上路夫/村井邦彦)
13.卒業写真(作詞作曲:荒井由実)




メッセージ映像


徳永英明からのメッセージをどうぞ。上の画像を CLICK !
■オフィシャルサイト
http://www.tokunaga
andtonys.com/


■ユニバーサルミュージックサイト
http://www.universal-
music.co.jp/
tokunaga_hideaki/

──病気によって、声という最高の生楽器が痛手を受けた部分もあったと思いますけど、その辺りはどう克服したんですか?

徳永英明(以下、徳永):自転車とサーフィンなんです。退院した時に、自転車に乗りたいって思ったんですよ。心肺能力って入院するとすごい落ちるんですよ。で、自転車は体力面で効果があって心肺機能が上がってきました。それから1年半前にはサーフィンを始めたんですね。昔、僕は海で恐い思いしたので、サーフィンはやめてたんですけど、それをもう一度やってみようと。それをやっていく過程で、例えば波って波に反抗しちゃ乗れないんですね。それと一緒で、歌っていうのはサウンドに対抗しちゃだめなんです。

──昔は四方八方の壁にぶつかりまくっていたイメージがありましたね。怒っているような。

徳永:実際怒ってないけど、エネルギー的に怒ってるみたいなね。痛いよね、それは(笑)。自分がやってることを周りが認めてくれてない、自分だけが大変なんだっていうことをアピールしてたのかな。僕は歌手として生きてればいいのに、全て自分で抱え込んでいましたからね。いろんなことが気になって、そういったものが重なって、満を持して倒れたのかもしれないですね。

──でも良くなって退院されてよかったです。ご帰還おめでとうございます。

徳永:この前、復活した時の記者会見のビデオを見たんですけど、“うわー気が弱い”って思いました。あの時は最高の顔で出たつもりなんですけど。今は、いい意味でえぐさが出てきたかな。

──徳永さんの体調の部分と、新旧問わず名曲をカヴァーするということが合ってますよね。人生の波と作品が連動するってのは奇跡的なことですからね。徳永さんって、スピリチュアルな部分が作品に影響しやすいタイプですもんね。

徳永:ソングライターとしてのこだわりを、あまり持ちすぎるのはやめようと。僕が曲を半分書いたとして、誰かがすごくいいものを半分書いたら、自分の武器を足していくほうがいいですよね。

──音楽との関係は変わったことありますか?

徳永:曲を作るときは、声があるからメロディが出てくるわけです。詩ってのは声があるから出てきてるわけじゃないんです。「壊れかけのRadio」なんて同時に三曲ができて、声がメロディになったので売れたんだと思います。でも、プロ作家の方は、詩が音符なんですね。だから、エッセイやコラムでも、いいものは音なんですよ。全ては音なんですよ。だから、基本的に音を感じない詩はもうダメだということになってくるでしょうね。自分の声とメロと詩が、「壊れかけのRadio」みたいに“どーん”と出てくればそれがベストですね。でも、そこに抵抗して全部自分がやらないとって思ってたら大変です。歌が良くなきゃってことにはこだわるけど、作るにあたっての方法論にはそこまでこだわらないようにしようと。

──徳永さんの中で優先順位ができたんですね。

徳永:そういうことですね。ただ、メロディラインに関しては自負がありますけど、詩に関しては、自分で書くには書くけど、だめな時は人に委ねる。いいものを作るためには、サポートを上手く使うということも大事で。甘えじゃなくて、最善を尽くすためのサポートを受け入れる気持ちが必要ですよね。まさにステージは、僕しかどうしようもない場所で甘えは許されないけど、それ以外の部分はいろんな人の力を借りようと。


取材・文●佐伯明
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