東方神起大特集 2006夏 LIVE REPORT編

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5月13日の札幌ペニーレーン24を皮切りに全国8ヶ所11公演というスケジュールで行なわれた日本初ツアー<1st LIVE TOUR 2006~Heart, Mind and Soul~>。今回のツアーは、あえて大きな会場を避け、ライヴ・ハウスという小さな会場をメインに行なわれた。それだけに、観る者に初来日から今日までの成長を直に感じさせてくれたものになったように思う。

母国韓国では1万人を超すキャパの会場が4日連続で埋まってしまう程の人気の彼等。今回、あえて選んだ道は想像以上に困難だったことだろう。なぜなら、客席との距離が近いということで、細かいミスもしっかりと見えてしまい、全くごまかしがきかないからだ。しかし、彼等は、日本という国でどこまで自分達の実力が評価されるのか、それを自らの目で確かめたかったこともあり、あえて困難な道を選択したのだった。それ程までに彼等の歌に対する情熱は深い。今回のツアーは、そんな彼等の真剣さ、まっすぐさに触れることができたツアーでもあった。

今回のツアーは頭から大成功というわけではなかった。母国とは違い、狭いステージの上で東方神起のすべてを見せていかなければいけない窮屈さ。まだまだ母国語ほどには自由にコミュニュケーションが取れるわけではないトーク。やり直しのきくレコーディングと違い、ライヴという生のスタイルで届けることの難しさを感じたであろう日本語での歌。彼等の前にはいくつかのハードルが立ちはだかった。やはりツアーが始まったばかりの頃は、念入りにリハーサルを繰り返したとはいえ、正直どこかぎこちなさを感じぜずにはいられなかった。逆に完璧なステージを届けたいという強い想いが邪魔をしていたのかもしれないとさえ思った。

しかし、ツアーファイナルであった6月28日、Zepp Tokyoのステージでは、そんなぎこちなさはすっかりと消え去り、驚くほどの成長を見せてくれたのだった。19時、開演時間ちょうどに、彼等は最後のステージに立つために楽屋を出た。そして、楽屋前の廊下にダンサー達と集まり、円陣を組み、中央で手を重ね合うと、“とうほう、とうほう、東方神起、ファイト!”と、お決まりの掛け声を掛け、気合いを入れステージへと向かった。

19時7分。いよいよラストのステージが幕を開けた。シルバーのスーツに身を包んだ5人がステージに姿を現すと、会場からは大きな歓声が上がった。最初に届けられたのは「Stay With Me Tonight」。彼等が初めて日本語で歌った楽曲である。来日したときからずっと彼等を見続けて来た者としては、この曲をこうしてライヴで聴けているということに、改めて今までの彼等の頑張りを感じた瞬間でもあった。続けて届けられたのは「The way U are」。韓国の2ndシングルだったこの曲では、韓国でもおなじみの彼等の本名を掛け声にしたコールが曲中で沸き上っていた。

ダンス・ナンバーを届け終えると、MCを挟み、彼等のもう一つの魅力でもあるアカペラとバラード・ナンバーをしっとりと届けてくれた。

そして、ジャジーな映像をアクセントに、帽子を使ったジャズ系のダンスを絡めた「Try My Love」を歌い、一気にステージの雰囲気を変えていった。そんな流れの中で届けられた「Eternal」は、5人の綺麗なハーモニーがとても印象的だった。ジェジュンとジュンスが目を合わせながら声を重ね伸びやかに歌い上げるシーンにも、CDでは見えない深さを感じた瞬間だった。

彼等の日本の楽曲は今のところバラード曲が目立っている。そのため前半・中盤では激しい盛り上がりというライヴではなく、彼等の歌をしっかりと聴かせてくれる流れだった。しかし、本編ラストの2曲では、パフォーマンスでエンタテイメント性をしっかりと押し出し盛り上げてくれたのだった。その2曲とは、アルバム収録曲「Breakup the shell」とリカットシングル「Rising Sun」だ。この2曲ではバック・ダンサー達との激しい絡みのダンスも披露し、ダンス・グループとしての実力も見せつけた。

聴かせる曲あり、ダンス曲ありと、さまざまな角度の東方神起のスタイルがある中で、彼等は5人それぞれの個性を発揮する。今回は、この5人ならではの魅力を、聴き手にしっかりと伝えられたライヴになったのではないだろうか。

そして、アンコール。今回のツアー・タイトルでもあった「Heart,Mind and Soul」を1曲目に、ユチョンによって“僕達を世に出してくれた曲”と紹介された「HUG」、そして最新シングルの「Begin」と、彼等の歌とコーラスワークが最大限に発揮された柔らかな印象の楽曲達が続いて披露されたのだった。確かな手応えと、その先に見えてきた、“東方神起”の歩いて行くべき姿。彼等のそんな想いが伝わってきたアンコールであった。

すべての曲が終わった後も、オーディエンスは帰ろうとせず、ステージに向かって長い時間何度も繰り返しアンコールを求める声を発し続けていた。

彼等はそんな声に応えて再びステージに現れ、1人ずつこのツアーの感想と感謝の言葉を述べた。終演後、楽屋に戻った彼等の顔には心からの笑顔があった。ユンホに関してはこの日、高熱のために扁桃腺が腫れ上がるという最悪の状態にあった。普通の会話をするにも困難だったことから病院に行ったところ、ライヴは無理かもしれないという診察結果に直面したのだ。そんなドクター・ストップぎりぎりのところでのステージだったこともあり、いつも以上のプレッシャーを抱えていた。メンバー全員が無事にステージを終え、かつラストに相応しいライヴにしたいという想いの中スタートしただけに、いつも以上の達成感を感じていたようだ。

しかし、彼等はまだここからがスタートだと声を弾ませた。次の日から1ヶ月ほど韓国に戻ると言っていた彼等だったが、すでに8月にリリースされる新曲の準備はできているという。そんな彼等の第2ステージにも、ぜひ期待したい。

取材・文●武市尚子

東方神起 1st LIVE TOUR 2006 ~Heart, Mind and Soul~
6/28 Zepp Tokyo

M1. Stay With Me Tonight
M2. The Way U are
M3. 言葉はいらない
M4. 愛せない 愛したい
M5. My Destiny
M6. Try My Love
M7. Eternal
M8. 明日は来るから
M9. Somebody To Love
M10. Break up the shell
M11. Rising Sun
【Encore】
EN1. Heart, Mind and Soul
EN2. HUG
EN3. Begin
EN4. One
   One ~INST~

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