<FRF'06>4人のゲイとひとりの女、異色の奇才シザー・シスターズ

ツイート
フランツ・フェルディナンドを筆頭にして、世界のミュージック・シーンに旋風を巻き起こした2004年のUKインディ・ロック勢。だが、この年にそのUKで最もCDを売ったアーティストが実はアメリカ・ニューヨークのバンドだったことは、それ程は知られていない。そのバンドの名はシザー・シスターズ。4人のゲイと、そのゲイを指揮するひとリの女性からなるその異色の奇才が、遂に日本のフェスティバルに初登場だ。

のっけかから最大のヒット曲「テイク・ユア・ママ」で幕を明けたこのライヴ。性別を完全に超越した特異なキャラクターゆえにキワモノ扱いされやすいが、CD同様、その正体はかなり名人級のポップス職人。エルトン・ジョンやビージーズといった、70'sのラジオを賑わせた、それこそまさに“黄金のポップス”。そうかと思って前を向けば、そこにいるのは、長いスカーフみたいな衣装をヒラヒラと舞わせる奇妙なイケメン・シンガー、ジェイクと、女王様のような逞しさで終始場を司る女性シンガー、アナ・マントロニクスの姿が。この二面性のギャップがやはり強烈。

特に見ものはアナのプロレスのリング・アナのごとき、饒舌にしてドラマティックな煽りのMC。「私たちは“第3の性”の存在を知らしめるべく、こうやって活動してるのよ!」というメッセージはまるで選挙演説のように力強く、それに引っ張られるようにショウは展開。ステージ・パフォーマンスもかなり大胆で、中にはアナとジェイクが正常位のポーズを取る一幕も。そして、その際のBGMも一貫して誰もが口ずさめるエヴァー・グリーンなポップなのがまたおかしい。

この日、大ヒットしたデビュー作からの曲に加え、9月に発表される待望の2ndアルバムからの曲もかなりプレイされたが、前作に負けないヒット・ポテンシャル。この圧倒的なパフォーマンス能力と相まってヒットはほぼ確実。“彼らは、この時代のペット・ショップ・ボーイズになるのではないか”。そんな手応えさえ感じた。

取材・文●沢田太陽
写真●YOSHIKA HORITA

7/29 WHITE STAGE

1. TAKE YOUR MAMA
2. I CAN'T DECIDE
3. TITS ON THE RADIO
4. SHE'S MY MAN
5. LAURA
6. PAUL McCARTNEY
7. KISS YOU OFF
8. EVERYBODY WANTS THE SAME THING
9. MARY
10. THE OTHER SIDE
11. I DON'T FEEL LIKE DANCIN'
12. COMFORTABLY NUMB
13. MUSIC IS THE VICTIM
14. FILTHY/GORGEOUS


FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス