<SUMMER SONIC 06>マティスヤフ、まさに裏ベスト・アクト!

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マティスヤフの出番は、メタリカ、ダフトパンク、フレイミング・リップスの裏だった。そんな状況のなかで、新人であるマティスヤフをあえて観ようなどという人は、相当なマティスヤフ・フリークか、ちょっとしたもの好きだけだったのではないだろうか?

舞台はアーバン/ダンス・ステージ。マリンスタジアムから洩れ聞こえてくるメタリカの轟音を尻目に、マティスヤフのショウはひっそりとスタートした。スラリと伸びた痩身に、アルバム・ジャケでもおなじみのユダヤ教スタイル。他の出演者とは一線を画す雰囲気を放ちながら、ステージに登場する。その身なりを観て、どんなにクールなパフォーマンスが展開されるのかのと思いきや、演奏が始まるやいなや、長身をバネにしてこれでもかというぐらい飛び跳ねる。

レゲエをベースしながら、さまざまな音楽に影響を受けたというだけあって、そのサウンドはときにヒッピー・ムーブメントのルーツ・ロックのようだし、ファンクのようにうねるグルーヴもある。もちろん、マティスヤフ目当ての客もいただろうが、ほとんどは彼の名前すら知らないような人たちも、その独特のノリにテンションが上がっていく。また、なにより素晴らしいのが、マティスヤフの声だ。いわゆる“のび”があったり、“すごみ”があったりするわけではないのだが、聴いてる人の心にスルリと入り込んできてしまうのだ。

ライヴ中盤では、決してうまくないのだが、ヤバイとしか表現しようのないヒューマン・ビート・ボックスも披露。途中からは彼のビートにエフェクトが施され、アーバン/ダンスステージは完全にイルなアンダーグラウンド・パーティのような雰囲気になっていた。

マティスヤフは、音楽を通じてメッセージを伝えることが自分の使命だという。たしかに、われわれは彼の歌のメッセージをダイレクトに理解することはできなかった。しかし、あの日、あの場所にいた人々は、マティスヤフの素晴らしいステージを観て、確実にユナイトしていた。これこそが音楽の持つ力なんだ、と実感させてくれる本当に素晴らしいパフォーマンスであった。


SUMMERSONIC 06 TOKYO
2006.8.12
URBAN/DANCE STAGE

1.Sea To Sea
2.Fire Of Heaven/Altar Of Earth
3.Chop 'Em Down
4.Exaltation
5.Close My Eyes
6.Time Of Your Song
7.Beat To Da Box
8.Indestructible
9.Youth
10.Jerusalem
11.King Without A Crown

◆SUMMER SONIC 06特集はこちらから
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025892
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