音楽業界が直面している変化の中でも、特にファンが音楽を発見し、購入するスタイルの変化が話題になっているが、もう1つの興味深い話題は何人の人たちが本当に音楽を“聴いて”いるかだ。

1982年にCDが導入された時、注目の対象となったのはその優れた音質だった。オーディオ・マニアの中にはレコードの“暖かい”サウンドを好む者もいたが、大半の人はCDの鮮明なサウンドを支持した。ところが、現代では音楽を聴く主流な方法がMP3やその他のコンピューター・ファイルに変わり、それらのサウンド・フォーマットがCDに比べて劣る事実はプロも消費者も認めている。

CDの普及に伴って多くの人たちがステレオを買い替えた時、音楽ファンはミュージシャンの作った全ての音色と音のニュアンスを捉えるためにBOSE、ALTEC、JBL、その他のステレオ・システムの特徴を念入りに比較検討した。実際80年代初期には、同じ曲をレコードで聴いていた時に気がつかなかったが、“CDでは聴こえた”微妙な違いについて、会話が交わされるのはごく当たり前のことだった。

今日ではステレオを所有していない人も多数存在する。彼らの音楽を聴く体験は理想的な環境からはほど遠い。歩いている間や電車の中でシンプルな携帯イヤフォンを通して聴くのみにとどまっている。

ミュージシャンやプロデューサーは、より新しく、素晴らしい音を作るために今日でも莫大な費用と時間をかけている。だが、多くの人は緻密に作られたサウンドが、全部排除されてしまうコンディションでしか音楽を聴けないことに抵抗がないようだ。

より優れたサウンドを熱望する人々はこの現状に反発するのだろうか? iPodなど再生機器用のスピーカー・システムがすでに存在する中で、いつの日か上質なサウンドへ回帰するムーブメントが起こるのか、楽しみである。


キース・カフーン(Hotwire