BEGIN、『オキナワン フール オーケストラ』インタビュー・フルバージョン

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──そういう初期衝動を形に残せたということで、きれいで整理されただけのアルバムにはないパワーを感じます。

比嘉:僕たちは中学生くらいから3人で音楽ばっかりをやって来ていて勉強もできないし、音楽で世界を変えるメッセージを送ろうなんて大それたことを考えているわけでもない。でも、BEGINという存在が思ったより大きくなっちゃって、周りは「涙そうそう」を作ったバンドだとかいう目で見るわけですよ。そういったものは関係なく、人の気持ちをやさしくできると自分たちが信じる音楽を素直にやっていこうと思ったんです。その結果がこれかっていうことですけどね(笑)。

──開演から終演までの流れを作っていくアイデアというのは、録り終わった後から出てきたんですか?

上地:録りながらですね。ブタハウスで録ったし、僕らの最近のキーワードに“ブタ”があるんです。毎年やっているイベント<うたの日>で「ブタの恩返し」っていう募金を行っているんですが、これは、戦争で沖縄のブタが焼け死んでしまったということを聞いたハワイの移民の人が550頭のブタを贈ってくれたという話なんです。僕たちはそれに感動して、それなら恩返しに550本の楽器を贈ろうということをやっているんです。それで、ジャケット写真のイメージが湧いてきたんです。コンサートのお客さんがブタで、アルバムにも実際のブタの声を入れようとか。

島袋:あと、僕らはギリギリでレコード世代なんですね。レコード盤に針を置いて終わったらひっくり返してっていう、レコード文化に間に合っているんです。いまみたいに、何かをしながらではなく、音楽を聴くためにレコードプレイヤーの前に座ってっていう。だから、まずは“レコードみたいなアルバム”を作ろうっていうのがありましたね。

比嘉:レコードと同じくらいの47分以内にしようって言ったんだよな。

島袋:そうそう。だいたい9曲くらいだろうってね。そしたら、ものすごく長くなってしまって(笑)。

──レコードっぽいアルバムとは、音的なことではなくてね。

島袋:そう、音を古っぽく加工したり昔の機材を使うということじゃなく、先人たちのやってきたであろう過程ですね。例えば、『レット・イット・ビー』の映画の中でビートルスのメンバーって、どんよりしてるじゃないですか。ブタハウスでレコーディングしてわかったのは、一日中やっていると、かなり疲れて、ああなってしまうということなんです。きっとポール・マッカートニーもこうだったんだろうなと思いながら。そういう、あれこれ言い合いながら作っていくレコード時代の作業方法を目指したんです。前は、昔の音に近づけようとか、ザ・バンドの音に似せようとしてたんですけどね。

──5曲目後の“休憩”のところで、ちょうどA面が終わったのかなと思いましたもん。レコードならひっくり返しているときに、ギターのBMGが流れてて、そしてB面が始まるみたいな。で、全体的に、わざとらしさのないローファイさを感じました。

比嘉:そうそう、そこらへんが身の程を知ったというか、ナチュラルなんですよ。しいて例えると、“破れたGジャン”という感じなんですよ。結局、Gジャンに戻っちゃうんだよなーっていう。破れたGジャンってカッコ良いわけでもないし、僕なんか飲み屋のおばちゃんに縫われたことありますよ。可哀想だねって(笑)。つまり、僕たちだってブランド物のジャケットやシャツを着ようと思えば着られます。でも、どこか気持ちが許さないものがあって。それで、今回作っちゃったものも、結局“また破れたGジャン”だーって。かっこ悪さと、自分たちの着心地よさ、これしかないっていう納得が嬉しくもあったんです。

島袋:昔は、いろいろなレコーディングの方法を試したよね。でも、その古っぽい音にならなくて、目指していたのにうまくできなかった。今回、自然にやったら、目指していたものになっちゃったっていうかね。

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