サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ来日インタビュー(2)哲学者(?)ジャレッド・レトが語る現実と幻想の関係

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前回の原稿のなかでは、以外にも“うどん”がお気に入りだったりするジャレッド・レトの庶民的な一面について触れた(参照:サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ来日インタビュー(1)ジャレッド・レトに愛された「日本のファンと×××」)。実際、インタビュー終了後には「うどんがインスピレーションを与えてくれたのかもしれない」とまで言って笑いを誘っていた彼は、コメディアンとしての才能にも恵まれているのかもしれない。

しかし笑いのセンス以上にすごいのが、どんな抽象的な質問にも自分なりの物言いで躊躇なく即答できてしまうところ。今回の来日取材は時間的な制約が厳しかったこともあり、会話の脈絡以上に「短時間のなかで何問訊けるか」が重要だったりもしたのだが、たとえば僕がぶつけた質問のなかには、こんな厄介なのもあった。

「あなた方の楽曲、『ザ・ファンタジー』にちなんで訊くわけではないんですが、あなたはファンタジーとリアリティの関係についてどう考えているんでしょうか? ステージ上やビデオ・クリップのなかでのあなた方の姿はかなり幻想的で、非現実的ともいえます。が、ロックにとってリアリティもまた重要な要素であるはずですよね?」

こんな質問を、うどんにまつわる話の直後にしても、彼は冷静な口調のまま、しかもこちらをまっすぐ見据えながら、こんなふうに答えてくれるのだ。

「興味深い質問だね。たとえば君が、ファンタジーとリアリティについて、鏡の表と裏のような位置関係にあるものだと捉えているんだとすれば、まさにそれこそが俺たちのなかでの両者の関係性だといえるはずだ。それこそ鏡の裏側から外側の世界を覗き込むようなことができたなら、そこから見える現実の世界というのはとても面白いものであるに違いない。俺たちにとっては、モノゴトを幻想的観点に基づきながら超現実主義的に拡大して見せたりする行為というのは、そのことがらの真意を問うような作業だといえると思う。それは、たとえばメタファーやシンボル、神話的なものを通じて人生/生活を見つめるということでもあるし、同時に、自分たちにとって大きな救いにもなる。特に、自分たちが興味を持ったテーマやアイディアに基づきながら表現を拡大し、自分たちが何者であるかを伝えようとするときにはね」

ジャレッドがこのように熱く語っている間、筆者はもちろん、他のメンバーたちも言葉を失っていたことは言うまでもない。というわけで、次回は『サマーソニック07』で再来日を果たすことになる30STM。最後にジャレッドから日本の皆様へのメッセージを。

「とにかく今回は素晴らしい経験をした。みんなに感謝してるよ。俺たちの、正真正銘の日本初ライヴに足を運ぶことができなかった人たちには“We miss you”と言いたいな。でも、来られなかったみんなのことも愛してるよ。<サマーソニック07>で再会できることを願ってる。でも、とにかく今回のことは一生忘れないと思う。ありがとう」

文●増田勇一
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