『ツァイトガイスト』を斬る7つのワード 07/07

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「なぜスマッシング・パンプキンズは復活したのか?」 by ビリー・コーガン

2年前に復活について考え始めた時に、僕らには色んな選択肢があった。

ひとつは、もちろん、お金のための復活で、元のメンバーが全員集まり、お互い口もきかないし、お互い嫌い合うというもの。僕らはもちろん元のメンバーとの復活もあり得るという考え方で、ただし、音楽への愛、演奏への愛、新しい音楽への愛が、同じであればね。だから、それが同じでなければ、このバンドに関わることはない。それで、僕が思うに、彼らは既に興味がない、ということを公に示していたと思うんだ。

パンプキンズっていうのは、そこにスピリットがあって、声がある、という、その概念のようなものだったと思う。僕が、ボーカルで、ソングライターだったから、僕と結びつける人がほとんどだったと思うんだけど。

だけど、ここで前進するにあたって、音楽が何を要求するのかを考えるのが第一だと思ったんだ。それで僕は、人から期待されてるからという理由でその状況に入るのはどうしても嫌で、それなら、家で子供達と遊んでるほうがいいと思うからね。人から期待されるからという理由で僕がそれをやったりしたら、絶対に気に入らなくて、それは絶対に観客に伝わると思う。それこそが僕らが一番やりたくないことなんだ。絶対に二度とね。僕らに戻って来て欲しくないと思っている人でそれを踏みつけるつもりはないんだ。

だから、僕らの置かれた位置というのはすごく興味深くて、かつてのパンプキンズを頑張って戻したくはないという、なぜならそういうものではもうなくなってしまったから。

それに、僕らはもう昔の場所へは二度と戻ることはできないから。これがオリジナル・メンバーであったとしても、あの場所へは戻れない。もうみんな違う人間なんだから。だから、オリジナル・メンバー4人がステージに上がらなくて、正統なパンプキンズに見えないとしたら、次に僕らにできるのは、僕らがアートでやろうとしていたことに正統であるものを作ること。

だから、そうするのに、27人とコーラス隊が必要なんだったら、僕らのやることはそれなんだ。

ピンク・フロイドがいい例だと思うけど、シド・バレットがバンドを去った後に、彼らは、それでも前進しようとした。そうやって、色んな物を拾い集めて、自分の進んでいた方向に向かうしかないし、前進しなくちゃいけないんだ。だって、過去に生きることはできないんだ。だってもうそれはやってしまったことだから。死んでしまったものなんだ。

僕が今演奏してる曲の中には13年間演奏しなかったような曲もある。僕は絶対にウソが付けないタイプの人間で、もし気に入らなかったら、絶対に言うタイプなんだ。それで、今やっていることが心から好きなんだ。ステージに溢れるエネルギーがポジティブだってわかる場所に自分がいられることがすごく好きなんだ。

僕らはこの場所にいたいと思ってる。この音楽を演奏したいと思ってる。みんなが聴いてくれることを本当に感謝している。

もし、聴きたくないと思っても、その理由は尊重してもられると思うんだ。僕らは、いい音楽を演奏するという昔からの考えに基づいたところから生まれてきている。究極的には、みんな、バンドが自分達がやっていることを楽しんでいるというのを見たいんだと思うんだ。それが時間を経ても僕の中で一番大事に思えることだった。特に、そこから長い間離れていたからね。人が何を見たいのかというのを考えても、僕らが自分達のやっていることを楽しんでるところを見たいはずだって思った。苛立っているところではなくてね。

ビリー・コーガン
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