HALFBY、『HALF FARMERS』インタビュー

ポスト

【PAGE:01】

――前回、アルバム制作が佳境だということだったけど、もう完成したね。早い!

HALFBY:かなりタイトなスケジュールだったんですけど、予定通り完成しました。タイトルのアイデアとかジャケットデザインとか、最終的には同時進行でやってましたね。もうホントにできたばっかりです。

――今回のアルバムはどこを目指したの?

HALFBY:まずは、これまでの4枚のシングルをアルバム・サイズにどう拡大して行くかということから始めました。シングルはそれぞれキャラクターの違う4曲だったんで、そのキャラの間を埋めるような曲を入れてまとめていくという方針で作りました。キャラの違う曲が反発し合わないように、その隙間を埋める曲を間にはめ込んでいくという感じですね。

――タイトルの『SIDE FARMERS』というのはどんな意味なの?

HALFBY:これは兼業農家という意味なんです。僕の実家が専業農家なんですけど、僕はそれを継がないでこうやって音楽をやってるんで、そんなニュアンスを持たせたのがひとつですね。それと、今UKのロックシーンでテムズビートっていうのが盛り上がってるんです。日本だと90年代にネオアコースティックなんて呼び方もされたジャンルなんだけど、今そこにいるバンドには、服装とかジャケットのアートワークとかのビジュアルなところや、楽曲そのものもアイリッシュとかカントリーといった牧歌的な要素があるんです。曲名にしても「イン・ザ・カントリー」みたいなモロなのもあるし。その雰囲気が2007年に自分内でピークを迎えたと言うか。最近のDJなんて実際ここ1、2年の間にリリースされたUKのロックばかりだったりしますし。それで今回のアルバムも、そういった雰囲気のところに落ち着かせるのがいいかなと思ったんです。なんとなく農家っぽい雰囲気というか。

――新曲も5曲入ってる。

HALFBY:冒頭でも答えましたが、4枚のシングルそれぞれのカラーがあったので、僕の音楽性を維持しつつ、その間をつなぐようなカラーの曲を、ということで作ったんです。だから新曲の曲調についてはシングルの曲ありきで、それらを生かすためにどんな曲が必要かを考えて作りました。今回はそれがコンパクトにまとまった感じでうまくできましたね。

――曲順もシングルを意識して?

HALFBY:全体に、どの曲についてもある程度曲順を意識して作りました。でもその中身は僕にしかわからないようなことなのかも。まあ、いかにその曲をスムースに聴かせるかを重視した曲順、ということかな。ある意味CD的なまとまりというか、スムースな流れを作っちゃうのが僕のクセみたいなものなんで。

――シングル曲は、アルバムに収録するために手を加えたの?

HALFBY:「STAR TRACK」と「HALFBEAT」はミックスを新しくしました。とくにアルバムバージョンというほどではないんで、そんなに違わないんですけどね。それ以外はシングルの時のままです。

――今回のアルバム制作で苦労したところは?

HALFBY:他のインタビューでも“とくにない”と答えたんですけど(笑)。スムースにいったというか、スムースにやらざるを得ないスケジュールだったというか(笑)。スケジュール的にはしんどかったんで、それが苦労と言えば苦労かな。

――1曲目の「THE RAPID THAMES」は1分足らずと短くて、アルバム全体のイントロのような雰囲気だね。

HALFBY:そんな感じですね。1曲目はダイジェスト版みたいな感じで、アルバムの世界観が見えるような、でもゆっくり聴かせるほどのこともないし、ということで短めに。それで2曲目から本編といった感じですね。

――「CATCH UP THE HOUSEMARTINES」はオールディーズっぽいけどテンポが速いですね。

HALFBY:いや、これそんなに速くないんですよ。110くらいだから「HALFBEAT」と同じくらい。ビートの雰囲気でそう聴こえるんだと思います。実はこれは「Slip ON」の保険みたいな感じで作っておいたものなんです。だから同じようにオールディーズとかサーフっぽい感じを狙った曲です。

――逆に、「MARINE WAVE AND TIDAL STREAM」はアルバム中もっとも長い曲だけど、ずっと抑えた雰囲気で流れていく感じに聴こえる。

HALFBY:「SCREW THE PLAN」とか「IMPOSSIBLE CARPETS」は90年代に流行ったマンチェスターっぽい要素を自分なりに取り入れて作ったんですけど、この曲も同規格といいますか。カラっとしたドラムの質感やループ感などはモロに90年代を意識して。マンチェっぽいと言ってもレイヴィーなロックバンドというよりは、テクノサイドのグループがアルバムでソウルのカヴァーをやったら的な方向性を持たせて。盛り上がりそうで盛り上がらない、でもミニマルになり過ぎない、そして控えめなソウルテイスト、なんて絶妙な雰囲気を出したかったんです。まあ誰にも伝わらないかもしれないんですけど(笑)。

>>インタビューの続き

>>特集ページへ戻る

この記事をポスト

この記事の関連情報