ポーグスの名クリスマス・ソング、なぜか問題に

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BBCラジオ1が、ポーグスの名クリスマス・ソング「Fairytale Of New York」の歌詞をリリース後20年経ったいま突然、問題視した。数年前に行なわれた一般投票で、英国人が最も好むクリスマス・ソングの1位に選ばれたこのトラック。今週のチャートでも改めてトップ10入りするなど、UKではこの時期欠かすことのできない曲の1つだが、ラジオ1は「歌詞の一部が人々の気分を害する恐れがある」と判断。わざわざ編集したヴァージョンを制作し放送することにした。ところがさすが名曲、リスナーからの抗議が殺到し1日で撤回する羽目になってしまった。

リリックには“Scumbag(いやらしい奴)”“Maggot(うじ虫)”“Faggot(ゲイ)”“Slut(尻軽女)”など上品とはいえない言葉が連発するが、'87年にリリースされて以来、問題視されるのは初めてのこと。この言葉遣いだからこそ、愛されているともいえるはずなのだが……。

実際、ラジオ1の決定が発表されてすぐに“過剰反応”との批判の声が多数上がった。BBCオンラインによると、ラジオ1のサイトにはリスナーから「完全に過剰反応。差別語禁止が行き過ぎてる」「僕はゲイだけど、感情を害するようなものじゃない」とのメッセージが寄せられたそうだ。

同トラックでポーグスのフロントマン、シェイン・マガウアンとデュエットしてる故クリスティ・マッコールの母親も「個性っていうものでしょ。こういう喋り方をする2人のキャラクターなのよ」と憤慨。ポーグスのスポークスマンは「(メンバーは)最も愛されているクリスマス・ソングの1つがなぜ急に問題視されたのか驚いている」と当惑していた。

ラジオ1は“Faggot”“Slut”の部分を消去したヴァージョンを制作したが、リスナーやマスコミから批判を受け、先の決定を撤回。以前通り、オリジナル・ヴァージョンを放送することになった。同じBBCネットワークではあるが、ラジオ2は当初からラジオ1の決定に従うつもりはないと宣言、オリジナル・ヴァージョンを流し続けていた。

Ako Suzuki, London
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