2008年、世界へ羽ばたくUKの歌姫、レオナ・ルイス

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2007年、UKで最も売れたシングルとなったレオナ・ルイスの「Bleeding Love」。7週連続チャートのトップをキープした後、いまだにトップ3内にランク・インしている。続いてリリースされたデビュー・アルバムは、発売1週間で37万枚以上を売り上げ、デビュー・アルバムのUK国内最速セールス新記録を樹立。現在も7週連続でアルバム・チャートの1位に輝いている。

レオナが生み出した記録を挙げたらきりがない。そして、これからも新しい神話が誕生し続けるのだろう。

彼女はオーディション番組『X Factor』の'06年度の優勝者だ。ポップ・スターを“製造する”番組だけに、出身者に対し偏見を持つ人々も多い。実際、一発屋で終わってしまう優勝者が多いのだが、レオナに関して言えば、出演当時から“思わぬお宝発見”というムードが漂っていた。この年は、何とかして“スターを作り出す”のではなく、オーディション番組本来の“新しい才能を発見する”役割を果たしたのだと思う。見るほうもエキサイティングだったが、番組制作者もかなり驚喜したはずだ。

それは、優勝直後すぐにデビュー・シングル「A Moment Like This」をリリース、大当たりしたものの、次のシングル「Bleeding Love」が発表されるまでに10ヶ月近く間があいたことからもわかる。話題になっている間にさっさとシングル/アルバムを制作し売ってしまおうという一発屋のマニュアルに従うのではなく、せっかく発見した本物の才能を大切に育てようという意図があったからだ。

そして、彼女はこの空白の期間に忘れられてしまうような薄っぺらな存在でもなかった。番組出演時から彼女の歌声に魅了されていたUK国民は、待ちに待った2ndシングル「Bleeding Love」、デビュー・アルバム『Sprit』に殺到、その期待が裏切られることはなかった。

この人気はUKだけにとどまらない。アリスタ・レコードの創立者でホイットニー・ヒューストン成功の貢献者であるクライヴ・デイヴィスが彼女の才能を高く評価。米国での大型契約を交わした。ホイットニー本人もレオナを高く買っているといわれている。また『Entertainment Weekly』誌は‘08年活躍が期待されるエンタテイナー8人の1人にレオナを上げ、“次のマライヤ・キャリー”と紹介している。そう、彼女はマライヤ、ホイットニー、そしてセリーヌ・ディオンと並ぶ本格派“ディーバ”とみられているのだ。

そのディーバの歌声をストックホルムで聴くことができた。ショウケースということで、ヨーロッパでもすでに人気の「Bleeding Love」、聖歌隊をバックに引き連れた「Whatever It Takes」、ソウルフルな「Homeless」、ロバータ・フラックのカヴァー「The First Time Ever I Saw Your Face」の4曲しか披露されなかったのは残念だが、その実力/才能は十分実証された。彼女の歌声はのびやかでしっとりしていると同時に、エモーショナルでパワフル。ややアップテンポな「Bleeding Love」以上に、バラードの「Homeless」で光っていた。そして、歌声におとらない美しい容貌。ゴールドのドレスをまとったその姿は歌姫そのものだった。

英国はこれまでに、エイミー・ワインハウスやジョス・ストーンといった逸材を生み出してきたが、彼女たちとは違うタイプ、マライヤやホイットニーに続く正統派なバラードを歌い込むディーバが誕生した。

『Spirit』は3月に全米リリース、日本でも4月に発売予定だ。2007年UKを虜にしたレオナは、いよいよ今年、世界へはばたく。

Ako Suzuki, London
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