羊たちの回想:メリーのツアー総括(1)

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2007年12月27日、奈良・NEVERLANDでの公演をもって終了したメリーの2007年・秋/冬季ツアー『Many Merry Days#3』。実は彼ら、この3月には『Many Merry Days#4』も控えており、その先には5月3日、横浜文化体育館でのライヴも待ち受けているわけだが、北風吹きすさぶ極寒のある日、筆者はガラから呼び出しを喰らった。なんでも、「今だからこそ、あのツアーを振り返りながら総括しておきたい」のだという。

「勝手にしろよ」と思いつつも、おそるおそる校舎の裏……ではなく某V社に出向いてみると、そこにはメリーのメンバーたちが勢揃い。結果、『Many Merry Days#3』の全行程を何度かに分割しながら回想し、またもやきわめて強引に短期集中連載をスタートするということになった。まず今回は、ツアー序盤に行なわれた以下の3公演について、インタビュー形式でざっくりと振り返ってみるとしよう。

2007年11月20日(火)東京・SHIBUYA-AX
2007年11月21日(水)東京・SHIBUYA-BOXX
2007年11月24日(土)岡山・CRAZY MAMA KINGDOM

▲左から11月20日、21日、24日の各公演のセットリスト。これから毎回の更新とともに掲載していくのでお楽しみに。
――ツアーの滑り出しは、なかなか上々でしたよね。

ガラ:ええ。みんなでひとつの目的を持ちながら話し合って、“こういうツアーにしよう”というのが最初からあったんで。あらかじめそういう話をできてたことで、足並みの揃ったスタートになったとは思いますね。これまで、アルバムが出たあとのツアーとかだと、コンセプトがすごくハッキリしてたじゃないですか。今回も『M.E.R.R.Y.』というアルバムに伴うツアーではありましたけど、5月の横浜文体まで見据えたうえで、“今、自分たちがすべきライヴ”というのを全員のなかで明確にしながら始めることができたんで。

――しかし2本目から“番外編”のライヴというのも異例。テツさんのバースデイ・ライヴとして、前日告知で強行開催されたわけですが。

テツ:2日目からオドロキでしたね。何か特別なことをやりたいと思ったときにライヴができるというのは、まさにバンド冥利に尽きるというか。もしかしたらメンバー中、誕生日にライヴが重なるのは、俺がいちばん多いかも。

ガラ:俺の場合は、いつもレコーディング(笑)。

ネロ:俺もそう。あとは打合せだったり。

テツ:ま、でも、2日間を通じて、いい滑り出しでしたよね。BOXXでは本編で『M.E.R.R.Y.』の曲を曲順どおりにやったわけですけど、アルバム自体がいいものなんで、そのままやってもいいライヴになるはずだって思ってたし。その事実が2日目の段階で証明された感じで。

結生:今回のアルバムの曲たちというのが、ライヴで今までの曲たちと組み合わせたときに全然違和感がないというか。前作の『PEEP SHOW』のときも、イベントでアルバムの全曲を曲順通りに演奏したんですけど、あのときはなんかすごくガチガチで、“初めて演奏します”的な空気がアリアリで(笑)。でも今回のアルバムでは、それがスッとできたというか。リハのときに結構細かいところまで詰められたから、その影響もあったのかもしれない。

健一:ライヴ当日は“いいスタートが切れたな”と思ってたんですけど、ツアーが終わって振り返ってみると、“まだまだ甘い部分もあったかな”という気がしますね。お客さんがすごくあったかい空気を作ってくれてたんで、そこに助けられてた部分もあった気がします。

ネロ:やっとみんなで一緒の方向を見れたかな、というのが実感としてありましたね。アルバム自体にもそれは感じてたし、お客さんについてもそうなんですけど。ま、いわゆる“ベスト・オブ・メリー”的なセットリストに驚いた人もいたでしょううけど。初日について後悔してるのは、「ズボンの裾が気になるから、ちょっと待ってて」って(ガラに)言われてたのを忘れて俺が曲を始めてしまったことだけです(笑)。

ガラ:衣装のズボンの裾が長くて、ライヴが始まってからも引きずって歩いてたんですよ。

ネロ:そう、大岡越前だった(笑)。

ガラ:で、「何曲かやったら引っ込んで、直してくるかも」って予告してあったのに、最初のブロックが終わって、いざ引っ込んでみたら、そのまま曲が始まってしまって(笑)。

ネロ:しかも曲が「ハライソ」なんで、イントロがない(笑)。

ガラ:結果、すぐ戻ってきて歌いだしました(笑)。

――いわゆる“ツアー”は岡山からということになりますけど、公演前日には、寒いなか、路上ライヴのリハーサルがあったりもして。

ガラ:初の試みでしたね。駅前で、めちゃくちゃ寒くて……。でも、初めてのわりには恥ずかしくなかったんですよね。人がいなかったから、というのもあるだろうけど(笑)。

結生:実際、遠巻きに観てたファンはいたみたい。ただ、あまりに人がいなくて近付きにくかったというのが真相らしくて(笑)。

そしてこの後、ツアーは九州シリーズへと突入。この続きはまた次回、ということで。

増田勇一
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