アリシア・キーズ、パワフル&ソウルフル!

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体調を崩し咽頭炎によりドクター・ストップを受け、ヨーロッパ・ツアー初日となった2月25日(グラスゴー公演)と26日(マンチェスター公演)の公演をキャンセルしてしまったアリシア・キーズだったが、その後28日のバーミンガム公演から回復に向かい、2月29日ロンドン公演では完全復活となった。

会場はO2アリーナ。レッド・ツェッペリン再結成公演を行なったことでも知られる20,000人収容の会場は、彼女の回復を待ちわびたファンで満員となった。ショウはアルバム同様「アズ・アイ・アム」のピアノ・イントロからスタートした。

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世界的に大ヒット中の最新曲「ノー・ワン」やデビュー曲でもある「フォーリン」といったじっくり聴かせるタイプのR&Bトラック、そしてピアニストとしての彼女を期待して訪れたオーディエンスがいたならば、その後の展開はちょっと意外だったかもしれない。アリシアは「ゲットー・ストーリー」「ウェイティング・フォー・ユア・ラヴ」といったアップテンポのダンス・トラックをノンストップで繰り広げ、自らもバック・ダンサーとともにスピーディーでエネルギッシュなダンスを披露。“女のパワフルさ”を、まずは歌声ではなく動きで見せつけ、会場を沸かせた。

その後も、ところどころで、このかっこいいダンス・ムーブメントは見られるのだが、やはり彼女の本領が一番発揮されたのはピアノの弾き語り部分だ。オーディエンスが最も期待していたであろうこの見せ場は、ショウの半ばに用意されていた。ステージに現れたグランド・ピアノに会場が沸く中、アリシアはオーディエンスをじらすように「シュアー・ルックス・グッド・トゥ・ミー」をスタート。そのまま止まることなく「ハウ・カム・ユー・ドント・コール・ミー」「バタフライズ」「グッドバイ」といった絶品のピアノ&ヴォーカル・パフォーマンスを披露した。

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しっとりしたトラックであってもその歌声は力強く、聞き惚れて静まりかえった客席の中に響き渡る。まるで、声の振動だけであの大きな会場を揺らすことができるのではないかと思わせる迫力だ。とくに、男性ヴォーカリストとともにパフォーマンスされた「テンダー・ラヴ」では鳥肌が立つほどのスクリームを聴かせてくれた。

『アンプラグド』(2005年)が素晴らしかっただけに、彼女のヴォーカルを堪能するにはもっと小さな会場のほうが相応しいのではないかと思ったが、声・動きとも想像以上のスケールを持ち、その圧倒的な存在感は、アリーナのステージでさえ小さく思えたほど。

ヴォーカルだけでなくそのキャラもかなりパワフル。アグレッシヴにこぶしを振り上げながらピアノを弾き、「感情、とくに怒りは表に出さなきゃダメなのよ」と諭す姿は“かっこいい姉御”といった感じ。類稀な歌声が楽しめるだけでなく、元気をもらえるパフォーマンスだった。

きたる<サマーソニック08>、アリシア・キーズのパワフルなパフォーマンスが今から楽しみとなった。
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