ミドリ、『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』大特集内インタビュー

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──(笑)。で、後藤さんの書く歌詞と歌は、心の叫びが飾り立てない言葉で表現されてるな、と思ったんですね。なんか感情がズドン!と飛び込んでくるっていうか。

後藤:あ、ホンマですか? どちらかといえば作り上げるのは嫌いかもしれない。音楽をし始めた頃より、自分の気持ちだとか日常生活での感情の起伏だとかをアウトプットする時も、正しくというか、ちゃんとアウトプットできるようになったと思う。でも、なんか情景描写とかは相変わらず苦手。ちっちゃい頃、物語を書いたことがあったけど、情景描写ができなくて“私は今日、腹が立った”とか日記とか作文みたいになってしまって、これはイカン、と(笑)。あと小3の時やったかな…授業で詩を習って授業参観で発表したことがあって、みんなは“きれいだな、虹。”とか書いて発表してるのに、ボクは“トラ(=飼ってる猫)が三味線になって帰ってきた”って詩を書いて発表して。

ハジメ:スゴい詩、書きますね(笑)。

小銭:面白いことしてんなぁ。

後藤:そしたら家に帰ってお母さんに“アンタはなんで、そういうこと書くんや? トラは死んでもないし三味線にもなってへんのに!”って怒られて…。でも、そういうのを書くつもりはなかったけど書いていたらそうなってしまって。それをいくら説明しても全然理解してくれへんかった…そのことを今でもスゴい覚えてる。

ハジメ:きっと先生も評価しづらかったやろな(笑)。で話を戻すと、さっき後藤さんが“情景描写ができない”って言ってましたけど、僕は歌詞から絵が見えたりするんですよ。それが逆にスゴいなって思ってて。

──うん、情景は浮かびますね。あとパッと聴き過激なようでいて、「ひみつの2人」のように時間軸に沿って変化していく恋する女心が繊細に描かれてるのもある。きっと素直に心のまま書いてるんだろうな、と思えたし。関西弁だから余計そう思えるっていうか。

後藤:人間、怒った時とか嬉しい時とかって、やっぱ自分のホンマのしゃべり言葉みたいなのが出るやないですか。オカマの人とかでも怒ったら男の言葉になるでしょ? それがボクは関西の言葉やったってだけで。東京とか群馬に生まれてたら、こっちの言葉になったやろうし。曲タイトルにもある大阪でよう使う“あほぼけかす”も、東京の人やったら“ねぇ、やだー、もう”みたいな感じかもしれんし。

ハジメ:スッゴい違いやな(笑)。

──(笑)。話をまとめると歌詞も音も今のミドリをぶつけた渾身の1枚と言えそうですね。

小銭:うん、良い感じでレコーディングできたですよ。そのままホイ!という感じで。楽器は一緒に2,3回録って選んだだけだし。あんまりテイク重ねてもなって、結局はよくならないし。そんな、いきなり上手くなったら、ビックリするしな。

後藤:そや、ビックリする。

ハジメ:やりたいことをやる、というのは今までと変わってないけど、今年1月、コントラバスの岩見さんが加入したのは大きな変化かもしれない。それもあって、アルバム・タイトルが『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』なんです。

──なるほど。これだけライヴに近い生々しい作品ですから、アルバム発売後、全国ツアーでミドリの本領発揮となるのでは?

ハジメ:実は初めてなんです、ワンマン・ツアーも、ワンマン・ライヴ自体も。

小銭:今回、よう気が向いて“ワンマン・ツアー、やる”と言ったなぁ。

後藤:ホンマや。

ハジメ:だから、もしかしたら最初で最後のワンマン・ツアーかもしれないし(笑)。けど、お陰様で、チケットがソールド・アウトの場所、結構あるんですよ。

──スゴいことになりそう。モッシュとかダイヴとか。

小銭:楽しみ。ワンマンっつーもんは、どんなものか分からへんけど、ワシ、ライヴは(ワンマンだろうとイベントだろうと)何でも楽しみ。

取材・文●増渕公子

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