DIR EN GREY、ツアーも終盤、いよいよ東京三連戦

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5月の到来と同時に大阪・なんばHatchでの三夜公演で幕を開けたDIR EN GREYの今年最初のツアー<TOUR08 DEATH OVER BLINDNESS>もいよいよ佳境。もはや5月28日、29日、30日の東京・新木場STUDIO COASTでのライヴを残すのみとなった。


岡山、名古屋、仙台、青森、横浜と展開されてきた今回のツアーについては、すでに目撃者となった人たちの間でもさまざまな情報交換が行なわれているはずだが、そうした誰もが認めるはずなのが、メンバー個々の存在感がこれまで以上に色濃いものになっていること、そして各々の楽曲の放つオーラもまた尋常ではない次元にまで引き上げられているという事実だろう。もちろんそれはツアーの序盤にも感じられたことだが、5月23日、24日に行なわれた横浜BLITZでの公演を観た現在となっては、そうした傾向がさらにエスカレートしている事実も認めざるを得ない。

これからSTUDIO COASTに参戦する人たちのためにも過剰な予告は控えておくが、とにかく衝撃的なのが、セット・リストの斬新さ。オープニングやクロージングばかりでなく、随所に「このポジションで、この流れで、この曲を!?」という意外性に満ちた楽曲が顔を出す。しかしもちろん、奇をてらっているわけではないし、極端に珍しい曲が登場していたというわけでもない。単純に、2007年だけで121本ものライヴを重ねてきた彼らが自分たちのライヴに新鮮さを求めた結果なのだろうし、もっと露骨な言い方をすれば、5人自身が日々のステージに飽きないための手段でもあるのだろう。そして実際、その新鮮さというのは、あらかじめ曲順表がアタマのなかに入っていない受け手側にとっては、いっそう刺激的なものとして増幅された状態で届くことになるわけだ。

2日間の横浜公演を例にとっていえば、23日には、今回のツアー中にすっかりオープニング曲としてのたたずまいが身についてきた「DOZING GREEN」での幕開けからいきなり「朔-saku-」に転じた瞬間のスリルに思わず声をあげそうになったし、24日には、アンコールでも本編のクロージングでもない、やや唐突な場面に挿入された「THE ⅢD EMPIRE」の不意打ちに、してやられた。そんな瞬間の到来が、ひとつのライヴのなかでも一度や二度ではないのだ。

同時に、このツアー開幕と同時に披露されるようになったふたつの新曲についてもまた、日々のステージを経ながら確実に成長を遂げつつあるのを見てとれる。これらの楽曲についてはまた、東京公演で体感したうえで改めて触れることにしたいと思うが、まさにDIR EN GREYの“次”を予見するうえでのヒントのいくつかがそこにあると言っていいだろう。

さて、ずっと原稿更新を怠っていたために、すっかり“答え合わせ”の機を逸してしまっていたのだが、去る4月末の原稿で書いた「彼らがこのツアー本編以外で演奏することになる謎の楽曲」の正体について念のため触れておきたい。マネージャーの井上氏と僕の会話中に出てきたアルファベット7文字のタイトル、「XXXXXXX」の正体は、「MISCAST」。誰が書いた楽曲かは言うまでもない。彼らはこの曲を、5月4日、味の素スタジアムでの<hide memorial summit>出演時に演奏したのだった。もちろんすでに大半の読者はこの事実を知っていることだろうが、たまたまDIR EN GREYの楽曲にもアルファベット7文字のものが少なくなく、「JEALOUS」や「JESSICA」といった予想をした人たちもいたらしい。そうした余談はともかく、今回のツアー開始に先駆けての準備期間や、なんばHatchでのサウンド・チェック時には、実は秘密裏にこの「MISCAST」のリハーサルも行なわれていた事実を付け加えておく。

というわけで、今後、彼らの「MISCAST」を聴くことができる機会というのはほぼ皆無に等しいと言っていいはずだが、“今のDIR EN GREY”を体感できる機会というのも、もちろん今しかない。まずは5月28日、新木場STUDIO COASTでお会いしましょう。

増田勇一
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