「枯葉」のテイク1が現存、フル公開開始

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マイルス・デイヴィス、キャノンボール・アダレイが1958年に録音した、モダン・ジャズの歴史的名曲&名演奏である「枯葉」の別テイクが、世界で初めてweb上で公開された。

「枯葉」は1940年代に作曲されて以来、20世紀のスタンダードとして世界中で親しまれている、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう名曲中の名曲。そしてジャズの世界に於いては、マイルス・デイヴィス、キャノンボール・アダレイが、ブルーノートから1958年にリリースしたアルバム『サムシン・エルス』の1曲目に収録。印象的なイントロ、マイルスの美しいミュート・トランペットなど至高の演奏で知られ、モダン・ジャズ史上最も名高い一曲となっているが、これはレコーディングを行った時の2テイク目が採用されていたものだ。今回公開された演奏というのは、このときの1テイク目のものなのだ。

これまで、このテイク1は演奏が途中で中断してしまっている、あるいは既に消去されてしまったと信じられてきた。ところが、50年前に録音されて以来その存在すら知られていなかった「枯葉」のテイク1は、実はブルーノートの研究家、発掘者として知られるマイケル・カスクーナが1975年頃に発見していたのだという。

しかし、“マイルスの演奏は完璧以上だがキャノンボールのソロの後半に破綻があり、リズム・セクションも乱れる”などの理由で、当時在命であったブルーノートの創設者/プロデューサー、アルフレッド・ライオンの判断を尊重することにより、世に出さないことに決定していたと言うのがその真相だ。

だが、今回、マイケル・カスクーナにより、録音50周年、アルフレッド・ライオン生誕100年の“2008年こそ封印を解くべき時で、ストリーミングに限って公開しよう”と判断、<Blue Note J@zz Festival>サイトでの公開が決定したというものだ。

「枯葉」テイク1の録音は、最初30秒ほどで中断、その後ルディ・ヴァン・ゲルダー(ブルーノートの楽曲ほとんどを録音した著名なエンジニア)のキューと共に2度目のテイク1が始まり、約10分間で完奏。楽曲前後と合間にはマイルスやルディ、アルフレッドの会話や談笑も聞くことができる。今回は、これら「中断」や「会話」も含む全11分25秒を全てストリーミング公開となった。

<Blue Note J@zz Festival>サイトは、ブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの生誕100年と来年のブルーノート創設70周年を記念してweb上で公開された、EMIミュージック・ジャパンによるヴァーチャル・ジャズ・フェスティヴァルだ。未公開音源の試聴や、最新のブルーノート所属アーティストの映像公開、誰でも気軽にブルーノートの名曲を週替わりで楽しめる約50分間のウェブラジオ・プログラムなど、ジャズのコア・ファンからビギナーまで、24時間気軽にジャズに触れて楽しめる無料の特集サイトである。<Blue Note J@zz Festival>サイトでは、今後においても様々な貴重音源が公開されていく模様だ。

<Blue Note J@zz Festival>サイト
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