DIR EN GREY、2008年2度目の全国ツアー開幕。その“最狂”な内容とは?

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最新シングル『GLASS SKIN』の出足が好調なDIR EN GREY。その発売と同時に、2008年2回目の国内ツアーが開幕を迎えた。<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>と銘打たれたこのツアーは、全国11都市で全18公演を行なうというもので、着地点は10月12日の北海道・Zepp Sapporo公演に設定されている。が、同名のツアーは、11月5日にはアメリカで再開され、バンドは1ヵ月間にわたり全米22都市をサーキットすることになっている。

今回の国内ツアーの初演にあたる、9月10日、11日の東京・渋谷AX公演を観た。彼らのオフィシャル・ファンクラブである「a knot」の会員のみを対象にした2日間のライヴは、言うまでもなく両日とも超満員の大盛況。都内で、この規模の会場でDIR EN GREYを観られる機会というのも稀な昨今だけに、開演前から場内にたちこめる熱気には凄まじいものがあったし、暗転してメンバーたちがステージ上に姿を現した際の歓声の音量は、この会場のサイズには似つかわしくないほどに大きなものだった。実は、DIR EN GREYがこの会場でライヴを行なうこと自体が貴重ともいえる。彼らが初めて渋谷AXのステージに立ったのは、2004年の10月から11月にかけて、<THE MANIPULATED LIFE>と銘打たれた三大都市ツアーが行なわれたときのことで、この場所での公演は、実にそれ以来ということになる。

今回のツアーを迎えるにあたって、ファンの注目と期待は、11月12日に発売が決定している7作目のオリジナル・アルバム『UROBOROS』にまつわるヒントがどれくらい提示されることになるのかに集中していたことだろう。そして実際、彼らはこの2日間の公演を通じて、同作に収録予定の、ふたつの真新しい楽曲を先行披露した。「凱歌、沈黙が眠る頃」、そして「蜷局」と題されたそれぞれの新曲は、どちらもある種の過激さを持ちながらも、単なる激烈チューンとは一線を画するもの。DIR EN GREYの音楽が、よりいっそう形容し難いものになりつつあることを予感させるものでもあった。

もちろんそれは、やはり同アルバムへの収録が決まっている「DOZING GREEN」や「GLASS SKIN」といったシングル曲についても同じことではある。もちろんどちらの夜もこれら2曲は披露され、ことに「GLASS SKIN」が持つ独特の世界観は、過剰なほど濃密なライヴ全体のなかでも、ことに鮮烈な印象を放っていた。ここでひとつ蛇足を承知で付け加えておくと、この2曲に関しては、英語詩によるヴァージョンでアルバムに収録されることになるのだという。すなわち、日本語詩のものはシングルでしか聴くことができないということ。その事実を、念のためお伝えしておきたい。

他にもこの両日のライヴには、いくつもの驚きがあった。久しく耳にしていなかった曲がセットリストに復活したり、いわゆる定番曲の類が、聴き慣れたポジションとは違う場面に挿入されていたりする例は、去る5月に行なわれた<TOUR08 DEATH OVER BLINDNESS>の際にもいくつか見受けられたが、今回のツアーでは、そうした傾向にさらに拍車がかかっていると言っていい。これからこのツアーを目撃することになる人たちに余分な先入観を与えずにおくためにも、敢えて具体的な楽曲名については記さずにおくことにする。が、両日ともオープニング曲のイントロが耳に飛び込んできたときは、思わず大きくのけぞってしまったし、“山”のあとに“谷”が用意されているものと身構えていたら、さらに険しくて高い“山”が連なっていたり、といった場面もあった。

さらにはここ数年間、ある意味、彼らのライヴにとっての“核”になっていたともいえる複数の楽曲が、この2日間は演奏されなかった。もちろんその楽曲たちが、完全に封印されたということではないはずだし、今回のツアーでまったく演奏されないとはかぎらない。が、何よりも重要なのは、そうした楽曲たちが不在の状態であろうと、DIR EN GREYの“核”は少しも揺らぐことがないという事実だろう。

こうして日々のライヴを重ねながら、DIR EN GREYは、そして世界は『UROBOROS』という新たな怪物が世に解き放たれる日を迎えることになる。バンドのフロントマンである京が、以前からこのアルバムを指して口にしていたのが“最狂”というキーワードだが、まさに現在の彼らは“最強”どころではない状態にあるのかもしれない。そして実際、すでにこのツアー開幕の時点で、彼らはそんな“最狂”ぶりを存分に堪能させてくれたと言っていい。が、幸運にも完成直前段階でのアルバム音源を試聴させてもらった人間のひとりとして、敢えて言っておく。これはまだまだ氷山の一角にしか過ぎない、と。

増田勇一

●「GLASS SKIN」“初回生産限定盤”購入者限定7th ALBUM『UROBOROS』LISTENING SESSION
2008年10月18日(土) 新木場STUDIO COAST
OPEN 15:15/START 16:00
チケット料金:\1,500

●UROBOROS -breathing-
2008年12月29日(月) 大阪城ホール
OPEN 18:00/START 19:00
チケット料金:\6,000
[問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
[総合問合せ]フリップサイド 03-3466-1100

●国内ライブ情報
<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>
9月10日(水) 東京都・SHIBUYA-AX
9月11日(木) 東京都・SHIBUYA-AX
9月15日(月・祝) 愛媛県・松山市総合コミュニティセンター
9月17日(水) 福岡県・Zepp Fukuoka
9月18日(木) 宮崎県・WEATHERKING
9月20日(土) 広島県・広島CLUB QUATTRO
9月21日(日) 広島県・広島CLUB QUATTRO
9月24(水) 東京都・Zepp Tokyo
9月25(木) 東京都・ZeppTokyoo
9月27日(土) 京都府・KBSホール
9月28日(日) 京都府・KBSホール
10月01日(水) 愛知県・Zepp Nagoya
10月03日(金) 大阪府・なんばHatch
10月04日(土) 大阪府・なんばHatch
10月07日(火) 新潟県・新潟LOTS
10月08日(水) 新潟県・新潟LOTS
10月10日(金) 宮城県・Zepp Sendai
10月12日(日) 北海道・Zepp Sapporo
[総合問合せ]フリップサイド 03-3466-1100

●全米ツアー
<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>
11月05日(水) フォートローダデール(フロリダ州)/Revolution
11月07日(金) オーランド(フロリダ州)/Firestone
11月08日(土) アトランタ(ジョージア州)/Center Stage
11月10日(月) ボルティモア(メリーランド州)/Rams Head Live
11月11日(火) フィラデルフィア(ペンシルヴェニア州)/The Theatre of Living Arts
11月12日(水) ボストン(マサチューセッツ州)/Wilbur Theatre
11月14日(金) ニューヨーク(ニューヨーク州)/Terminal 5
11月15日(土) モントリオール(ケベック州)/Le Medley
11月16日(日) トロント(オンタリオ州)/Kool Haus
11月18日(火) ポンティアク(ミシガン州)/Clutch Cargo
11月19日(水) シカゴ(イリノイ州)/House of Blues
11月20日(木) ミネアポリス(ミネソタ州)/First Avenue
11月22日(土) ミルウォーキー(ウィスコンシン州)/The Eagles Club
11月23日(日) ソーゲット(イリノイ州)/Pop's
11月25日(火) ヒューストン(テキサス州)/House of Blues
11月26日(水) ダラス(テキサス州)/Palladium Ballroom
11月28日(金) テンペ(アリゾナ州)/Marquee Theatre
11月29日(土) ロサンゼルス(カリフォルニア州)/The Wiltern LG
11月30日(日) サンフランシスコ(カリフォルニア州)/Warfield Theatre
12月02日(火) ポートランド(オレゴン州)/Hawthorne Theatre
12月03日(水) シアトル(ワシントン州)/The Showbox
12月05日(金) イングルウッド(コロラド州)/Gothic Theatre

DIR EN GREYオフィシャルサイト
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