泉谷しげる、朝まで歌い続けたクレイジーな一夜

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2008年10月1日に7年ぶりとなるニューアルバム『すべて時代のせいにして』をリリースした泉谷しげるが、2008年還暦を迎えたことを記念して、<泉谷展覧会60×60>と題したオールナイト・ライヴを行なった。

◆「すべて時代のせいにして」PV

60歳にして60曲を朝までかけて歌い上げるといういかにも無謀な挑戦に、1500人の客席が固唾を呑んで見守る中、10月4日(土)22時、ZEPP TOKYOのステージの幕が上がった。

第1部は、新曲から初期のロック、初期のフォークまで、泉谷ヒストリーを網羅する内容。1曲目は、ニューアルバムの1曲目に収録されている新曲「業火」。前半からペース配分など全く感じさせず、絶叫しまくる泉谷。容赦なくヤジを飛ばすオーディエンス。激しく煽るバンド。会場はみるみる間に興奮の渦に巻き込まれていった。泉谷は上着を脱ぎ捨て、白いTシャツ姿で19曲目「春夏秋冬」、そして20曲目「終わりを告げる」を、さらに歌声は大きく客席中に響き渡らせた。

30分程の休憩を挟んで、第2部はデニムの上下に身を包み、1971年エレック時代の楽曲を、泉谷が所蔵していた貴重な写真をスライド投影で紹介しながら、1曲1曲切々と歌い上げていく。12弦ギターを掻き鳴らし「紅の翼」から始まり、「戦争小唄」「街はぱれえど」「白雪姫の毒リンゴ」など名曲の数々を披露。タイトルをコールするたびに、客席は懐かしさの余り「うぉーっ」と歓声を上げる。

中盤は中期のフォークを次々に披露。バンドメンバーが徐々に加わり「陽が沈むころに」「あいまいな夜」。泉谷は興奮のあまり、突如ニューアルバム購入者にサインをすると宣言。どよめく客席に突然の新曲発表。ニューアルバム収録のバラード「生と死の間に」「回想」に至るころには、すでに深夜2時を回っていた。

2部終了の直後、休憩時間のはずが、サインを求めてZEPPTOKYOの通路を一周するように長蛇の列が出来あがってしまった。慌てて、会場の整理に追われるスタッフ。もちろん30分の休憩では全員のサインが終わるわけもなく、サインは終演後に持ち越された。

第3部はダイナマイトポップスショー。1曲目は「黄昏のオレンジ・ロード」。メンバー全員突然のコスプレに客席は大爆笑。電飾を付けたヘルメットにフライングVを振りかざした泉谷は会場は圧倒したまま「黒いカバン」を熱唱。「Dのロック」のイントロが流れると、客席はさらに熱を増していった。ストロボライトが交錯する中、衣装替え。エンディングに向けて、待望のゲスト、仲井戸麗市が登場すると、客席の興奮は最高潮に達していく。

「翼なき野郎ども」「デトロイトポーカー」といった、これでもかといわんばかりの激しい選曲にも、泉谷のシャウトは衰えない。「火の鳥」を歌い終わったところで、さすがに疲れが出た泉谷だったが、気を取り直すといよいよ人気曲「眠れない夜」~「国旗はためく下に」と、泉谷のライヴには欠かせないレパートリーが続いていった。

59曲目「長い友との始まりに」を歌い終え、いよいよ60曲目に歌われたのは「土曜の夜君と帰る」。ややしっとり目に、歌いきった泉谷はさすがに自身感激しきり。「次は70曲やるぞ」「100曲の時はおまえらつきあえよ!」「これでギネスに申請できる」とも発言。そして、アンコールに、最近最も本人が好んで歌っている「時よ止まれ 君は美しい!」を歌い、さらに、予定外のゲスト、ルーザー時代の盟友、下山淳も登場し、最後を飾るにふさわしい「野性のバラッド」を会場中を巻き込んだ大合唱で締めくくりとなった。

終わってみれば、全62曲。改めて60歳という年齢を全く感じさせない、元気と熱気に包まれたパワフルなライヴだった。終演後、2部の後の休憩で打ちきりとなったサイン会の続きを、なんと会場前の白々と明けた空気の中で行ない、さらに本人の希望により、観客に写真撮影を許可するというサービス精神を発揮、これもまた泉谷しげるらしい光景となった。ちなみに、泉谷がライヴ中にサイン会を実施したことはこれまで一度もなかったこと。

サイン会にはのべ350人が参加、6時40分に全て終了。泉谷もオーディエンスも一体となった、愛すべきクレイジー達の狂宴はこうやって幕を閉じた。

◆iTunes Store 泉谷しげる(※iTunesが開きます)

アルバム『すべて時代のせいにして』より試聴
◆「すべて時代のせいにして」試聴
◆「黒い箱男」試聴
◆「時よ止まれ 君は美しい!」試聴
◆「春夏秋冬 -ボーナストラック- (2008 Version)」試聴
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