オノ・ヨーコ、<ジョン・レノン スーパー・ライヴ>成功を誓う

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アジア・アフリカの子供たちに学校を贈り続けているチャリティ・コンサート<Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ(主催 / ジョン・レノン音楽祭2008実行委員会)>の記者会見が、12月2日、ジョン・レノンのパートナーであり、愛と平和の運動をともに展開してきたオノ・ヨーコと、コンサートに出演するアーティスト、BONNIE PINKの出席のもと開催された。

2008年はジョン・レノンとオノ・ヨーコが初めて共同で行なった平和活動から40年目にあたる記念すべき年だ。オノ・ヨーコが日本でステートメントを発表するのは今回の記者会見が初となる。

注目の初のステートメントでは、コンサートへの意気込みを語り、途上国の学校建設支援の必要性を訴えた。今年のコンサートでは、計7カ国10校を建設し、過去7回のコンサートを合わせると、アジア、アフリカに建設された学校は通産22カ国85校に達することも発表した。

会見の最後には、粉々に砕けた壷の破片とその元の形の写真パネルを会見ステージ上に展示し、現在の世界が置かれている状況を粉々に砕けたと壷に例えた参加型アート・パフォーマンスを披露。その破片を多くの人々に配布し、破片を受け取った人々が10年後にこの場所で集まって、みんなで元のひとつの壷に修復しようというメッセージが込められている。

そのメッセージについてヨーコは、その再会までのあいだに破片(ピース)を受け取った人は手元の破片を見ながら、受け取ってない人はその破片が手元にあることを想像しながら、平和(ピース)な世界を再構築するにはどうすればよいか考えて欲しいと語り、ひとりひとりがどんな些細なことでも夢を持つことが大事で、その夢がひとつになれば世界を変えてゆく大きな力になると、ドリーム・パワーの理念の提唱で締めくくった。

「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」は今年8回目を迎え、12月8日ジョン・レノンの命日に日本武道館で開催される。

「ドリーム・パワーの輪が世界に広がっていることを想像してください」
DREAM POWER STATEMENT 2008 by Yoko Ono

このDream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴも2008年で8年目を迎えることになりました。早いものです。2007年までの7年間にドリーム・パワーの力でアジア、アフリカ18か国に75校の学校が建ちました。最初に建った学校の小学生が中学生に、中学生がもう大人になったということです。まさにドリーム・パワーの超念力を見せられた思いです。

多くの日本のロッカーたち、ドリーム・パワー・コンサートのファンのみなさん、そしてこのコンサートを毎年支援してくださっているプレスの方々、そのみんなで成し遂げた大事なプロジェクトなのです。本当にありがとう! 深い感謝の思いで御礼申し上げます。

私がこのプロジェクトを始めたのには3つの理由があります。

ひとつは、私たちの子どもたちが、平和な暮らしをしているときに、アジア、アフリカでは、家もなく、外に寝るしかない子ども、足をなくして松葉杖でしか歩けない子ども、親が殺されて自分で生計を立てるしかない子ども、そんな子どもたちが、この世界にいるということが、あまりにも不公平で、みじめで、一刻も早く助けなければ、という強い気持ちが、いちばんでした。でも、爆撃で死んでいった親を戻してあげることも、また、長い人生を前にして、松葉杖で歩かなくてはならない幼い子どもに足を返してあげることもできないのです。

食べるものがない子どもに、食料を送ってあげることは大事なことです。それはすでに国際機関や多くの援助団体がカバーしています。でも、食料は食べてしまえば、それっきりです。教育は身に付けることができれば、それは一生のものなのです。それで、それができるようにと思い、学校を建てることを選びました。

第二の理由は、日本は国家としてOECDを通して、多額の国際援助を行なっていますが、私たち日本人は、個人のレベルで途上国の人々を助けてあげることは、あまりしていないと言われています。それは、慈善活動や寄付に取り組みやすい仕組みが政府によって作られていないこともあります。それで、日本人もドリーム・パワー・コンサートなどで、途上国に助けの手を差しのべて、途上国の子どもたちを援助しているのだということを世界にも知ってもらいたかったのです。

そして、第三の理由は、日本の子どもたちです。引きこもりの子どもたち、憂鬱病にかかって町をふらふら歩いている子どもたち、自分は何もできない人間だと思って、自殺をしたがっている子どもたち。そんな子どもたちに希望と生きる勇気を与えたかったのです。それで、私たちロッカーは一生懸命にドリーム・パワー・コンサートをやってきました。もちろん、こんなに大成功するとは夢にも思っていなかったのですが、やはり、みなで見る夢は叶うのだと、自分でもそれがわかってうれしいです。

ところで、一昨々日、「リハーサルに突然行って、サプライズでアーティストやスタッフを激励してあげてください」と言われ、なんとなく、「それじゃ…」と言って行きました。それが、都心からかなり離れたところで、自動車が渋滞して、なかなか着かない。「忙しいのに私は何をやっているんだろう…」。「ミュージシャンたちも一生懸命練習しているところに、急に私が現れたりして、迷惑なんじゃないか…」と、そんな後悔の気持ちで動かない車に座っていました。ところが、いざ、スタジオに入ると、みんな錚々たるミュージシャンたちで、あまり笑いもしないで、黙って立っているのにすごいエネルギーが感じられました。そして、曲をふたつ聞かせてくれたのです。それが、また、ものすごくて、私はすごく感激してしまいました。ジョンがいたら、さぞかし喜んでくれただろうと、ジョンの笑顔がふと浮かんで、心の中で泣けたのです。

2008年は、ジョンと私の「ドングリ・イベント」の40周年にあたります。「イマジン・ピース・タワー」は、最初にふたりが会話したアート・イベントです。1967年のことでした。そして、この「ドングリ・イベント」は、その次の年、1968年にふたりで実際にやった最初のイベントです。その意味でも私たちにとって大事な思い出なのです。

イギリスのコベントリーにある教会の表の庭にふたりで穴を掘って、ドングリをふたつ埋めました。ひとつのドングリは東に、もうひとつは西にというアイデアです。でも、ジョンも私も、ふたつのドングリのあいだに少しでも隔たりを置いたりする気が全然なかったので、私がドングリを穴の中に置くと、ジョンはすぐその隣に彼のドングリをピタリとつけてきたのです。私は、「あっ」と思ったけれども、すぐに、「これだ」と思いました。西と東は、世界の両端にあると、私たちはいつも思っています。ですが、ジョンと私はふたりの愛によって西と東の距離を縮めてしまったのです。そして、このふたつのドングリが、やがて、大きな2本の樹に育っていく。これは、「まさに愛の種によるピース・イベント」でした。

ジョンは、牧師さんのようにそこに立って、「僕たちは、今、ここにふたつのドングリを埋めました。このふたつのドングリは、『東は西、西は東』、ということを証明しています」。ジョンと私のほかには、友人であり助手だったアンソニーしか立っていなかったのに、ジョンはまるで、何百人もの人々の前に立って宣言しているように厳かに言ったのです。それが、私たちの平和運動の出発でした。

その後、「ウォー・イズ・オーバー」「ベッド・イン」「ギブ・ピース・ア・チャンス」、それに私たちの最後のアルバムであった「ダブル・ファンタジー」も……。ジョンが銃弾に撃たれて死ぬまで、私たちが平和運動を続けてきたことを、たぶんみなさまもご存知だと思います。そのジョンに突然、先立たれて、私は本当につらい思いをしました。もう、「何もしたくない」、そんな気持ちになることも度々でした。ジョンが銃弾で倒れたその直後、私のほうにも銃弾が飛んできたのに、私は生き残ったのです。……「それが君の運命だったんだ」と、ジョンが言っているように思いました。そしてある日ふと、二人がやってきたことは続けなければいけない、私がジョンに今まで注ぎ込んだ愛情を、今度は世界にあげれば良いのだと思い直したのです。

そう思った日は、息子のショーンを抱えてまったく世界にひとりぼっちでした。それが、それから、プロジェクトを思いつくたびに、だんだんと、いろいろな助けが出てきて、このドリーム・パワー・コンサートのようなすばらしい夢まで、多くの人々の協力で実現できるようになったのです。今日お集りのプレスの方々で、初めから応援していただいた方々、一緒になって夢を叶えさせてくださって、どうもありがとう。今回、初めて参加してくださったプレスの方たちも、どうぞこれからお力を貸してください。お願いいたします。

このドリーム・パワー・コンサートは、少なくとも世界平和が実現するまで続けたいと思っています。世界平和が実現しても、まだ、いろいろと助け合いをしなくてはならないこともあるでしょう。今は突然の経済ショックでみんな憂鬱になっている時です。こんな時こそ、美しい夢をどんどん叶えて、世界を明るくしていくことが大事だと思います。大きな夢は、何千、何万人という人々が一緒に夢見てこそ、初めて叶うものなのです。子どもたちのために、私たちの未来の世界のために、あなたのご協力をお願いいたします。

2008年12月2日
愛を込めて オノ・ヨーコ
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