稀代なアーティストの魅力満載「hide BIBLE」

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▲<hide memorial summit>@味の素スタジアムの様子
12月13日は、hideの誕生日。CLUB CITTAでは例年のように、hideのバースデー・パーティ<MIX LEMONed JELLY>が盛大に開催され、横須賀のお墓には朝からたくさんのファンが訪れた。晴れ渡る日差しの中、筆者も一冊の本を持って、hideに会いに行ってきた。

2008年はhideの没後10年目ということで、味の素スタジアムで2日間にわたって<hide memorial summit>が行なわれたことは記憶に新しい。そんな記念すべき年の夏に、「hide BIBLE」という本が出版された。実は、この本、筆者の2008年の仕事の中でも、最も情熱を注いで作り上げた一冊なのである。

内容は、豊富な写真や復刻インタビュー、たくさんの人たちからのコメント等盛りだくさんだが、最もページ数を裂いたのが、hideと親しい関係の人たちが、思い出を語るロング・インタビュー。筆者自体、Xのデビュー前後から、hideとかなりたくさんの時間を共有した。それは取材であったり、ツアーやレコーディングや撮影などの密着であったり、仕事が終わった後のお酒の時間であったり、公私共、多岐にわたっていた。そんな筆者でさえ多くの新しい発見があったこのインタビューは本当に興味深く、毎回、取材に行くのが楽しくて仕方がなかった。

hideというミュージシャンは実に多彩な顔を持っていて、「いつ寝ているのか?」と多くの人が疑問に思うほど、常にエネルギッシュだった。音楽に対しても遊びに対しても、興味があることに対しては本当に貪欲で、全身全霊をこめて向き合っていた。そんな彼の素顔が垣間見えるエピソードをひとつ。

ソロのファースト・アルバムを作り始める頃、いつものように飲み仲間「地獄の軍団」(彼が敬愛するKISSのアルバム・タイトルにヒントを得て命名)と一緒に居酒屋で飲んでいたhideは、突然“俺たちのテーマ・ソングを作ろう!”と言い出した。そして、テーブルの上にあったナプキンか何かの紙に、思いつくままにお酒の名前を列挙し始めたのだ。それが、ライヴでの定番曲となる「D.O.D(DRINK OR DIE)」である。後日、筆者がレコーディング・スタジオに遊びに行った時も、まだ“ねー、他になんかお酒、なかったっけ?”といっていた。既にかなりの数のお酒の名前があがっていたのだが、曲の中に当てはめた時に最も語呂のいい名前を彼はずーっと捜し続けていたのである。きっかけはほんの遊び心だとしても、作品として完成させるためには、細かいことにもこだわり続ける…そんな彼の音楽に対する真摯な姿勢を感じた瞬間であった。

これは筆者の思い出のひとつだが、この本の中にはもっともっとたくさんのhideを知ることが出来る話が満載である。貴重なhideのエピソードを惜しげもなくたくさん語ってくれたのは、以下の方々。
・YOSHIKI(X JAPAN)
・TOSHI(X JAPAN)
・PATA(X JAPAN)
・HEATH(X JAPAN)
・George(LADIES ROOM)
・J(LUNA SEA)
・kiyoshi(hide with Spread Beaver)
・SUGIZO(LUNA SEA)
・I.N.A(hide with Spread Beaver)
・木村世治
・t.o.L(LEMONedデザインチーム)
・杉本圭司(バックステージプロジェクト)
・山本広子(ヘッドワックス)

ぶっちゃけ、筆者のギャラは印税ではないので(笑)、実際は本が売れても売れなくても関係ない(現実的なことを書いて、すいませぬ)。だけど、やっぱりたくさんの人に読んでもらいたいと思うのは、自分で書いといてナンだけど、本当に面白くて読み応えがある本だと思うから。そして、hideという稀代なアーティストの魅力を、一人でも多くの人に知ってもらいたいと思うからである。

発売直後は売り切れ続出で、本屋で見つからないこともあったみたいだけど、現在は増刷も出来て入手も難しくはないはず。お正月休みに、一読してみてはいかが?

大島暁美
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