DIR EN GREY、英国ツアー報告 衝撃の幕切れは、なんと“ロンドン公演中止”

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去る1月中旬から約半月にわたって展開されてきたイギリス/アイルランド・ツアーの終了から息つく暇もなく、2月9日、<TOUR09 FEAST OF V SENSES>と銘打たれた国内ツアーの開幕を迎えたDIR EN GREY。ファンの興味と注目は現在、各地のライヴハウス巡演もふんだんに含まれているこのツアーに集中しているはずだが、今回は、彼らがイギリス/アイルランドでどのような日々を過ごしてきたかを総括しておきたい。すでに情報通のファンは把握しているものと思われるが、このツアー、予測不能な事件にも見舞われ、「無事に終了した」とは言い難いところがあるのだ。

◆DIR EN GREY、衝撃の事件顛末映像

まず整理しておくと、今回の<KERRANG! RELENTLESS ENERGY DRINK TOUR 2009>は、音楽専門週刊誌としては世界最大の発行部数を誇る英国の有力誌『KERRANG!』の主宰によるもの。全15公演に及ぶツアーとして1月13日に北アイルランドのベルファストで幕を開けている。出演バンドは全5組で、MINDLESS SELF INDULGENCE(以下MSI)がヘッドライナーを務め、DIR EN GREYの出演順は基本的に4番目。公演地(出演者の本拠地など)によってはBRING ME THE HORIZON(以下BMTH)と入れ替わりで3番目に演奏することもあったという。ちなみに彼らの持ち時間は30分。セット・リストは日々異なるものの、通常、7曲が演奏されていた。

筆者自身は今回のツアーを目撃することができなかったのだが、全行程に同行したスタッフの証言によれば、公演会場は平均2,000人収容規模で、ほぼすべてがソールド・アウトかそれに近い状況。オーディエンスの内訳としては、客観的に見てもDIR EN GREYとBMTHの支持層の占める割合が高く、MSIのステージが始まる前に帰路につこうとするファンも少なくなかったとか。いわゆるツアー・グッズの売上げなどについても、DIR EN GREYがツアー初日から群を抜いていたらしい。

とはいえ、彼らがかなり“手荒い歓迎”を受けたのも事実で、演奏中のステージには客席から、ビールや水の入ったボトルやコップ、下着やTシャツなど、ありとあらゆるものが投げ込まれていたという話もある。が、かならずしもこれは非難や拒絶を意味するわけではなく、いわば英国流のライヴの楽しみ方のひとつ(とはいえ当然、日本のファンが真似すべきことではないが)。実際、公演によっては開演と同時に客の投げたペットボトルがDieを直撃し、彼自身のみならずギターや機材もビショ濡れになるというアクシデントもありはしたが、そんなときにも会場に渦巻いているのはブーイングではなく歓声であり、フロアには大きなモッシュピットができていたのだという。

もちろんすべての観客がDIR EN GREYに対して好意的だったという意味ではない。実際、曲すら知らないままにモッシュピットの輪に加わって暴れる観客もいれば、“どう反応していいかわからない”という表情で困惑しているオーディエンスの姿もあったという。が、他の出演者やクルーのなかからは「彼らはTOOLを超え得るバンドだ!」という声まで上がっていたとの話もある。さらに、彼らが今回のツアーのなかで重要な役割を果たしていた事実を裏付けるようなコメントが、プロモーターとしてこのツアーに関わったジョニー・フィリップス氏から届いている。

「今回のツアーにDIR EN GREYにご参加いただいたことに、いまだ興奮さめやらぬ思いです。彼らは各地での公演に、独特な何か、他には類を見ないダークな要素をもたらしてくれたように思いますし、それが当地の人たちの間でも話題を呼ぶ結果となりました。このバンドを招聘できたこと自体について本当に嬉しく思っていますが、だからこそ今はロンドン公演が中止になってしまったことに落胆を隠せません。可能なかぎり早く、彼らにこの地に戻ってきてもらえるよう、私自身、心底願ってやみません」

そう、冒頭に記した“事件”とはこのことである。なんと、ツアー最終日にあたる1月30日のロンドン公演が、こともあろうに中止になってしまったのだ。しかも観客の入場も終わり、あとは開演を待つばかりの状態になってから。その原因は、なんと“停電”。もっと正確に言うと、“電力供給量不足”ということになる。当夜の会場はブリクストン・アカデミー。普段から数々のビッグ・ネームがライヴを行なっている由緒正しい場所で、筆者自身も何度か足を運んだことがあるが、実はこの前夜に行なわれる予定だった公演も、同じ理由でキャンセルに至っていたのだという。

もちろん前夜に同じことが起こっていた以上、何らかの対策が用意されていて当然ともいえるが、同時に、会場側からすれば“まさか2夜連続でそんなことが起こるとは”という感覚でもあったのかもしれない。トラブルの原因を僕のような第三者が憶測で書くことは許されないが、どちらにせよ出演者にもファンにも非のないところで公演が中止に至ったことだけは確かである。当然ながら振替公演についても検討されていたようだが、5組ものバンドが出演するライヴであるうえに、相応しい会場がそうそう都合良く空いているわけでもなく、やむなく公演中止という判断に至ったということのようだ。

DIR EN GREYのみならず、各バンドとも、このツアーのなかでも最大規模だったロンドン公演をゴールとして見据えながら連夜の公演を重ねてきたわけで、まさか1曲も演奏することなくブリクストン・アカデミーを後にすることになろうとは、誰も予想していなかったはず。その落胆ぶりは想像に難くない。もちろんオーディエンスの怒りや悲しみについても同じことが言える。DIR EN GREYはアメリカでのレーベル・メイトであるMSIともども、いち早く今回の件に関する共同声明を発表し、ライヴの制作者サイドが最後の最後まで粘りながら打開策を見つけようと尽力した末の公演中止決定であったこと、今回のツアーそのままの内容での振替え公演が不可能であることに対する理解を求めつつ、1日も早くその穴埋めができるようスケジュール調整に取り組んでいることを報告している。

結果、全15公演が予定されていたこのツアーは14公演をもって終了することになり、出演者のみならず、それに関わったすべての人たちが後味の悪い幕切れを迎えることになった。DIR EN GREYがロンドンでリヴェンジを果たすのは、少なくとも、これから日本各地を行脚することになる<TOUR09 FEAST OF V SENSES>が終了してからということになる。不完全燃焼に終わったUKツアーに対する鬱憤をこの国内ツアーの起爆剤に換えて…などという発想は不謹慎かもしれないが、これから各地で重ねられていくライヴに注目するとともに、一日も早い“ロンドンへの帰還”にも期待したいところだ。

文●増田勇一

<TOUR09 FEAST OF V SENSES>
2月18日(水) 静岡県・浜松窓際
 [問]サンデーフォーク静岡 054-284-9999
2月20日(金) 石川県・金沢AZ
 [問]キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
2月22日(日) 岐阜県・岐阜Club ROOTS
 [問]サンデーフォーク 052-320-9100
2月23日(月) 滋賀県・滋賀U STONE
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
2月25日(水) 奈良県・奈良ネバーランド
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
2月26日(木) 京都府・KYOTO MUSE
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
2月27日(金) 兵庫県・神戸VARIT.
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月01日(日) 徳島県・徳島ジッターバグ
 [問]デューク高松  087-822-2520
3月02日(月) 鳥取県・米子ベリエ
 [問]キャンディープロモーション岡山 086-221-8151
3月04日(水) 熊本県・熊本BATTLE-ST
 [問]BEA 092-712-4221
3月05日(木) 大分県・大分TOPS
 [問]BEA 092-712-4221
3月16日(月) 大阪府・IMPホール -「a knot」only-
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月17日(火) 大阪府・IMPホール -「a knot」only-
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月18日(水) 大阪府・IMPホール -MALE only-
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
3月23日(月) 神奈川県・CLUB CITTA' KAWASAKI -「a knot」only-
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
3月24日(火) 神奈川県・CLUB CITTA' KAWASAKI -「a knot」only-
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
3月25日(水) 神奈川県・CLUBCITTAA' KAWASAKI -MALE only-
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
4月01日(水) 愛知県・Zepp Nagoya
 [問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
4月02日(木) 愛知県・Zepp Nagoya
 [問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
4月04日(土) 京都府・KBSホール
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
4月05日(日) 京都府・KBSホール
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
4月07日(火) 宮城県・Zepp Sendai
 [問]G.I.P 022-222-9999
4月08日(水) 宮城県・Zepp Sendai
 [問]G.I.P 022-222-9999
4月10日(金) 北海道・Zepp Sapporo
 [問]SMASH EAST 011-261-5569
4月13日(月) 大阪府・なんばHatch
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
4月14日(火) 大阪府・なんばHatch
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
4月15日(水) 大阪府・なんばHatch
 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
4月17日(金) 福岡県・Zepp Fukuoka
 [問]BEA 092-712-4221
4月21日(火) 東京都・Zepp Tokyo
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
4月22日(水) 東京都・Zepp Tokyo
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
4月23日(木) 東京都・ZeppTokyo
 [問]フリップサイド 03-3466-1100
[総合問合せ]フリップサイド 03-3466-1100
◆チケット詳細&購入ページ(eプラス)

◆iTunes Store DIR EN GREY(※iTunesが開きます)
◆DIR EN GREYオフィシャルサイト
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