増田勇一のライヴ日記『3月総集編』

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4月に入ってから、すでに4月8日のジ・アンサー東京公演までに5本のライヴを観てきたが、今回は記憶が古くなり過ぎないうちに、3月に観たものについて振り返っておきたい。まず、3月に僕が観たすべてのライヴのラインナップは以下の通り。

3月1日(月)D'ERLANGER@赤坂BLITZ
3月4日(水)エリック・マーティン@渋谷DUO
3月5日(木)イン・フレイムス、ラム・オヴ・ゴッド、アンアース@赤坂BLITZ
3月8日(日)ハノイ・ロックス@新木場STUDIO COAST
3月9日(月)DIR EN GREY@目黒鹿鳴館
3月13日(金)ハノイ・ロックス@川崎CLUB CITTA'
3月15日(日)ムック@日本武道館
3月16日(月)ハノイ・ロックス@赤坂BLITZ
3月18日(水)DIR EN GREY@大阪IMPホール
3月21日(土)メリー@渋谷AX
3月22日(日)DRUNK FUX、YOUNG PARISIAN@新代田FEVER
3月23日(月)DIR EN GREY@川崎CLUB CITTA'
3月24日(火)DIR EN GREY@川崎CLUB CITTA'
3月25日(水)DIR EN GREY@川崎CLUB CITTA'
3月28日(土)THE VICKERS、THE NINGLERS、他@新宿ACB

というわけで、3月は計15本のライヴを観た。しかもそのうち5本がDIR EN GREYというのは我ながら普通じゃない気がするが、何度観てもまた“次”が観たくなるのだから仕方がない。既報のとおり、京の喉の故障のため仙台と札幌での公演が延期されることになったのは残念なかぎりだが、今月も当然ながら彼らのライヴは観るつもりなので、“その後”についてはまた改めて。また、3月25日に行なわれた川崎での男性限定ライヴについても、あれこれ情報露出が重なるなかでご報告が遅れていたが、ごく近いうちに改めてお届けするつもりだ。

ハノイ・ロックスのフェアウェル・ツアーについても、日程が許すことなら全国行脚したくなるくらい充実した内容だった。ことに赤坂BLITZでの最終公演では、いきなり冒頭から「白夜のトラジディ」と「マリブ・ビーチの誘惑」の連射で攻めてくるという大胆さ。彼らはいつだって出し惜しみのないライヴを披露してくれていたが、今回はやはり特別だった。その最終公演の前日にはマイケル・モンローにインタビューする機会も得られたので、そのときの話も近日中にお届けすることをお約束しておく。

上記2組の公演をのぞくライヴのうち、D'ERLANGERについては以前にもライヴ日記で書いたが、今はとにかく5月4日に開幕する全国ライヴハウス・ツアー、『a babel of voices 2009 in Japan』が楽しみなところ。このバンドがまさに、彼ら自身にとっての未踏の領域へと歩みを進めることになるわけで、そこで発生することになる新たな化学反応についてはメンバー自身にとっても予測不能な部分があるに違いない。同様に、日本武道館で『球体』の世界観を初披露したムックの新規ツアーも5月12日に幕を開けるが、こちらも目を離せないところだ。この両バンドのライヴについては現在発売中の『FOOL'S MATE』誌5月号でも書かせていただいているので、興味のある方は是非ご一読を。特にムックのほうは“武道館直前の個別インタビュー”をメインに据えた巻頭特集だったりもするので。

エリック・マーティンの“アルバム購入者限定・抽選招待制ライヴ”にもお邪魔したが、原曲がジャパニーズだろうとアメリカンだろうと彼が歌いさえすれば“エリックの歌”以外の何モノでもなくなるのだということを改めて実感。サプライズ・ゲストに絢香が登場したのには本気で驚かされたが、その後の彼女をめぐるニュースにはもっとサプライズさせられた。エリックにとってもこの夜の彼女とのデュエットはとても貴重な機会になったわけだ。

3月5日に観た超重量級三つ巴ライヴについては、出演順的には二番手だったラム・オヴ・ゴッドの圧勝という印象。オープニング・アクトと呼ぶには勿体なさすぎるアンアースの激烈な躍動感を味わったあとで、さらに鈍器で後頭部を殴られたかのような感覚だった(もちろん実際に鈍器で殴られた経験はないが)。トリを務めたイン・フレイムスについては、肝心のイエスパー・ストロムブラード(g)がアルコール依存症の更正施設に入っているため同行できておらず、なんだかバンド全体の空気がいまひとつピリッとしない感じ。演奏面というか再現性の部分では支障を感じさせられるほどではなかったが、アンダース・フリーデン(vo)のMCやらステージ運びに、なにやら投げやりな印象を受けたのは僕の錯覚ではないだろう。

メリーのライヴに関しては、ツアーの初日公演というだけでなく、先頃、FC限定ライヴの最中に腰を故障し、そのまま病院送りになっていたガラの復帰公演でもあった。ガラ自身のなかには不本意な部分も多々あったようだが、僕としては、ある意味、ここ最近の彼らのライヴのなかでもいちばん“バンド”としての説得力を感じさせてくれるものだったように思えた。最後の最後には、ステージにひとり残されたガラの言葉にオーディエンスが涙する感動的な場面も。4月30日、東京・中野サンプラザでファイナルを迎える今回のツアーは、本当に彼らにとって非常に意味の大きなものになるはずだ。

3月22日には、自宅から徒歩圏内の新代田に新しいライヴハウスができたというので、そのプレ・オープニング・ライヴに足を運んだ。DRUNK FUXとYOUNG PARISIANという顔合わせは、そこが下北沢のシェルターであるかのような錯覚を引き起こさせるが、オープンしたばかりのこの新代田FEVER、想像していた以上にお洒落な雰囲気もあってちょっとビックリ。両バンドのライヴも、各々の特性が充分に発揮されたものだった。ちょっと呑み過ぎてしまったためにディテールについてはあまりよく憶えていないが。

3月28日には、生まれて初めて新宿ACBに足を踏み入れることになった。当日は『新宿動乱GIG#9』と銘打たれたライヴで、実に計7バンドが出演したのだが、お目当てはトリを務めたTHE VICKERSと、その前に出演したTHE NINGLERS。THE NINGLERSについては前々から「仙台のAC/DC」と勝手に呼んで(いたら、あちこちでそう呼ばれるようになって)いるのだが、従来のトリオ編成に新たにギタリストが1人加わり、ますます彼らの身上とするダーティで男くさいロックンロールの切れ味が鋭利なものになってきた感じ。かたやTHE VICKERSのほうも、しばらくベーシスト不在の状態が続いていたが(この夜はDRUNK FUXのAYUMUが客演)、次回からは新メンバーのアニーを含む布陣でのライヴになるそうで、その新布陣での音源制作も予定されているという。というわけで、ほとんど「モーターヘッド対AC/DC」みたいだったこの夜のライヴ後も、僕は泥酔。イエスパーのように施設送りとかにならないよう、せいぜい注意を心掛けたいものである。

増田勇一
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