全盲の天才ピアニスト辻井伸行、日本人として40年ぶりの快挙

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5月31日、テキサス州フォート・ワースで開催されている<ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール>において、辻井伸行が日本人ピアニストとして40年ぶりにファイナリストに決定した。<ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール>は<ショパン国際ピアノコンクール>や<チャイコフスキー国際コンクール>と並び称される、格式あるピアノコンクールだ。

◆辻井伸行×佐渡裕『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番』CD情報

40年ぶりとなる日本人ファイナリスト誕生の瞬間は、日本時間の5月31日深夜に訪れた。12名が参加したセミ・ファイナルを勝ち抜いてファイナルに進む6名の名前がゆっくりと呼ばれる。3番目に呼ばれた名前── “ノブユキ・ツジイ”がコールされると、会場からは一際大きな拍手と歓声が沸き起こったのだ。

厳しい書類選考を通過した者のみが進むことができる同コンクールの2009年予選は、上海(中国)、サンクト・ペテルブルク(ロシア)、ルガーノ(スイス)、フォート・ワース、ニューヨーク(米国)と世界5ヶ所で開催。辻井の演奏は、予選のスクリーンニング・オーディションから大きな反響を呼び、同コンクールが名前を冠するピアニスト、ヴァン・クライバーン氏も辻井の演奏について“奇跡としか言いようがない” “まさに神業だ”とコメント。いまや現地の聴衆もメディアも辻井フィーバーの真っ最中となっている。

セミ・ファイナルでは、29日にタカーチ弦楽四重奏団と「シューマン:ピアノ五重奏曲」を、そして31日のソロ・リサイタルで「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番<ハンマークラヴィア」>」及び「マスト:インプロヴィゼーションとフーガ(現代曲)」を演奏した辻井。日本語オフィシャルブログでは、どちらの演奏後も“総立ち&ブラボーの嵐”で迎えられたと伝えている。さらに、同コンクールは本選の演奏をインターネット上で公開しているが、辻井の演奏は本選参加の29名中トップの11,400ビューを記録(『ヒューストン・クロニクル』5月30日調べ)。

現代曲、室内楽、協奏曲2曲、を含む課題曲の多様さからも、“最も過酷な国際コンクール”としても知られる同コンクール。辻井を除く5名のファイナリストの国籍は、ブルガリア1名、イタリア1名、中国2名、韓国1名。今後いくつかの審査過程を経て、最終的な結果発表は日本時間で8日(月)の午前7時となっている。

1962年に始まった同コンクール史上、辻井伸行が初の日本人優勝者になれるのか。関係者はもちろん、日本中のクラシックファンがコンクールの結果を固唾をのんで見守っているところだ。

<辻井伸行の今後のコンクール・スケジュール>
4日 「ショパン:ピアノ協奏曲第1番」
6日 「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」
※ 両日ともジェイムズ・コンロン指揮フォート・ワース交響楽団と協演
7日 「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》」「ショパン:子守歌」「リスト:ハンガリー狂詩曲第2番」
7日現地時間午後5時(日本時間8日午前7時) 結果発表 

◆辻井伸行 フォトアルバム
◆<ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール>日本語公式サイト
◆辻井伸行 オフィシャルサイト
◆iTunes Store 辻井伸行(※iTunesが開きます)
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