恐るべしジャック・ホワイトが繰り出す激情作品

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ジャック・ホワイトのニュー・バンド、ザ・デッド・ウェザーが6月24日、ロンドンのフォーラムでフル・パフォーマンスを行なった。ホワイト・ストライプス、ラカンターズに続く3つ目の(メジャー)バンドで、彼はまた別のサウンドを生み出した。

アルバムのサウンドはエネルギッシュでありながらも、ダークでどこかクールなところがあるが、ライヴはかなり違い、レッド・ツェッペリンを彷彿させるヘヴィーで激情的なものだった。ホワイト・ストライプスとラカンターズ、どちらのライヴも見ているが、これまでで最も激しく強烈なパフォーマンスだった。

今回、ジャックはドラムを担当。ライヴでドラムをプレイするのは19歳のとき以来だというが、その腕前は全くブランクを感じさせない。頭を振り乱し、力強く激しくリズムを叩き出す彼は、ギタリストとしてステージの中央に位置する以上に存在感があり、これがデッド・ウェザーのサウンドの要にもなっている。彼らのライヴ・パフォーマンスがヘヴィーでビッグになった要因はここにあるのかもしれない。「ドラムの席から音楽を指揮ができることに気づいた」というジャックだが、その言葉通り、ドラムがバンドを引っ張っている。

プラス、ヴォーカルのアリソン・モシャートの影響もあるのだろう。メグ・ホワイト、アリシア・キーズ、ロレッタ・リンなどこれまで何度も女性アーティストと組んできた彼だが、ラカンターズのブレンダン・ベンソンを含めたとしても、その中で1番ロックな人がこのアリソン。彼女と組んだことで、これまで以上に激しく情熱的なものが生み出されたのかもしれない。

70'sロック、パンク、ガラージだけでなく、ソウル、ブルース、カントリーの要素をも含んだ彼らのデビュー・アルバム『Horehound』は、個人的には、2009年これまで聴いたアルバムの中でベストに上がるもの。これだけの秀作を短期間(数週間)で作り上げただけでなく、年内、ホワイト・ストライプス、さらにはラカンターズのニュー・アルバムの制作も考えているという。恐るべし、ジャック・ホワイト。彼の創作意欲は止まることを知らない

この夜のセットリストは以下の通り。

「Forum」
「60 Feet Tall」
「Treat Me Like Your Mother」
「Bone House」
「You Just Can't Win」
「So Far From Your Weapon」
「Child of a Few Hours」
「Rocking Horse」
「I Cut Like a Buffalo」
「No Hassle Night」
「Will There Be Enough Water」

「Forever My Queen」
「Hang You From The Heavens」
「New Pony」

『Horehound』の日本盤『狂おしき薫り』は7月22日にリリースされる。

Ako Suzuki, London
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